79 光陰の魔女・協力者たち
いよいよ魔女による教会に対する反撃が始まります。
1978年6月
アメリカ国防捜査局 局長ジェイソン・ウィリアムズ
ジェシーの葬儀が終わり、職員も彼女がいないことに慣れ始めた。
ジェーンから聞いた話によると教会という連中は屍霊術という技術を独占しているらしく、ジェシーはその魔術をかけられた疑いがある。
そのため、術式の痕跡を調べるという理由で遺体は埋葬されず、国防高等研究計画局の防衛科学研究室に移送されることになった。
俺はそこまで敬虔なカトリックではないが、自分の死後、その身体が研究のためにバラされるのはごめんこうむりたい。せめて安らかに眠らせてほしい。
彼女の葬儀にはなぜかジェーンも出席しており、葬儀が終わった後でパックスの両足を診てもらうことになった。
あんなに簡単に元通りになるとは知らなかった。魔法ってスゲーな。
パックスのヤツ、自分の足が石灰と豚肉で治っていくのを見て絶叫していたよ。
休日出勤にもかかわらず、デスクでニヤニヤしていると、新しく配属されたアリサが書類と一緒にコーヒーを持ってきてくれた。
「局長、ご機嫌ですね。やっぱりパックスのことですか?」
局内でパックスのことは有名になっている。
誰が言いふらしたわけでもないが、両足義足だった奴が、毎朝ワシントンメトロを降りて、ペンタゴン駅の改札から全力疾走して出勤してくれば騒ぎにもなる。
「パックスのやつ、完全に元通りになった足で、昨日から奴隷解放記念日にかけての三連休で『チェリー・ヒル・パーク』でキャンプだよ。自分の足で歩いたのは7年ぶりだってさ。」
「彼、元通りに歩けるようになって、仕事中も走り回ってましたからね。」
アリサの言う通り、仕事中もその足を自慢するかのように、メール室や南棟二階のフードコートまで何度も往復していたからな。
もしジェーンのことが知れ渡って、そこら中から依頼が殺到したらどうするつもりなんだか。
「テントやらキッチンテーブルやら、もう使えもしない物を後生大事に仕舞ってることをカミさんにドヤされていたけど、今頃仲良く三人でキャンプ中だろう。」
「三人?ソフィアさんとの間にお子さんなんていましたっけ?それに、確か彼は砲撃でアレも・・・。」
ああ、そうそう、足と一緒に「アレ」も一緒に吹っ飛んじまったんだよな。
「三人目はジェーンに決まってるだろ。アイツ、娘みたいに可愛がってるぞ。それに、アレも一緒に治してもらったってさ。それどころか虫歯と視力まで治してもらったらしいぞ。キャンプに誘ったのはそのお礼のつもりだろう。あいつのキャンプ飯、絶品だからな。」
そりゃあ、自分の得意だったキャンプで持て成したくもなるだろう。
それにあいつら、アレのせいで子供が作れなかったからな。来年あたり、一人目ができたりしてな。
アリサが少し、困ったように言う。
「娘みたいに、ですか。たしかジェーンの実年齢って・・・。」
「それは言うな。パックスには教えてない。魔法少女は可愛いほうがいいだろ。」
見た目が自分の娘みたいな年齢の少女に、石灰やら豚肉代だけで根元から無くなった足を治してもらって、ついでに虫歯と視力だけでなくアレまで治してもらって感謝しないヤツがいたらソイツは人間のクズだ。
そしてヤツはクズじゃない。
「パックスは局内でも好かれていますからね。いらないことを言って困らせるのはやめておきましょう。」
「なんたってアイツは名誉戦傷章持ちだからな。」
「名誉戦傷章ですか。本当に治ってよかったですね。」
アリサはしみじみと言うが、そういえば去年なくなったという彼女の兄も名誉戦傷章を受章していたらしいな。
「ん?両足とも元通り生えてるけど勲章は返さなくていいのかって?知らん。痛い思いをしたのは事実なんだ。もし返却を求めるやつがいたら俺が撃ち殺してやる。」
