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一話 街路にて
ちょっとした思い付きネタなので、なんだか適当です。
一話
ひと気のない、街路の途中。
遠い王都への道のりを歩いていた旅人は、一人の青年が倒れているのを発見した。
行き倒れだ。
「おい、大丈夫か?」
「え、ええ……すいませんが、お、願いがあるのですが……お、お……」
苦痛に顔を歪めた、気の弱そうな普通の青年だ。
盗賊の類ではなさそうだと旅人は判断し、助け起こす。
「お? ああ、王都に行きたいのか?だが、もうすぐそこに村がある。そっちのほうが近いだろう」
少し寄り道になるが、しょうがない、連れていってやるか。親切な旅人はそう考えた。
「おーー」
青年が何事かを呟く。
旅人は聞き返そうとした。
「ーーお腹がすいたので、食べさせてくれませんか?」
「あ?」
聞き返そうとして、それっきりだった。
***
ひと気のない街路を、気の弱そうな青年が歩いていく。
ほんのひとときのあいだ満たされたお腹をさすりながら。