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STORY2:続き

インフルエンザで携帯をいじる気力がありませんでした。お待たせしてすみません。 感想・評価 待ってます。

 リュウの語りはまだ続いていた。

「・・・てな感じで、あの人が指名手配なんて俺は信じない!」

「あっそ」

 もう、何も言いたくないミーナは耳をポリポリと掻きながら呟いた。

 既に、あれからかなりの時間が経っていた。

 サミーなんか、長い話のせいで眠ってしまったではないか・・・。

「・・・でな?」

「もういい。ちょっと黙って」

 再び話し始めようとするリュウに対して劔を構え、睨んでミーナは言った。

「ご、ごめんなさい」

              

ドォォォォン・・・!!!

              

「「「な、何!?」」」

 あまりにも突然のことで、3人にはよく分からなかったが、次の瞬間ミーナの絶叫で分かった。

 再び、家の屋根が吹き飛んでいたのである。

 考えられるのは、昼頃に屋根を吹き飛ばしたあの2人の男。

 ミーナは怒って、劔を持って飛び出した。

「いい加減にしなさいよ!!」

 2人の男は、驚いた様子を一瞬だけ見せたがすぐにニタニタと笑う。

 "な〜んだ、ただの女か・・・"とぐらいにしか思っていないように見える。

 その姿に、ミーナはカチンとした。

「この村の女か?」

 男の1人、黒い軍服を着た顎髭が目に付く奴がミーナに聴いた。

 以後、この男を顎髭と呼ぶ。

「そうよ、だから出てって」

 2人の男はケラケラと笑い出す。

 何が可笑しいのやら・・・。

 顎髭のとなりにいる、同じく黒い軍服を着たモミアゲが目に付く奴がミーナに劔を構えた。

 以後、この男をモミアゲと呼ぶ。

 顎髭も、劔を抜いた。

「おい女。ここに、指名手配犯・サンドラゴが来てないか?」

 顎髭が聴いた。

 ミーナは黙って首を振る。

 モミアゲがミーナの首に劔を向けて、同じことを聴いた。

「ここは田舎よ?そんな知らせが来る訳無いじゃない」

 ミーナは、恐れる訳でも無く、驚く訳でも無く・・・。

 ただ、本当のことを当たり前のように答えた。

 顎髭が合図を送ると、モミアゲは劔を降ろした。

「そうか・・・。なら、仕方ないな。おい」

 顎髭は再びモミアゲに合図を送る。

 モミアゲは、背中に装備していた大砲のような拳銃をミーナの家に向けた。

 そして・・・・。

              

バシュッ!バシュッ!バシュッ!!

              

 躊躇い無く、次々と撃って行った。

 それにはミーナも驚いた。

 まだ中には、サミーとリュウがいるからだ。

 モミアゲの砲撃のお陰で、ミーナの家はものの見事に崩れ落ちた。

 全てが土に帰った時、顎髭とモミアゲはかん高く笑い出した。

「うっ・・・うわあぁぁぁ!!!」

 ミーナは劔を構えて2人に向かった。

 長年住んだ家を、沢山の想い出が詰まった自分の家を、綺麗サッパリ無くした2人に向かって。

 顎髭とモミアゲは、鼻で笑いながらミーナの動きをかわした。

 少し、劔で服を破いてみせる。

 その、ニタニタした顔からは下心が見え見えだった。

 ミーナは、服をボロボロにされても諦めずに向かった。

 ミーナの執拗な攻撃に、モミアゲは苛立っていた。

「しつけぇんだ・・・よ!!」

 モミアゲはそう言って、ミーナの腕を斬り付けた。

 ミーナは声無く倒れる。

 腕からは血が流れ、何時も隠すように着けていたサポーターがズルズルと地面に落ちた。

「「!?」」

 サポーターの下に浮き出た、ミーナの腕の痣に2人は驚きの表情を見せた。

 ぼんやりと浮き出たミーナの痣を見て・・・。

「お、おい・・・。マジかよ」

「この女・・・。まさか・・・・」

 ミーナは、訳も分からずに顎髭とモミアゲの2人を睨んでいた。

 彼女にはもう、攻撃する力は残っていない。

 何を血迷ったのか、2人はミーナに向かって劔を本気で向けた。

 ミーナの顔に、恐怖の色が現れる。

 2人は、勝ち誇ったように微笑んだ。

 顎髭は、劔先をミーナの頭の上で構えた。

「死ねーーー!!!」

 一度振り上げ、そしてその高さから一息に振り降ろした。

 ・・・・が、それは降りきられなかった。

 遥か遠くで、空き缶が落ちたような高い音が聴こえた。

 ついでに、誰かの笑い声も聴こえた。

「女相手に容赦無ぇなあ・・・おい!!」

 逆光のせいでよく見えないが、それはまさしくリュウの声だった。

 それを見た2人は、同時に叫んだ。

「「出やがったな!」」

「リュ・・・ウ?」

 ミーナは、力無く呟く。

 2人は、リュウを・・・知って・・・いる・・・?

