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へぇ…そんな真似するんだ…

「監視スタート。」


 彼は姿形が俺になっていることなんぞ知らんからそのまま自分の役目を果たすためにパーティーに行きました。

 おっと喋ったら違和感出るからずっと物言わぬ体になってればいいのに。因みに俺から見ると、彼はイケメン執事のままです。


 あ、イラついて八つ当たりしてる。物は大切にしましょうね?


 ……その辺はまぁいいとして……っと。お、ここが会場か。それで……さっきから小野はやたらと俺に構ってるな……黒歴史を作ってた的なことも言ってたし……高校時に何かあったんかね?


 あーあんまり覚えてない過去を考えるってのもなぁ……楽しくはねぇや。今までの過去と同じように過去は過去って割切っとこ。


 因みにそんな楽しくない過去ですが、俺は昔虐められてました。主に家業の所為で。


 帰還は小学生と中学の時。アレ? 全部じゃね? 幼少期は糞親父に殴られてたし、母親は俺に興味ないし……まぁいいや。……小中と人によってはお前が虐めた方だろ? とか言ったりする奴もいたけど、最初の被害者は俺です。つまり何をしても正当防衛。


 最近の虐め、中学卒業時の物(もう潰し済み)の主犯は小野の友人? まずは進路を潰して最後にはきっちり家庭を潰して仕上げましたよ。楽しかった。


 まぁそんなことはどうでもいいや。おっと、現在進行形で小野が執事に抱きついて執事は嫉妬の目を向けられているね。


 で、執事の方は……デレデレしちゃってまぁ……だらしがないこと……


 そんなこんなで宴が始まった。……あ、俺の椅子なさそうじゃね? まぁ……偽装してる執事は当然のように執事の席に着いたけど……うん。余りがない。間違いない。で、序でに執事が王族に白い目で見られてる。


 ハハハハハ! ……あー何かイライラする。


「……俺も腹減って来たな…………う~ん……まぁ……いっか。【ぼく】」


 なんかものっそい美味しそうな卵料理を見てお腹が空いた俺は結構悩んだ挙句にそう言ってネズミの干し肉を意味する【璞】と唱えた。そして【炎玉】で炙って食べる。

 ……元の肉を知ってるのはアレだけど何気に美味い。味薄いけど。【塩玉】で味付けするか……そういえばこれも実験としての意味合いがあったの忘れてた。


 【玉】は何かに影響した後は消えないみたいだけどそれはどの範囲まで含むのかってことだったな。


 例えば【炎玉】だと【炎玉】自体は消えるけど、それで燃やした物は火が延焼したままだったり、焦げたりしたものははきちんとそのままだったり。


 だから【璞】も胃の中で消化酵素と混じれば影響をなしたと見做されるんじゃないか? という浅知恵。


 これも実験だからどうなるか分からないけどね。そんな感じのことをしていると何となく頭の中に流れている動画中で事態が動いた。


「お、動いたか。」


 執事君が急に苦しみ始めたのだ。貴族とか周りの男(勇者とか言われた奴等)どもはクスクス笑ってやがる。あ、王女もだ。テンパったり心配してるのは小野だけか……後は処理能力的に動けないといったところ?


 ……あの立場が俺なんだよな……? あぁイライラさせてくれるねぇ……って、あ、俺の部屋に搬送されるみたい。そりゃそうか。


 実験中、つーか食べかけの【璞】を残して……まぁ、もう塩は振ってあるし【塩玉】を消すか……


 【玉】は一度に五個までしか同時使用は出来ないようで、個人的には画数の問題かな? と思ってる。が、今はそんなことどうでもいい。【塩玉】を消してっと……


「【闇玉あんぎょく】」


 俺が誰かに見つからないように闇に隠れてしばらくすると部屋に執事君が帰って来た。お帰り! お疲れ!


 そんな感じで俺が執事君の様子を窺っていると微妙に不思議な顔をしたここまで執事君を運んできたメイドさんがふと首を傾げて部屋の一角を見上げると何かの術を掛けた。


 ……まぁ【偽玉】作る時に盗ったなんかの【幻覚魔法】だろうけどね。


 去っていくメイドを見送り、俺はその部屋の隅を見る。……さて、面白いものが得られそうだし回収回収っと……


「一回【黙玉】解除。でもって【毒玉】……」


 ……執事の顔色が若干良くなった……クククククク……でもまぁ……もっかい食べさせるけどね……


「な……ぜ……俺が……あいつの扱いを……? あいつは……どこに……?」


 意識を取り戻してなんか呻き声みたいなので呟いてるけど、俺のことなんて知らなくていいよ~


「ぐぅ……ぐあぁあぁぁぁ……体が、焼ける……よう…………だ……あいつ……に、使うた……め……の毒じゃ、なかった、のか?」


 ……フム。俺はこんなに苦しめられる予定だったのか。可哀想な俺。それにしてもうっざいな。この国うっざ。誘拐しておいて何様のつもりかね?


