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雑魚冒険者が拾ったのは、ボロボロの元魔王でくっっっそヤンデレ  作者: 菊池 快晴@書籍化決定


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1話 ボロボロの元魔王

「ユリウス、どうだ? 今日は稼げたか?」

「おいやめろよ。ユリウスは今日も頑張ってるんだぜ」

「スライムの名前は、スライムなんだよなあ?」


 冒険者ギルドに入ると、酒浸りの男たちが俺を揶揄ってきた。

 理由は単純で、俺が落ちこぼれだからだ。


 この世界では、十歳になると能力(ギフト)を授かる。

 炎を操る魔法や水を操る魔法、怪我を治す治癒などが重宝される。

 かつて世界を恐怖に陥れていた魔王は、なんと千の能力(ギフト)を持っていたらしい。

 さらに魔王を討った勇者は剣星(けんせい)能力(ギフト)を持ち、目にもとまらぬ剣技を放ったという。


 そして俺、ユリウスの能力(ギフト)は、対象の真名(しんめい)が見える、つまり名前がわかる能力だった。

 

 当然だが戦闘では使えない。

 使いどころといえば、身分を隠してる奴がわかる程度だ。

 そんなの、田舎村出身の俺が使いこなせるわけもなかった。


 それでも食うためには金を稼がなきゃいけない。

 腕を磨いて冒険者になり、俺でも倒せる魔物を探し続けた。

 いつか、この努力が報われると信じて。


 だが現実はそう上手くいかなかった。

 強い能力(ギフト)を授かった連中が次々と俺を簡単に追い抜かしていく。


 当然、俺の能力ではパーティーも組めなかった。


 学歴も身分もない俺は、まともな仕事に就くことすら難しい。


 だがそんな俺にも夢があった。

 それは、大勢から尊敬されることだ。


 まだ、そのとっかかりすらわからないが。



「ユリウスさん! この魔石、A級ですよ!?」


 すると突然、ギルドの受付が興奮気味に叫んだ。

 どうやら俺の倒したスライムが偶然にも良い素材を食べていたらしい。

 まだ消化されずに残っていたとは、こんなことは初めてだ。


 嬉しかった。必死に続けていればいいことだってある。


 金額を聞けば、一か月は綺麗な宿で眠ることができそうだ。

 

 とはいえ節約は大事。

 有頂天にならないようにしよう。


 でも、今日ぐらいは美味しい食事でもしたい。


 ギルドを出てそんなことを考えていると、変な奴らにつけられているのがわかった。

 どうやら、さっき俺を揶揄っていた連中だ。


 なるほど、酒を飲みながらも、強かに聞き耳を立てていたのか。

 

 ギルドでご法度、最低な行為だ。


 このまま金を奪われるわけにはいかない。

 曲がり角で走ると、後ろから怒号が聞こえた。

 やっぱりそうだ。


 どこか身を隠すところはないかと周りを見渡していたら、地下へ続く通路を見つけた。

 ここが何かはわからないが、仕方ない。


 すると、真っ暗な空間に出た。

 何も見えない。

 茫然としていると、ボヤッと明かりが見えた。

 怪しげな老人だ。


 名前が見える。


 ――ロング・ファラル。


「おや珍しい。ここへ来るのは高齢の方が多くてですね」

「道に迷ったんだ。すぐ出ていくよ」

「ほお、これも何かの縁です。どうぞ、お暇つぶしに」

「暇つぶし?」


 奥へ手招きされて、何となくついていく。

 すぐにここが何の場所かわかった。


 ――奴隷市場だ。


 合法とはいえ、こんなところにあったとは知らなかった。

 老人は、鉄格子に捕らえているデカい獣人を俺に見せてきた。


「こちらは西の森で捕獲されたのですよ。どうですか、相棒に」

「相棒?」

「見たところ冒険者でしょう。それも、苦労している。イヒヒ、いい武器、防具になりますぜ」


 ……そういうことか。

 今まで考えたことはない。

 なぜなら、まとまった金なんて入ったことがなかったからだ。


 武器、防具とまでは思わないが、相棒がいれば随分と楽になるだろうな。


「おや、気になりますか」


 それから老人は、俺のことを見透かしたかのように強そうな獣人を紹介してきた。

 でも、心のどこかで止まれと声が聞こえる。


 だがついさっきのことを思い出す。


 もし上の連中から逃げきれても、一ヶ月後にはまたその日暮らしだ。

 だったら奴隷を購入して相棒にすればいいんじゃないか?

 粗末に扱わなければいい。ただ、一緒に暮らすだけだ。


 持ちつ持たれつ、それなら相手も納得してくれるはず。


 俺の心が傾掛けていたとき、怪しげな鉄格子を見つけた。

 中には、布でくるまれた何かがある。

 俺の能力は、対象を視界に収める必要がある。

 ただ一部だけ見えている場合は、名前がボヤけたように表示される。

 これにほとんど意味はない。だがそのおかげで、中に誰かがいるとわかった。


「ああ、それはダメです」

「……ダメ?」

「もう死ぬと思いきや、いかんせんしぶとくてねえ。――ダークエルフみたいですが、どこの生まれかもわかりゃしません。はて、どこで拾ったのか」


 老人が鉄格子を開け、布を取る。

 現れたのは女の子だ。

 恐ろしいほど傷ついている。

 ダークエルフといえは黒髪か白だが、色素が抜けているのか銀色だ。

 耳もちぎれかけており、肌はボロボロ。

 呼吸もほとんどしていない。種族的に年齢はわからないが、もうすぐ二十歳になる俺よりも年下に見える。


 そのとき、俺の能力が発動した。


 その瞬間、俺の全身が鳥肌を立つ。


 ダークエルフの名前は、リドゥル(・・・・)・ベルファール。


 この女の子は、数百年前、勇者の手によって討たれたはずの、かつて世界を支配していた魔王の名前をしていた。



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