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王国支配下最後の村

 道中も主人公とクルルは色々殺しまくって補充してます。アシュリーは基本的に荷物持ちですが、時々戦ってます。

 こんな感じで約一カ月ほど各地の生態系を若干狂わせながら北へ移動して行くとカスティールという王国の中でも辺境と言われる村に着いた。


 王国の歴史観では山まで王国の土地らしいが、実際の支配権的にはこの村から先は帝国の支配土地だと覚えていたので、王国から出られて少々ではなく、かなり嬉しい。


「さて、流石にそろそろ人里に下りるか。」


 因みにここは温泉が名産だ。帝国と王国を阻む山脈の麓であり、清水が沸いているのだが、この世界では道中に魔物が出るのであまりここに来る人は少ない。


 貴族の道楽で来る人が偶にいるが、そのレベルともなれば自宅に風呂を用意した方が楽なのでここは地元の人しか入っていないようだ。


 秘湯ってやつだな。うん。金なら多少持ってるし泊めてもらえないか交渉しようかね。


「お? 旅人さんか。」

「獣人連れだね……」

「……あっちの子は……?」

「妾と妾の子と旅行かな……なら子にも猫耳がないとおかしいか。」


 好き放題噂してもらってるが泊まれるなら気にしない。あ、でも道は訊いとくかじゃないと全く分からんし。


「すみませーん。この辺りの宿泊施設って……」


 とりあえず旅人呼びした男に声を掛けに行く。貴族と思われて金を毟られるのは嫌だしな。

 そう思って声をかけると男は俺をじろじろ見て値踏みした。その後アシュリーとクルルも見る。


「一応ウチも貸し出しできるけど……獣人は……」


 アシュリーを見て少し微妙な顔をする男。しかし、王都ほど蔑視の感情は持っていないようだ。少し悩んでいる。


(王都とかその付近なら完全に獣人は物扱いだからあんまり気にする人もいないんだよなぁ……時々人里に下りた時には因縁つけてアシュリーに攻撃しようとする人もいたけどそれはそれで奴隷契約を盾に対応できたし……)


 簡単に言えば器物損壊罪のようなものだ。それを盾に高いんだぞ? と言って攻撃をさせなかった。問題事は起こしたくなかったので人としては庇っていない。


 そんな感じで今村が別のことを考えている中アシュリーは申し訳なさそうに今村を見ていた。今村は平然としている。クルルは今村につかず離れずの距離で珍しそうに周りを見渡す。


「そっちの獣人は別の施設になるけどいいかい?」

「部屋の中に居させるし……何だったらこれで……」


 男が断りの方に天秤を傾けたようなので、今村は先日も戦闘していたのでその戦利品の極々一部を握らせる。


「何とかできませんかねぇ?」

「ひゅ……こ、あ、まぁ辺境ですし、……帝国じゃ平等ですからね。お客さんが帝国人ってことなら仕方ないですよ。」


 男は今村が来た方向を最初から見ていたが、少しだけ早口で話を合わせてくれるなら泊めると暗に言ってくれた。今村は仄暗い笑みを浮かべる。


「そうですね。今から帝国に帰る所なんですよ。2週間……いや、1週間ほどお世話になりたいですね。」

「あー長旅お疲れ様です。それじゃ……宿の中では自己責任という事でお願いしますよ?」

「わかってます。」


 何か問題があったらあなたの責任です。当店は一切の責任を負いかねません。との旨を婉曲的に伝えた男に続いて今村は宿に向かう。

 今村はこの国の差別意識を少し甘く見てたな……フードつきの上か帽子でも買おうか? と思ったが、今村はこれ以上進めば平等扱いらしいしいいかと止めることにした。


「こちらです。」


 男が案内したのは王都よりは質素な宿であるものの、十分旅館と言える規模の木造の宿だった。


「いらっしゃいませ。」


 中に入るとすぐに女将がカウンター越しに挨拶をくれる。そして男が事情を説明した後女将は今村たちの方を見た。


「3人分の宿泊費用で大丈夫ですか?」

「えぇ。1部屋3人で幾らでしたっけ……?」


 今村は僅かに目を細める。軽く相手の観察をするためだ。それと分かっているが一応確認しているというニュアンスを若干込めている。


「朝夕つきだと1泊8000Gですね。1週間で55000G、2週間で10万Gです。」

「1週間で。」


 今村は即金で前金として5万G。大金貨5枚を支払った。そして女将から部屋番号のついた鍵と南京錠を手渡される。


「内風呂があるのでそちらは自由に。大浴場は20時から22時までとなってますのでご了承ください。」

「はい。それでは室内にある使用に当たってのご注意をお読みになってごゆっくりどうぞ。」


 今村とアシュリー、それにクルルは女将に背を向けて自室へと向かった。



















「ベッドなのー!」

「止めろボケナス。風呂に入ってからだ。」


 広めの部屋に入ると、すぐさま部屋の4分の1を占めているキングサイズのベッドにダイブしようとするクルル。

 しかし、今村はそれを許さず素早く回り込み、クルルの首根っこを摑まえて風呂に入ることを命ずる。毎日今村の術で風呂に入ってるとはいえ、今朝も山道を進んでおり、立ちはだかったり戦闘態勢に入った獣とかを殺戮しているため薄汚れているように感じるのだ。


