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道中での対人戦

「止まりな!」


 道なき道を歩いていると鋭い声が上がった。


 アシュリーには人がいない方に行くように言っていたが、10人位の胸当てなどを着た奴らと鉢合わせしている。どれも武器を持っていて友好的ではなさそうだ。


 まぁ……少し先の方で結構な数の人の気配がして、そのうちの片割れが綺麗に消えて、残りが索敵してたって言う一連の流れをアシュリーから聞いてたから特に驚くことでもないけど。


 それを聞いたとき俺は少し考えてから運任せにすることに決めた。


 遭ったら殺す。遭わなかったら見て見ぬ振りをしておく。それでアシュリーになるべく避けつつ、大きく道から離れないように行くように言ったら遭ったのでこうなっているのだ。


 従ってとる行動は。


「【タスラム】ぶち抜け。」


 先手必勝。皆殺し。騎士団でもこの国とはすでに敵対関係だ。問題なし。仮に俺と同じ冒険者だったとしても人殺し集団に遠慮はいらん。


 盗賊や野盗相手取るのは騎士団で、冒険者ではない。依頼という線もないから大丈夫だろう。


 アシュリーが待ち伏せの合図などの会話を聞きとってたから少なくとも敵であることは間違いない。便利な猫耳だ。


「ゲッ!」

「こ……このガァッ!」


 一番最初に威嚇しに出て来たやつの頭をぶち抜いていきなり口上が途絶えたのに反射的に顔を上げた側近の顔もぶち抜く。


 本物の殺人をしたというのに興奮……忌避感はない。フム。こんなもんか。もう少しわくわくするかと思ってた。


「こ……ヤベげっ!」


 最初に前方の敵を皆殺しにした時点で恐怖が伝染する。逃げ出す奴らは……まぁ別にいいや。野盗が騎士団に訴えに出るとか笑えるし、どっちにしろここからはすぐにいなくなるしな。


 まぁ出来るだけ殺しておくけど。俺を殺そうとしてたし、経験値欲しいしな。殺そうとしてたんだから殺される覚悟はあったはずだよなぁ?


 そんなことを思って口の端を吊り上げながら逃げる者を殺していると男の一人が激昂したようだ。


「舐めるなっ!」


 相手は俺のすぐ近くまで走りながら大上段で両手剣を振り上げている。振り下ろししか出来んだろその状態で来ても……何? 舐めてんの? 胴体真っ二つにして欲しいって?


 自分でも軽く引くような思考の速さと動体視力の良さでそんな埒の開かないことを見ながら考え―――


「【琨瑚】っ!」


 【タスラム】を消すと美しい刀に変え、手元に召喚する。そして横薙ぎ一閃。


「ガァッ……」


 着られた男は両手剣の重さで重力に引き寄せられて上半身はそのまま後ろに崩れ、下半身も後ろに倒れた。

 しかし、そんなものを確認する暇はない。敵はその他にも大勢いるのだ。特に飛び道具を持っていた奴がいたはず。


「……ってアレ?」

「ごしゅじんさまとクルルのかちなのー!」


 そう思って先程ざっと確認した時に弓矢を装備していた奴がいた方向を警戒したが、そちらから聞こえたのは溌剌とした可愛い幼女の声。


「……あぁ。」


 そして周りを見るとクルルが雑用の短刀を血で染めて何人か殺していた。無邪気で残酷なブロンドの髪の美幼女は俺を見て返り血のかかった可愛らしい顔で笑いながら抱き着いて来る。


「ほめてなの~」

「あぁうん。」


 ここでクルルに対してだけ微妙に罪悪感を覚えるという何となく間違っている感を覚えつつも身包みの方を剥ぎにかかる。


「ひ……」


 アシュリーが怯えているが、それは放っておく。それにしても俺って奴は死体を前にしても特に感情が動くこともない。いや、重いな位しかは思ったが。やっぱ幼少期からの虐待って人格の形成に問題があるよ。うん。


