登校
「おはよ!マナ!」
「おはよ。
あっ、髪切った?」
「どぉ?似合っちゃう?」
「似合わなーず」
「何語?てか、そこ似合うっていいなよ!」
朝からうるさいなぁ。
って思われてると思う。
あたしは友達の理沙と門を潜る。
「今日、駅前のカフェ行かない?」
「えー?あそこケーキ少ないぢゃん」
「そりゃアンタは<食いしん女王>だからねぇ」
「何?そのあだ名!」
「え?これは・・・って話逸れてる!
あそこの新しいバイトがカッコイイんだって~!!」
理沙はイケメンに目が無い。
「だから、一緒行こ?」
「・・・どうせ強制連行でしょ?」
「イエス」
「行くよ行くよ。
行きますよ」
「やったー!ケーキ奢るね」
「まぢ?リーチャ大好きぃ!!」
そんな日常会話を交わすあたしの耳に、一際デカい声が響いた。
「伊藤上がれー!!」
「決めろ!!」
「パスパス!!」
「伊藤ファイトー!!」
朝練真っ最中のサッカー部の声が響く。
「伊藤ぢゃん!カックイイ~」
「アンタって奴は・・・」
理沙の反応にはホント呆れる。
「ヤバ、橘がこっち見てる!」
橘 水際。
サッカー部のマネージャー。
可愛いが、イケメン狩人と呼ばれるくらい男たらし。
橘さんの視線があたし達を外した。
「橘って、伊藤狙いだよね?」
「らしいね」
「狩人にやられて欲しくないなぁ」
あたしは思う。
理沙も人のこと言えないと。