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第4話 フリーの冒険者

MP1の方のアクセス数が100万を超えました。

ありがとうございます。

フリーの冒険者



俺がこの世界に来てからすでに1月が経った。


といっても実は何もしていない――1月寝ていただけだ。


俺はここに来る前ここの世界の創造神が作ったRPGを1月以上寝ずにぶっ続けでやっていた。

そのせいかどうも寝不足だったみたいで一度寝付いたらこうなった。



「う~ん。 よく寝た!!」



俺はファンタジー世界にあるまじき電化製品で、ため込んでいた食材を取りだして料理を作る。

簡単な料理だが今は腹が減りすぎているので気にしない。


次々と料理を作り、作ったそばから食べることを繰り返した。



「ふ~ ごちそうさま!」



俺はおよそ100人分の料理を食いつくした。



「さてそろそろ行くか!」



家を【竜玉】に収納し、1月の間【竜玉】の中で俺の理想とする栄養満点な土となった元砂を振りかけて陥没地を埋めた。

ある意味神の加護を得たこの土地はしばらくしたら前以上に緑豊かになるだろう――と自己満足してみる。



とりあえず近くの町まで行こうと思うがさすがに竜の姿では目立ちそうなので、翼だけ出すことにした――ユニークアビリティ【部分竜化】である。



-びりびり-



「あ、やっちゃった」



背中から出現した西洋竜風の――本体東洋竜なのになぜ?――翼が俺の制服を破ってしまった。


うっかりしていたが換わりの服はいくらでもあるので、気にせずあとで着替えることにする。


俺は翼を羽ばたかせて飛翔し、この森の全体像を確認し近くの町を探した。



「お! 見つけた!」



森はだいたい半径50kmくらいの大きさで、ここから20km先の森の入口に小さな村が見えた。


地形とレッドディアーがいたことからこの森が「ディアーフォレスト」というシカっぽいモンスターが大量に生息している中級者向けの場所で、あの町が「トーリの町」であることが分かった――あくまでRPG通りであればだが。



「さっさと行きますか!!」



【ソニックウィング】



俺は高速飛行のためのスキルを使用し、町まで20kmを5分足らずで翔けた。


町が見えだしたところで高度を落とし、いちよう目立たない様にこっちの世界でも通じそうなマントを羽織った。



-トーリの町-



「おい、お前! ギルドカードを見せろ!」



トーリの町に入ろうとしたが門番の兵士に呼び止められた。

当然ながら持っていない。



「俺はフリーの冒険者だから持っていない。この町の仮証明書を発行してもらえるか?」

「フリーか……。ここの仮証明書を発行するには金貨1枚が必要だ。あといくつかの質問をさせてもらう」



金貨1枚=1万円か……まあ今結構金持っているから問題ないが。



「わかった」



俺はお金を払わない。



「早く金貨1枚だせ」

「仮証明書は町中のギルドで発行。その時にお金を払うことになっているはずだ。ここでは虚偽発見水晶を持たせて質問に答えるだけでいいはずだが……ここでは違うのか?」

「っく……。いやすまなかった。ではこれを持ってくれ」



何事もなかったように嘘をつくと赤く光る水晶を渡してきた。

俺はいらっときたが問題起こして騒がれるのも面倒なので黙ってそれを掌の上に乗せた。



「まず名前は?」

「ヤマトだ」

「出身地、種族、レベル、職業は?」

「黙秘する」

「おい! ふざけているのか!!」

「ふざけているのはそっちだろ!! 何でフリーの冒険者やっていると思っているんだ! それを答える意味がわからん!!」



この世界では冒険者は2種類いる。

1つが普通の登録済の冒険者で、もう一つが登録をしていないフリーの冒険者だ。


フリーじゃない冒険者は身分証明書、ギルドカードを発行してもらえ、ギルドのある町なら入国料は必要ないし、検査もほぼない。

さらに後述するがギルドで【祝福】を受けることができるなどの利点がある。


ただ登録や更新にはお金が必要だし、ドロップアイテムの売却義務、また強制クエストを科せられることもある。

またギルドカードには名前、出身地、種族、レベル、職業、ギルドランクなどの個人情報が書かれているため悪用されると危険だ。


特に俺はもう少し世界をみたいので情報を与えて騒がれるのは出来るだけ回避したい。

だからこれからもフリーでいるつもりだ。



「い、いやすまんかった。お詫びとしていいことを教えてやろう。最近フリーの冒険者でレベルが高いのに全くの素人というふざけた野郎が多くてな。フリーだとわかると襲われるかもしれないから気をつけろ」



あ~なるほど。

御同郷の方々が餌食になった結果か――やっかいな。


この世界ではロックまたは【識別】、【鑑定】などのアビリティ、スキルを使うことで相手のレベル(=強さ)が簡単にわかる。

特に自分よりレベル10以上になるとステータスは読めないので、本来ならば戦闘をさけるべきである。


しかし大量の高レベルの素人の出現で事情が変わってしまった。


この世界のレベルは一般人がレベル1~10(始めはレベル0だが)

一般的な職人や商人が10~20

一般的な兵士のレベルが20~30

一般的な冒険者が30~40


となっている。


当然ながら逸脱したレベルの者も多いわけだが……一方、非召喚者達は――プレイ時間15時間もあれば到達する――40以上が普通だろう。

つまり非召喚者達はほとんど高レベル、ステータスを見ることができない者ばかりと予想できる。


が、レベルが高くてこの世界の知識があったとしても、すぐにうまく立ちまわれるものは少数だっただろう。


装備品も貧弱で騙しやすそうな高レベルの素人――誰から見てもカモである。

低レベルの者が高レベルの者を倒すとすごい経験値がたまる。(吸収が大きい)


普段は高レベルの者は手が出せないが非召喚者達は面白いように狩ることができる――おそらくこの町の人は皆味をしめてしまったのだろう。



だからこの衛視も明らかに高レベルの俺もだましてやろうと思ったに違いない。


町に入る前からずいぶんやる気がなくなって来た。







【識別】

アビリティ。

戦闘系の職業の者は基本的に持っている。

ロックをかけずに(相手にばれずに)相手の種族やレベル、HP、MPなどを見ることができる。

山田俊郎ははじめこれを使ってヤマトのレベルを確認した。

主人公ヤマトは持っていない。


【鑑定】

スキル。

ロックや【識別】よりも多くの情報を得ることができる。

ただしロックをかける必要があるので相手にばれずに使うことはできない。

主人公ヤマトは持っていない。

次回【祝福】についての説明が入ると思います。

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