「今村! ……薬! 持って来たわ!」


 お、小野が来た。お前さんパーティーは?


「…………あ……ありがとう……」


 取り敢えず何が起きてるか分からんが、俺の扱いを受けてると悟った執事君は適応してるみたいだね~? じゃあ、しばらく替え玉頼むよ?


「……やっぱり……この声って今村じゃ……ない気が……」


 あ、しまった。俺の声を聞きなれてるレベルの知り合いなんていないと思ってたから油断してたわ。【偽玉】の効果の内【幻覚】は盗ったけど【幻聴】はまだ持ってないんだ。喋んな屑!


 ……まぁそれは良いとして……苦しんでるんだし薬渡してやれよ……それは後で俺が有効活用するから……


「今村? この部屋にいるんでしょ?」


 辺りを見渡し始める小野。この部屋から出て行くつもりもなさそうだし、執事君に薬を渡す気もなさそうだ。


 ……まぁいっか。あんまり疑われても困るし、最悪の場合でも多少ならサバイバルは出来るだろ……この城の金目の物持ち出すもアリだし、俺の能力で詐欺るのもアリだし……

 こいつと中学時代に少しだけ一応話とかしてたし、全くもって知らない仲というじゃない……俺は隠れたまま執事君を顔まで毛布に入れると声を出した。


「居るよ。【偽玉】移動。で、【闇玉】解除。」


 俺が姿を現すと同時に小野は俺を睨んだ。メイドが【幻覚魔法】を掛けるまでそこに何となくカメラっぽいのがあったのでその監視対策に【偽玉】を移動して今の俺は遠目じゃ執事に見えるようにしておく。


「やっぱり……あの部屋だと気を使ってるのか、相手を騙そうとしてるのか、とか思って声変えてるのかな? って思ったけど、人がいない状態で声変える必要ないもんね。……それに、あの今村が記憶喪失とはいえこんな簡単にやられるわけないよね。」

「あのってどのだよ……」


 こいつは俺を何だと思ってんだ……? いかん。新たな黒歴史製造中に何かやらかしたか? 俺、自分でも性質悪いって知ってるし……家も性質悪いし……


「……で、どういう事か説明してくれる?」

「断る!」

「……そんなに元気よく言われても……まぁ……今村だしね……」

「ところでその薬くれる?」

「え? あ、うん……」

「【薬玉】」


 よし、とれた。執事は我慢しろ。なぁに、死んでも有効活用するから。


「……その、ボールは?」

「俺の能力。あ、小野。雷出して。」

「……いいけど……【プチライトニング】」

「【雷玉】よし、ご苦労様。」

「……ちょっとステータス見せて?」

「えー、やだ。」

「私のから先に見せるから! ほら! 【ステータスクオ】!」


 俺は見せるとか言ってないからな? お前は勝手に見せてるだけだぞ? とか思いつつも一応見る。


 オノ コマチ (16) 人間 女


 命力:36

 魔力:342

 攻撃力:34

 防御力:26

 素早さ:131

 魔法技術:17


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【雷】

 【上級技能】…

 【中級技能】…【剣術】

 【初級技能】…【魅了】【近接戦】


 ≪称号一覧≫

 【異界の勇者】【雷女王】【恋に恋する者】【クラスの人気者】【戦乙女】


「……この……チートが……」

「えっ?」


 俺は出来るだけおどろおどろしさを滲ませて小野を睨んだ。


「ま……前の世界じゃあんたの方がもっと滅茶苦茶してたじゃない! 前世がどうのっこうのって……」

「……何の話かな?」


 滅茶苦茶の定義によるが、変なことはしてないだろうな……やっていないって断言できない俺が怖い……


「何か、世界を救う戦いとか……」

「それは知らん。」


 何それ? そんなことはしていない。……もしかしてこいつ……俺と同じように黒歴史……具体的に言えば前世とかいうの信じて俺に話しかけてるとか……? やたら親しげなのは中学生の黒歴史で高校時に同じような活動を……?


