終焉の化身
なんで、、
肉が焼ける嫌な匂いが鼻を付く。
人々の歓声が上がり、サルンの頬を涙が伝った。目が、合う。
「ごめんね」
「!」
業火が彼女を飲み込んでいく。燃料が無くなり燃え尽きた後に残ったのは夕顔を象ったペンダント。
「ユウガオの花言葉は・・・「罪」」
手に血が滲む程強く握り締める。
巫山戯るな。神は彼女の、私たちの存在が罪だとでも言うのか。
「ッッ・・・!!」
涙で視界が歪み、嗚咽が漏れ抑えられなくなる。
「何が・・・ッ全知全能の神だ!」
感情が昂り頭に血がのぼっているのが分かる。
「だったら・・・助けてよッ見捨てないでよ!!!!」
周りの人達の「異端者だ」「捕まえろ!」と言った声に体の奥底が熱を持つ。
お前らを許さない。許さない許さないユルサナイ・・・!!
【強い反逆の意思を感知。覚醒Mode︰終焉を実行しますか?yes/no】
・・・?頭の中に音声が?
『繧イ繝タ繝ン縺檎匱逕溘>縺溘@縺シ縺励◆縲ャ?』
痛い。頭が割れそう・・・!声、2つ、重なって・・・!!
【バグが発生いたしました。 の介入を検知。排除します】
『雋フ譁ザ縺ケ莠九ル諢帙@縺ナ螻!』
【排除いたしました。実行いたしますか?yes/no】
分からない。何が起こっているのか。けど。与えられた選択肢を手放す訳にはいかない・・・!!
「yes」
【実行しました。《カルマ 宵と暁の背徳者》《カルマ 終焉の裂傷・欠》《極限開放 罪悪の裁断者》《スキル 生きとし生き得る者》《スキル 知り得る者》を獲得】
「??」
カルマ・・・人の業??結論から言います。絶賛宇宙猫状態です。全く分かりません。意味不明。突然未知の単語をツラツラと並べられても右から左に抜けるだけなのですが。
【馬鹿な事言ってないで反撃したらどうですか?】
随分と辛辣な物言いですがご忠告感謝いたします。
えっと、確か・・・
「カルマ 宵と暁の背徳者」
―――そして皆例外な存在を識るだろう。
教会で読んだ神話の讃美歌の一説が頭を過る。
世界が反転し出会う筈の無い月と太陽が手を取り合う。
「・・・なるほど、空間を支配する能力ですか」
便利ですね。使い勝手が良さそうです。
【時間制限があるので早く逃げた方が良いと思いますよ?】
辛辣ですね。もう少しオブラートに包めないものですか?
【貴方に言われたくありません。早く逃げて下さい】
「・・・後で沢山質問させて貰いますからね」
【どうぞご自由に】
私は足早に街を離れた。
◇◇◇◇
「―――で?貴方は何者なのですか。人の業とは何なのですか。スキルは?さっき介入してきたもう1つの声は?覚醒とは何ですか。私は一体何に足を突っ込んでしまったのですか。それから―――」
【待って下さい。質問が多すぎます。一旦落ち着いて下さい】
「私はいつでも冷静です。早く答えて下さい」
【はぁ・・・私はの事はアルトゥㇲと。カルマとは悪魔と魔女が使う「神が定めた運命に逆らう為の力」です。スキルは誰もが生まれつき持っている力の事です。普通は5歳になると教会で授けられるのですが・・・貴方の場合、原初の力があって神殿を覆う聖なる力を無意識に避けた結果今の今まで知りえなかった様ですが】
「確かに、そうですね」
孤児で神殿に入れて貰えなかったというのもあるのですが。
「名前はアルトゥス・・・深き者、ですか」
【えぇ。そして介入して来たもう1つの声についてですがアレは新たな厄災の誕生を阻止しようと偽善野郎が差し向けて来た刺客の様な物です】
急に口調が乱れましたね。何かしらの因縁でもあるのでしょうか?
【後は何に足を突っ込んでしまったのか、でしたっけ?貴方が入り込んだのは奪い奪われるこの世界において理不尽に奪われ、人智を超えた力を持つ人ならざる者達の領域です】
「強いんだか弱いんだか分かりませんね・・・」
【まぁ、そうですね。一般人から見たら私たちは人智を超えた化け物です。ですが】
「狩人から見たら炎で簡単に焼き尽くせる赤子同然の存在」
【・・・チッ正解です】
「今舌打ち」
【してません】
「・・・そうですか」
【それで?貴方はこれからどうするおつもりなのですか?】
「どう、と言いますと?」
【貴方の存在は恐らく狩人達の耳に入ってると思いますよ】
「確かにそうですね。顔も割れている可能性が高いのでずっとここに居る訳にはやっぱり行きませんよね・・・」
【ずっと気になって居たのですがここは何処なのですか?スラムの中である事は分かりますが】
「そこまで分かるなら容易に答えに辿り着くのでは?ここは私と兄様・・・リトが住んでいた家です」
【そうなのですね】
「質問して来た割には興味がなさそうに見えますが」
【気の所為です】
静かにため息を付く。有能な事に間違いはありませんがこの先不安でしかありません。
【そうですね・・・行く宛が無いのでしたら楽園を目指して見ては?】
「楽園?」
【えぇ。どんな種族も受け入れている場所です。そこには狩人共も入る事は出来ません】
「・・・分かりました。連れて行ってくれますか」
【あ、言い忘れていましたが私、行き方分かりません】
「―――はぁ?!?!?!」