「《獄炎》・・・!!」

「リュウ・サンドラゴ!!」

 その時、ミーナの頭は真っ白になった。

 何を言っているのか・・・分からない。

「キルフレイム・・・」

 リュウの両手から、紅い炎が生まれメラメラと燃える。

 顎髭とモミアゲは、腰を抜かして座り込んでしまっていた。

 リュウは、ニヤリと笑みを溢す。

「帰れ。それとも・・・喰らいたいか?」

 リュウの言葉に反応して、2人は逃げ去る。

「帰ったら言っておけ!!勝手に俺様を指名手配にすんなってな!!」

 逃げる2人は、それを聴いていたのか・・・聴いていないのか・・・。

 よく分からないまま、時間だけは過ぎて行った。

              

 ミーナは、リュウを睨んでいる。

 リュウは、思わず目を反らす。

「説明して」

 それだけ言った。

 リュウは小さい声で、はい・・・、と答えた。

「はいはい、そぉです。俺がサンドラゴです!・・・でも、俺にも理」

 ミーナは、リュウの言葉を最後まで聴かずに劔を振った。

 首にギリギリの所で止めたが、リュウはビビって言葉が最後まで続かなかった。

「言ってたわよね?"あの人が何時も助けてくれる"・・・って」

 あれは嘘だったの、とミーナは聴いた。

 リュウは首を振る。

 嘘ではないらしい。

「俺を助けてくれるのは俺自身だ。・・・嘘ではないだろ?」

「屁理屈ね」

 2人の後ろから声がした。

 白猫のサミー(人間だけど)の声。

 しかも、冷たく、厳しく言った。

 確かに、屁理屈かもしれないけど・・・。

 と、リュウは1人と1匹に挟まれて嘆いた。

 てか、無事だったのかお前・・・。

「本当のこと言いなさい。じゃないと・・・ミーナ、キレるわよ」

「・・・分かった!分かったからその劔を降ろせ!!」

 リュウはもう一度、ミーナ達に自己紹介を始めることにした。

 まずは、名前から・・・。

「俺様はリュウ・デューク・サンドラゴ。世界一の大富豪と呼ばれるあのデューク家だ。でも、俺は金持ちの生活が嫌になって飛び出した。どぉせ、家を継ぐのは俺だと決まっているからな。んで、暫く旅してたら何時の間にか《獄炎のサンドラゴ》とかいう指名手配にされて・・・。ま、犯人は分かってんだけどな。連合軍のジジィめ・・・」

「「連合軍!?」」

 リュウのあっという間の自己紹介が終わると、ミーナとサミーは声を揃えた。

 ミーナは思い出す。あの、見たことのある黒い軍服を・・・。

 この世界には、『連合』と呼ばれる軍団が存在する。

 それは、魔族と闘った勇者の1人が創立したものだという・・・。

 勇者が死を迎えた時、『連合』ではその勇者の名を大佐に昇格した者に授ける、というしきたりが始まった・・・と、言われている。

 え?

 なんで、そんなに確信が無さそうに言うのかって?

 それは、噂だからだ。

 『連合』という軍団が存在していることさえ、最近まで噂とされていたくらいだ。

「ちなみに、俺は『竜』の紋章がある」

 リュウが話を戻すように言った。

 サミーが、リュウのハチマキを取ってみせた。

 が、そこに『竜』の紋章の姿は無い。

「そこじゃねぇよ。ここだ、こ〜こ!」

 そう言って、リュウは上着を上げて割れた腹筋と竜を現した紋章を2人に見せた。

 調度、心臓の辺りから右側にずれた所にそれはあった。

 ハチマキはただ着けているだけのようだ。

「ねぇ?『竜』の紋章って、何が出来るの?」

 ミーナの素朴な質問だ。

 サミーの紋章のことしか知らないミーナの、当たり前の質問だった。

 サミーが取ったハチマキを結び直しながら、リュウはその質問に答えた。

「火に近い力があるな・・・。紋章には『炎』ってのもあるから、それよりは弱いけどな」

 リュウはそう言っていたが、詳しいことは分からないらしい。

 ミーナとサミーは、呆れて言葉が出なかった。

 そして、口を揃えて言う。

「「ばっかみたい」」

 自分のことだというのに、知らないだの分からないだので済ませるリュウが、馬鹿らしく見えたのだ。

 そんなリュウは、ただ苦笑していた。少しは自覚があったようだ。

「・・・ミーナ。これからどうするの?」

 とりあえず、馬鹿なリュウは放って置いて、サミーは聴いた。

 この、目の前にいる馬鹿のせいで壊された村・・・そして、家。

 ミーナは、考えに考えて劔をリュウに向け直した。

「わ、ちょっ!タンマ!!」

 劔を向けられたリュウは、慌てた様子を見せた。

「責任取りなさい」

 劔を手にする者が言った言葉とは思えなかった。

 その蒼い瞳から溢れ落ちる涙と共に口から溢れたという感じだったのだ。

 後ろの方で、サミーが何やら荷物をまとめ始めている。

 大きなリュックだ。

 その隣にある小さなリュックのことを考えると、どうやらこの村を離れる気らしい。

「た、旅に出る気か!?」

「文句が言える立場だと思ってんの?」

「いえ、あの・・・ごめんなさい」

 グサリと、ミーナの言葉がリュウに突き刺さる。

 リュウは、冷や汗を垂らしながら、どうするんだ、とミーナに尋ねる。

「わたし達に協力するの」

「はぁ?」

 リュウは、今日一番の大きな目を点にしてそう言ったのだった。

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