「……とりあえず金と食糧。」

「ごしゅじんさま! このキラキラしたのほしいの!」

「あー……それどっかで見たな……何だっけそれ?」

「しらないの!」


 クルルも俺の真似をして各死体の道具袋から色々盗ったり、隠れていた荷物持ちが逃げた後の荷物漁りを始めていたが光の当て方によって7色に変わる宝石を見つけて俺の所に持って来た。

 あぁ、執事君の部屋に飾られていたアクセサリーをバラして持って来たデカい宝石だ。


 どこで見たのか思い出した俺が頷いているとアシュリーが下を見ながらおっかなびっくりで死体を避けるようにして近付いてきた。


「……それ……多分『虹の宝石』だと思います……見たところ王都に輸送しているキャラバンを襲ってたようですので本物かと……」


 近付いてきたアシュリーは死体にビビりながら俺に説明をくれた。……つっても名前を聞いてもそれが何だか知らん。


「クルル欲しいならやるよ。」

「!?」

「ありがとうなの!」


 アシュリーが驚きのあまり固まっているが知ったことではない。その宝石を持っていた奴を殺したのはクルルだ。なので俺の物じゃない。


 つーか持ってるしな。アシュリーを見るに希少価値がかなり高そうだったからそうほいほいと売れなさそうだ。足がつくの嫌だしな。……まぁ、綺麗だから持っておくだけ持っておこう。


「あ……そうだ。ちょいとグロイから見ない方がいいぞ。」

「……何するんですか……?」

「目玉貰う。」


 俺の言葉にただでさえ死体を見て血の気が引いているアシュリーの顔が蒼白になった。


「た……食べるんですか……?」

「誰が食うかボケ。【目玉】」


 道中何か思いの外いっぱい食べれたから色々喰い歩いてたから、誤解してんのか? 【玉】で貰っとくんだよ。ストックが欲しい所だしな……


「うわっきもっ!」


 人間の目玉の集合体が出来上がった。……レベルが上がったらしく新機能で目玉一つ一つを別方向に飛ばすことで多方面を切り替えて見れるけどキショっ!


「っと……やば……」


 どうやら魔力を使い過ぎたようで気絶間際になっている気がする。体を使った時とは違う疲労感で足がガクガクだ。しかし、流石に気にしないとはいえ死体の真ん中で寝れるほど精神に異常をきたしてはいない。


 獣が寄って来るからな。俺、まともな人間だからその辺気にするよ。


「少し疲れた。俺は休憩に入るから戦利品を頼む。」

「んー? なにをとればいいの?」

「食い物と金。後は適当に目星をつけてくれ。」


 俺は少し腰を下ろすことにした。するとアシュリーが怯えながらもクルルと荷物漁りを始め、アシュリーにくっついていた烏がアシュリーが漁った後の死体を喰い始めた。


 ……どこに入って行くんだあの量が……っつーか羽が生えそろってる。またクルルみたいになるのかね……? あの鳥オスかなメスかな?


 割とどうでもいいことを考えながらステータスなどを確認し、密かに笑っておく。


(順調に強くなってきてるな……だが、小野のステータスを考えるにまだまだ低い。皆殺しにするんだからもっと力を蓄えなきゃな……)


 相手は温室でぬくぬく育てられている。その分も考慮に入れて最低でもステータスが万は欲しい所だ……まぁ古代の伝承レベルの話だから本当にあるかどうかは知らんが……


「まぁ……とりあえずは王国から離れないとな……」


 目標の再確認を行い、回復に勤しみながら俺はアシュリーとクルルが働く姿を見て色々考えに思いを馳せた。




イマムラ ヒトシ (17) 人間 男


 命力:101(前回+12)

 魔力:120(前回+22)

 攻撃力:93(前回+14)

 防御力:96(前回+15)

 素早さ:67(前回+13)

 魔法技術:117(前回+17)


 ≪技能一覧≫

 【特級技能】…【玉】

 【上級技能】…【言語翻訳】

 【中級技能】…【近接戦】【杖術】【槍術】【刀術】

 【初級技能】…【剣術】【魔術制御】【視覚統制】【気配探知】


 ≪称号一覧≫

 【異界の人】【アサシン】【軽業師】【魔物使い】【狂戦士】【魔術師】


【アサシン】…命中力に補正。直感に補正。

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