で、何がしたかったの?
どこで選択を誤ったのか、今となっては確かめようもない。
最初から巧みに噛み合っていたわけではなかった。けれど、擦れ違う小さな音を「よくあること」だと笑い飛ばし、見て見ぬ振りを重ねてきたツケが、最悪の形で回ってきただけなのだと思う。
失うまいと焦るほど手元から零れ落ちていく感覚に、ただ喉が干からびていく。
言葉を重ねれば重ねるほど、ふたりの間に横たわる溝は深く、冷たいものへと変わっていった。
すべてを修復しようと足掻いた結果が、この有様だ。
何がしたかったの?
誰もが最初に思いつく感想がまずそれ、のようだった。
愛美も同じ感想を言った。
やはり、言葉を並べ替えても
崩れた空虚は戻らないのだ。
ただ、指先に残る冷たい熱だけが
意味のない肯定を告げていた。
静寂が部屋を満たし、壁時計の針だけが淡々と時を刻む。諦めにも似た息を吐き出すと、スマートフォンの画面が淡く光り、愛美からのメッセージが表示された。
『ねえ、本当にこれで終わりなの?』
わたしは、何の言葉も紡ぎ出せなかった。ただ、空虚と性逆の中に逃げ込むのだけで精一杯だった。
何がしたかったのかなんて、自分でもわからない。わかっちゃいない。
わたきら無言のままそこを立ち去るしか出来なかった。
ご覧いただきありがとうございます。
擦れ違いの果てに残る、言葉にできない空気感を形にしてみました。
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