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八話 町の中にて Part2
八話 町の中にて Part2
「予想外だったなあ……」
武器屋から出て、青年はぼやいた。
「まさかあんなに騒がれるとは」
今までに盗賊や旅人から手に入れた装備の一式。
それらを売ろうとしたところ、なぜか店主が大騒ぎしだしたのだ。
この印は!などと言っていたが、全く要領が掴めなかった。
とにかく、何かがまずかったらしい。
あてが外れてうなだれる青年の耳元では、触手が小躍りしていた。
「ちょっと。あれはたまたまです。次はないですから!」
青年が怒るものの、声に力はなかった。
それもそのはず。
人を食べないと決めた矢先にあれでは、ルーくんに対して全く示しがつかないのだ。
実際に、調子に乗られてしまっている。
「もう、突かないで」
片手で触手を追い払う。
しかし困った。
これから一体どうやってお金を……つまりたべものを得ればいいのかさっぱりわからない。
悠長に稼ぐつもりはないのだ。
道端に座り込み、据わった瞳で周りを見回す。
ああ、お腹がすいた。
そのとき。
倒れこみそうになっていた青年の目がとある看板を捉えた。
そこには、
『冒険者ギルド』と書かれていた。