 久し振りのベッドなのに汚れている状態なのは嫌だ。


「じゃ、先に入ってるから。そこでうずうずしてるアホ。風呂に入ってない状態でベッドに入ったらお前は野宿だ。」


 今村も横になりたいので風呂に入ることにする。しかし、クルルが心配なのでアシュリーに見張りを頼んでおくが、クルルが悔しそうにして言った。


「うぅ……クルルおふろすぐにはいるの! ベッドにダイブなの!」


 流石に人型の女性、しかも愛くるしい女の子の姿のクルルを前にお前より俺の方が綺麗になって休みたいからお前は後だと強くは出れないので今村は譲ることにする。


「……しゃあねぇか……アシュリー。クルルをきちんと洗ってくれ。ついでにその鳥も綺麗に洗え。ただし、風呂に入れるな外で洗うだけだ。」

「なの? アシュリーちゃんとなのー……? ごしゅじんさまーいっしょにいこうなの! クルルそんなきぶんなの!」


 今村は無視。アシュリーに目で連れて行けとだけ伝えると今村は備品の確認作業に入る。


「ねぇねぇごしゅじんさまーおふろはいろーなのー」

「……これが終わったらにする。」

「じゃーまつの~あ、あしゅりーおねえちゃんはごゆっくりなの。」

「え、あ……は、はい……」


 アシュリーは微妙な顔で今村をこっそり見た。今村は溜息をついてはいるもののクルルの申し出にこれ以上反対する気はなさそうだ。


「ご主人様……その…………なんでもありません……」

「何かあるなら言え。言いそびれて手遅れになったら困るしな。」


 今村は備品の整理と確認の手を止めてアシュリーを見る。アシュリーは心中の考えに通じる質問を今村にしてみた。


「ご主人様は……帝国人なんですか……?」

「それを聞いてどうするつもりだ?」

「いえ、その……」

「……純粋な王国人ではない。帝国人でもな。そうとだけ言っておく。」


 実際はこの世界の人ですらないがどこから情報が漏れるか分からないのでそこまで詳しくは言わない。


「…………そうですか……」


 がっかりした様子をどうにか隠そうとするアシュリー。今村は一応その辺を察してフォローを入れておく。


「あぁ、心配は要らん。その辺の奴らみたいに酷い事はしないから。」


(まぁ酷いもん見せてる自覚はあるけどな。)


 こっそり心中で何とも言えない笑いを上げる。すでに敗戦国の奴隷だったんだからそれなりの修羅場は見てるからいいかな~と思ってはいるがそれでも限度があるかね? と思わないでもない昨今だったりする。

 そんなことを思って手を止めているとクルルが今村の顔を至近距離で覗き込む。


「ごしゅじんさまーまだなのー? まだなのー?」

「アシュリー早く行け。」

「……クルルさんは……」

「ごしゅじんさまといっしょなの!」

「色々アウトだがまぁ……うん。ガキだし一緒でも特に問題はない。」

「そーなの! おとなになってもはいるつもりだけど、まだこどもなの!」


 こいつの大人状態って何だ……? と言う疑問を頭に過らせつつ今村はさっさと入れとアシュリーに言って手も目も備品に戻す。アシュリーは黙って風呂に入った。


 この後今村とクルルも風呂に入ったが、今村はアシュリーに任せればよかったと後悔し、面倒になってクルルを気絶させることになる。




イマムラ ヒトシ (17) ヒト 男


 命力:1098(前回+997)

 魔力:1826(前回+1706)

 攻撃力:986(前回+893)

 防御力:1002(前回+906)

 素早さ:827(前回+760)

 魔法技術:1918(前回+1801)


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【近接戦】【杖術】【槍術】【刀術】【魔導術】【気配探知】

 【初級技能】…【剣術】


 ≪称号一覧≫

 【異界の人】【アサシン】【軽業師】【魔物使い】【狂戦士】【魔導師】【魔人】【双玉遣い】


【魔導師】…魔術操作に補正。媒体無しで術式行使を行える。

【魔人】…殺害した相手から得られる力が微増

【双玉遣い】…【玉】を10まで使用可能。


 現在所持金…1305万G

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