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STORY4:不思議な爺さん

微妙です

 今日は雨。

 ミーナはサミーを抱えて、大きな葉っぱを傘代わりに道を歩く。 ちなみに、リュウはずぶ濡れだ。

 ん?

 約1名はどうしたって?

 そりゃ、氷の傘で雨を防いでいるよ。

「ミーナぁ、まだ見え無ぇのか〜?」

 そろそろ雨も上がってきて、リュウが力無く言った。

「まだよ」

 リュウは再び肩を落とした。 そんなリュウに、救いの声を上げたのはヒョウだった。

 その片手には、望遠鏡らしき物が・・・。

「街・・・とは言えねぇが、村みたいな所があるぞ?あと、2〜3キロってところか・・・」

 嬉しいのだろう。 リュウは、それを聴いて自分が濡れていることを忘れたように雄叫びを上げた。

 五月蝿いリュウを黙らせるために、ミーナは睨む。 ついでにヒョウも睨んだ。

「なんで貴方がここにいるのよ?」

 ヒョウはシラケて肩をすくめる。

「別に〜?俺が行きたい方向にお前等がいるだけ。文句あっか?」

 ミーナは呆れて、それ以上何も言わなかった。

 "とりあえず、進もう"という考えが出てしまったからだ。 ミーナは、足をどんどん進めて行った。

              

 その村は、終わっていた。

 ぇ?

 意味が分からない?

 まぁ、簡単に言うなら『ゴースト・タウン』ってところかな? 要するに、ミーナの村みたいな所だ。

 3人+1人は、雨宿りをしながら終わった村を眺めていた。

 妙に懐かしさを思えるミーナとサミー。 気味悪がってるリュウ。 そして、何故か楽しそうにしてるヒョウ。

 合計4人は、ある家を見つめていた。 唯一、灯りを灯している目の前の家を・・・。

「・・・行ってみる?」

 サミーが嬉しそうに聞いた。 ミーナとヒョウも、それに賛成する。

 リュウは・・・。

 まぁ、彼にそのような権利は存在していないが・・・。 一応、反対だった。

「よし、決まりだな」

 ポムッ、と手を打って言ったのはヒョウだった。

 賢くみせるように指を1本立てると、再び口を開いた。

「行こう。このまま、ずっと雨宿りって訳にもいかないだろ」

 4人は家へと歩き出した。

              

 その家は、意外にも小綺麗にしてあった。 もし、今日が雨でなかったら、終わった村には似合わない姿となっていただろう。

              

ジリリリリ・・・

              

 ドアのベルを、サミーが(勝手に)押す。

 家の中から"は〜い"と、返事が返って来た。 明るいが、決して若くは無い男性の声。

 ガチャリ、と音がすると中から白い髭のお爺さんが顔を覗かせた。

「なるほど。さ、中に入りなさい」


 その家には、お爺さんが1人で暮らしているらしい。

「わしの名は、ユリーク。『リーク』でいいぞ・・・紋章を継ぐ子供達」

 リークはそう言って、"ほっほっほっ"と笑ってみせた。

 ミーナ達にとったら驚きである。 初対面、しかも今知り合ったばかりの人間だ。

 リークはミーナの側に寄って来る。

「お前さんも、紋章を継ぐ子じゃな?」

 ミーナは首を傾げ、腕のサポーターを外した。 その下には、(かたち)だけの蝶の痣。

 自分でも、何故こうなっているのかが分からない。 そう思いながら、ミーナは自分の痣をまじまじと見つめていた。

「わたしには痣がある。でも、呪文は使えない・・・」

 ミーナが呟くように言うと、リークは再び"ほっほっほっ"と笑った。

「それは、お前さんの強さが紋章に伝わっていないからじゃ」

「ち・・・か・・・ら・・・?」

 リークの言葉を、弱々しくミーナは繰り返す。 他の3人も、首を傾げていた。 その様子に驚いたのは、勿論リークである。

「お前さん達、知らんかったのか・・・?」

 リークは呆れた様子で、ミーナの腕を取って改めてその紋章を見つめる。

「この紋章は『蝶』。この世で3番目に強い紋章じゃ。伝説の勇者の中にはいなかった紋章でもある・・・」

 リークが一息ついたところで、サミーが口を開いた。

「で。ミーナの秘められた"力"が、その紋章の力を上回ってる・・・・・・って訳ね?」

 リークは驚きもせず、ただニコリと笑って頷く。

 ますます、ミーナの頭は混乱した。 自覚が無いのだ。 無理も無い・・・。 今まで、ただの人間だと、紋章を継ぐ子ではないと思って来たのだから。

「おぃ、爺さん。なんでそんなことまで知ってんだ?」

 ソファーを独り占めするヒョウが言う。

 多少の態度のデカさは気にしないとして・・・。(汗)

 ヒョウは、胡散臭気に鼻をほじりながら爺さん、リークの正体を求めた。

「わしは、ただのジジィじゃよ。ヒョウ、君」

 ヒョウは、寝そべっていた身体を起こして"は?"と聞耳をたて直しす。

「な、なんで俺の名前を・・・!?」

「その『氷』の紋章。そして、その位置。その瞳。メルガトの街を出て以来じゃな」

 リークは再び"ほっほっ"と笑ってみせる。 ヒョウはその顔に見覚えがあった。

 凄く・・・そう、捨てられる前に見たことがある顔だ・・・。

              

 一瞬、ヒョウが閃いたように瞳を輝かせた。

「あ!あんた、昔メルガトにいた・・・!?」

 言われた本人は、何も答えずただ笑った。 "ハズレ"では無いらしい。

「お前さん達、これからどこに行くつもりじゃ?」

 ガラリと話を変えてリークは言う。

 それに答えたのはミーナだった。 しっかりと、しかし、遠くを見つめて・・・。

「連合軍の総指令に会いに行くつもり」

 リークは、そうか、と笑う。

 よく笑うジジィだ。 リュウがそう思いながら、一緒に笑った。

 ミーナは依然として、遠くを見つめたままである。

「連合軍は、この先を2つ程越えた所に立たずんでおる。誰かを探しているらしい」

 ミーナ達は、一斉にリュウを睨んだ。

 『お前のせいで』のオーラが漂う。 特にミーナのが強い。 今まで笑っていたリュウの顔が、苦笑と化する。

「そんな顔すんな!文句があるならそこに行けばいいじゃねぇか!!」

 リュウの、最もらしく聞こえる意見にミーナ達は納得する。

 リークは笑いながら見ているだけだった。

              

              

 と、言う訳で・・・。

 再び、旅に出ることになったミーナ達一行は、カラッと晴れた空の下をゆっくりと進み始めるのであった。

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