募金
今回は小夏視点です(>m<)♪
「ご協力お願いします!」
「ご、ご協力お願いし、ます・・・」
ヤバい。
また怒られる。
「あのさぁ、海東さん」
「は、はい!」
きた。
「もっと声でない?
じゃないと募金集まんないよ?」
小母さんって怖い・・・。
「本当に支援したいの?」
私は、とある外国の被災地の皆さんの為の募金活動をしている。
「はい!」
「ならもっと声出して」
「はいっ」
「口だけなら、別にいいの!」
「はい」
「やる気あるの?」
「はい・・・」
「ほーら!またすぐしょ気る!」
小母さんの説教マシンガンには、いつもやられる。
「可愛いだけで、本当に役に立たない子ね!」
そう吐き捨てると、小母さんは自分の持ち場に戻った。
私、あの人の名前知らないんだよね・・・。
「ご、ご協力、」
「ナニナニ?募金活動?」
ゲッ!
何か奇抜な人達がやって来た。
また小母さんに怒られる~!!
「俺、募金しよっかな~?」
「まぢで?!」
嬉しい!!
「そのかわりぃ、俺達とカラオケ行かない?」
「は???」
「カラオケ行ってくれるなら、募金しよっかな~??」
ぅぅぅう。
募金はしてほしい。
でも、そういうのは・・・。
「え・・・えと・・・」
「戸惑ってるし!可愛い!!」
「す、すいません・・・」
「何か謝ってるし!!」
爆笑された・・・。
もう恥ずかしい。
「邪魔」
凄みのある声が彼等の笑いを止めた。
声の主は、私の前に進み出て、100円玉を入れてくれた。
「あ、ありがとうございます!!」
「何だテメェ?」
「コイツ、東校の伊藤ぢゃね?」
東校?
私の双子の真夏もそこに通ってる。
「だったらなんだよ」
「女の前でカッコつけるとか、まぢウケる!」
「つか、だせぇ」
何で?
何でそんなこと言うの?
私は段々腹が立ってきた。
「別にそういんじゃねぇし」
「まーたカッコつけちゃって」
「ホントになにさ、」
「止めてください」
私の声が、彼等の冷やかしを止めた。
「あ?」
「邪魔です」
「おじょーちゃん、急にどした?」
「だってよ。
そろそろどかねぇと、あの小母さんパンクするぞ」
彼の指差す先には、説教マシンガンを打ちかます、あの小母さんがいた。
「ちぇ、覚えてろ」
奇抜な人達は去っていった。
いつの間にか、助けてくれた彼も消えていた。
「あ・・・」
お礼言いたかったのにな・・・。
「お疲れ様でした~」
終了。
ノルマ達成。
「海東さんお疲れ~」
「お、お疲れ様です・・・」
あーぁ・・・。
私は1人、公園のベンチに腰を掛ける。
「お疲れ」
急に冷たいモノが、私の頬に当たる。
「うひゃ」
「元気じゃん」
あ・・・。
さっきの・・・。
「あの、さっきはありがとうございました!」
「別に礼とかいらねぇし」
彼は頭を掻きながら、そっぽを向いてしまった。
「名前・・・聞いていい?」
「え・・・・?」
突然な要求。
「か、海東・・・小夏・・・」
「海東・・・何?」
聞こえなかったようだ。
「海東です!それぢゃ!」
私は頬に当たっていた缶を逃れ、彼にさよならした。
伊藤君・・・。
彼の名前・・・知れてよかった。
「海東・・・・5組の・・?」
伊藤君の呟きは、私の耳には届かなかった。