03 二度目の人生
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そうして、スカーレットの二周目の人生が始まったが、二周目の人生も失敗だった。
16歳で断罪される6年前の10歳にスカーレットの時は戻っていた。
王から王太子の婚約者に推薦するという話はスカーレットの希望を聞いた両親により断ってもらったものの、社交界でスカーレットの美しさが評判にならないわけがなかった。
王城のパーティーでスカーレットの姿を目にした王太子はスカーレットに一目惚れして王にわがままを言い、スカーレットには王太子の婚約者になるように王命が下った。
この先の流れをスカーレットは知っていた。
だから、この人生を早々に捨てることにして、スカーレットは12歳を目前にして自害した。
曽祖父の目の前での自害ではなかったため、時を戻すことも生き返ることもできない可能性はあったが、自分がいなければ両親は無事だろうと考えてのことだった。
しかし、そうではなかったのだ。
闇よりも深い真っ暗闇の中、意識が宿ったスカーレットの魂の前には曽祖父の骸骨が立っていた。
相変わらず豪華なローブを身につけていたが、それが前回のものとは違っていた。
どうやらこの骸骨、何気に身なりには気を使っているらしい。
「其方のせいで其方の両親は酷い目にあったぞ」
曽祖父の言葉にスカーレットは耳を疑った。
「其方が自害したことを王太子がひどく怒ってな。其方の両親は王太子の婚約者を守れなかった罪人として極刑となった」
スカーレットは愕然とした。
「さらに、そのことに怒ったスカル領の者たちは暴動を起こし、スカル領の騎士団が領民を統率して王都へと乗り込んだ。当然、王都の騎士と他領からも集められた騎士の方が数の面で優勢であり、スカル領の騎士たちはあっけなく負けて、その場で殺された者もおるし、捕らえられて拷問の後に死んだ者もおる」
暗闇の中、スカーレットは静かに泣いた。
やはり、自分には力が足りないのだ。
両親を守り、領地の者たちを守るための圧倒的な力が、スカーレットには必要だった。
「大お祖父様、わたくしに力を貸してくださいまし」
リッチとなり魔法を極めた自分の力を貸せとは随分と図々しいとも思ったが、骸骨の男はスカーレットのことを気に入っていた。
ひ孫は、リッチである自分に王太子や王に手を下して欲しいとは言わなかった。
力を貸して欲しいという申し出は、その後は自分で何とかするという意思表示だ。
「わしの力は今のお前の魂では受け入れ切れんじゃろう。下手をすれば魂が崩壊して2度と生まれ変わることができん」
「大お祖父様のように強い魂となるためにはどうしたらよろしいのですか?」
「とにかく魔法を学び、研鑽し、己を磨け」
スカーレットは深く頷き、三度目の人生を歩み出した。