教室
クラスメイトの声が鳴り止まない教室。
あたしと理沙は、そこに足を踏み入れる。
「理沙、真夏、おっはー!」
「おっはよー!」
「元気だねぇ」
真っ先に1番うるさいグループのリーダーが話しかけてくる。
秋元 葉月。
コイツを敵に回すと、色々とヤバいらしい。
「聞いて聞いて!!」
「何ナニナニ~!!」
「あたし、リョー君と別れた!」
「「はぁぁぁぁ???」」
あのラブラブカップルが?!
「何で?」
「浮気したの」
「浮気ぃ?」
「そ。
それで、浮気相手のほうがカッコイイから、そっちと付き合うことにした♪」
「まぢで?狙っていい?」
「リョー君ならもう知ーらない」
理沙だって、狩人だと思ってる。
言わないけど。
その後だった。
初恋の甘酸っぱさを知ったのは。
「海東って奴いる?」
海東 真夏。
それがあたしの名前。
「あたしだけど」
そう言いながら、あたしは振り返った。
目の前には・・・。
「伊藤だ!何でいんの?」
あたしでは無く、理沙が答える。
「牧本に用はねぇよ。
俺は海東に用があんだよ。
だから海東呼んでんだよ」
「何ソレ!超ムカ」
伊藤はあたしをガン見する。
「あんたマナのこと好きなの?」
理沙が意味不明な質問をする。
「はぁ?」
どっきゅーん!!
あたしの中で、何かが弾けた。
笑いかけてきた。
爽やか過ぎる、王子様みたいな笑顔で。
ヤバい・・・惚れちゃう。
「今、マナって言った?」
「ぅん。
ソレが何?」
伊藤はあたしのことを、嬉しそうに見た。
「いや、別に」
「何しに来たの?」
皆お願いだから黙ってて!
キーンコーン。
ゲッ!本鐘・・・。
「やっべぇ!またな、海東」
「あたしは??」
伊藤は風の如く走り去っていった。