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で、何がしたかったの?

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/10/05

どこで選択を誤ったのか、今となっては確かめようもない。

最初から巧みに噛み合っていたわけではなかった。けれど、擦れ違う小さな音を「よくあること」だと笑い飛ばし、見て見ぬ振りを重ねてきたツケが、最悪の形で回ってきただけなのだと思う。

失うまいと焦るほど手元から零れ落ちていく感覚に、ただ喉が干からびていく。

言葉を重ねれば重ねるほど、ふたりの間に横たわる溝は深く、冷たいものへと変わっていった。

すべてを修復しようと足掻いた結果が、この有様だ。


 何がしたかったの?  

 誰もが最初に思いつく感想がまずそれ、のようだった。

 愛美(あいみ)も同じ感想を言った。

 やはり、言葉を並べ替えても

崩れた空虚は戻らないのだ。

ただ、指先に残る冷たい熱だけが

意味のない肯定を告げていた。

静寂が部屋を満たし、壁時計の針だけが淡々と時を刻む。諦めにも似た息を吐き出すと、スマートフォンの画面が淡く光り、愛美からのメッセージが表示された。

『ねえ、本当にこれで終わりなの?』

 わたしは、何の言葉も紡ぎ出せなかった。ただ、空虚と性逆の中に逃げ込むのだけで精一杯だった。

 何がしたかったのかなんて、自分でもわからない。わかっちゃいない。

 わたきら無言のままそこを立ち去るしか出来なかった。

ご覧いただきありがとうございます。

擦れ違いの果てに残る、言葉にできない空気感を形にしてみました。

ほんの少しでも心に残るものがあれば幸いです。

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