 いや、過去は過去だ。例え黒歴史をともに作っていたとしても今はまともだ。記憶喪失したからまともになったんだ……俺はもう治ったんだ……


「……あー何か痛いな……」

「え、急にどうしたの?」

「……まぁ色々思うところあってな……」


 声に少し出てたか。とりあえず誤魔化しておこう。


「ふーん……まぁ、いいけど……ところで、今村。その……この部屋って……待遇的にどう思ってるの……?」


 なんかこっちもいきなり話題変えたな……乗るしかないな。とりあえず率直に答えておこう。


「何とも。」

「私たちの部屋って、使用人がいるのよ。で、綺麗で……明るくて……」

「あ゛? 自慢?」


 成程、こいつも敵か。そんなことを思っていたら顔に出ていたようだ。小野が焦り始めた。


「じ、自慢じゃなくて! ベッドも広いよ! それで……その……そこの人が今村のベッドで寝てるじゃない? だから……」


 おぉ……もしかしてこいつ……


「腐ってるのか……」

「ちがっ! 嫌でしょ?私の部屋って、ソファでも寝れる位だから……」


 あぁ、俺を憐れんで自分の部屋に招いてくれるつもりか……まぁ憐れみとかノーセンキューなんだがね。でもお礼に一つ言っておこう。


「気を付けた方がいいよ。多分、各部屋監視されてるから。」

「ふぇ?」


 あ、何か今の可愛かった。


「え……じゃあ……この部屋も……」

「……ん? 勿論だが……アレ? 何か急にステータスが出た。【目玉】の横にLvが出て……2か。成程、そう言う感じか。」


 【目玉】の遠視はこれか。掛け直してたので強化されてるってことは武器もLv制か。


 どこまで上がるんかね?


「え……えっと、じゃあ……無理だね……」

「うん。この部屋だとそこの屑が解除したことを継続した態でやってる。今の俺は【偽玉】で屑になり切り状態。」


 何かしどろもどろになっている小野に追い打ちをかけると何故か急にこちらを真っ直ぐに見た。


「! じゃあ! 私の所に居ても問題ないよね! それ、私の専属人だって言ってたし!」

「…………いや、俺が消えるだろ。」


 それ扱いされた執事君の事を若干可哀想に思いながら俺はやんわり断る。俺に掛けてる魔法も寝たら解けるかもしれないし。


「アレはこのまま毛布に包んで縛っておけばいいよ!」

「……まぁ、お前がいいならお願いしたいくらいだけど……」

「うん! 勿論! えへ……えへへへへへ……」


 速攻で折れました。いや、嵌める気かもしれないし危険なのは理解してるんだが……実際、寝ないと瀕死だし、就寝中俺の身代わりにし続ける予定のこの男にはこのベッドで立派な身代わりを務めてもらわないといけない。


 でも、一緒に寝るのは嫌過ぎる。


 それなら目の前の美少女と同衾……って、うっわ……何だこいつ……折角の美少女面が台無しだな……

 え? てか、こいつ俺のこと好きなんじゃね? と思ってしまうほどの喜びようだ。……っと危ない危ない……思春期の男は相手の意図していないところですぐに勘違いに陥るんだ……


 恋愛事には関係ないが、過去こいつにはもの凄く極小単位だが酷い目に遭わされた。というか、迷惑を若干被った。……まぁ実害を与えて来たのはこいつの友人で頭悪すぎて若干俺の予想を超える程酷かったな……


 それはさておき、真面目に考えると勘違い云々以外にも、こいつが男以外に女子も俺の敵に回そうと俺を罠に掛けようとしているという可能性もある。


 痴漢とかセクハラは男が冤罪ってわかった後、拘留などで被害を受けていても訴えたら男は負けるのだから……何もなくても同じ部屋にいたってだけで色々邪推される世界なんだから……怖いんだ、この社会は怖いものなんだよぉ?


 ……はっ! 今、異世界に来てたんだった……


「……あ~やっぱ止めとく。」

「えっ……何で?」

「取り敢えず今日は色々やることがあるから。」


 これは嘘ではない。執事を尋問したい(色々とやっておきたい)のは本当のことだ。何でこの短時間で俺をハブることが決定したのかとか、何をする気なのかとか本当に帰らせる気はあるのかなど訊きたいことはたくさんある。


 幸い、俺に対する城全体の扱いは酷いみたいなので、俺が執事面で執事扮する俺をボコッてもま、国においても許容範囲内でしょ。

 逆にそれが駄目なら拘束される。その時には割と実害はなさそうだから入れ替わればいい。


「そ、そう……頑張ってね……?」

「あぁ……」


 どことなく寂しげに小野は去って行った。これからは情報命。自分を守るために頑張ろう!




イマムラ ヒトシ (17) 人間 男


 命力:50

 魔力:40

 攻撃力:32

 防御力:55

 素早さ:33

 魔法技術:68


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【近接戦】【杖術】【槍術】【刀術】

 【初級技能】…【剣術】


 ≪称号一覧≫

 【異界の人】



【異界の人】…成長に補正。

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