おどけて銃を撃つ構えをする。
「あはは、そんなことは言ってませんよ。それに、来週末は例のホームパーティーのやり直しでしょう?私もこの仕事が終われば参加できそうですよ。」
「そうか、ジェーンも来てくれるらしいからな。楽しみにしていてくれ。」
今週末は久々にうまいワインが飲めそうだ。ジェーンもワイン好きだからな。良いものを用意しておこう。
・・・そういえば、明日、会議があるって言ってたっけな。ま、大した話でもないだろう。
◇ ◇ ◇
メリーランド州 チェリー・ヒル・パーク
ジェーン・ドゥ
ジェイソンに言われてパックスという男の両足を治したが、ひどいものだった。
左右ともに膝上で切断されており、砲弾の破片が当たったのか、男性機能まで喪失していた。
見ているだけで痛くなってきたから全力で治しちゃったよ。
おかげで全身の古傷どころか、虫歯や視力まで治してしまった。
お気に入りの度付きサングラスが使えなくなってしまって申し訳ない。
それにしても、私のように手足がもげようが目がつぶれようが、ものの数秒から数分で元に戻せるならいざ知らず、失くしたら二度と戻らないものを賭けてまで守りたいものがあるのか。場合によっては命まで失うのに。
・・・あるんだろうな。すべてを放り出しても守りたいものが。
だが、そこまでして守っても、守られた人間はどこまで感謝しているのだろうか。
アメリカ社会の反戦論者がベトナム戦争帰還兵に向けた視線はひどいものだった。
戦いもしない人間が、国のために戦った人間をまるで汚物のように扱う。
人間なら話し合えばわかる?ふざけるな。目的が違う人間が話し合えるわけないだろう。できるのはせいぜい妥協か取引だ。それが成立しないなら、即殺し合いだ。
そんな奴らは馬鹿みたいに話してる最中に撃たれて死ねばいい。
それに戦争反対だとわめくなら、まず相手に戦争をやめさせろよ。妥協も取引もせずに。
そんな解決しようがないことを考えながら、パックスが器用に起こした焚火の前で、彼の妻のソフィアが淹れてくれたコーヒーを啜る。
うん。キャンプで飲むコーヒーは格別だな。
特にこのコーヒーは苦味と酸味のバランスが取れていて雑味がない。後味もすっきりしていてキレがある。
「ジェーン、どうだい?ソフィアが淹れるコーヒーは旨いだろう?」
パックスは両足でしっかりと地面に立ち、キャンプ用のキッチンテーブルでスモークされた肉を切っている。
「ええ、絶品ね。ブラックでこれほど口当たりがいいコーヒーはあまり飲んだことがないわ。」
「あら、パックスの料理も絶品よ。もうすぐできるかしら。」
「ああ。リゾットのほうもそろそろいい具合だ。久しぶりだから腕が鈍っているかと心配になったが、とても美味そうにできたぞ。・・・さあ、どうぞ。」
懐かしい草のにおいの中、パックスの料理に舌鼓を打つ。
そういえば、あの子は1700年前に封印されたといってたっけな。
こんな料理、食べたことないだろうな。
「ねえ、パックス。一つお願いがあるんだけど。」
アルミ製のカップにウィスキーらしきものを注いでいる彼に声をかける。
「お、なんだ?世界最強の魔法使いが、歴戦の勇者様にお願いか?」
「パックス、歴戦の勇者って、まさかまた陸軍に復帰する気じゃないでしょうね。」
ソフィアの目が急に鋭くなる。まあ、同じ目には合わせたくないのが人情だろうな。
一応、釘を刺しておくか。
「パックス。生きてさえいればどんなケガでも、極端な話、脳が無事なら治してあげるわ。でもね。作戦行動中行方不明とか、戦死ともなれば私でもどうしようもないわ。あなたはもう十分戦った、それでいいじゃないの。」
「ああ、わかってるよ。あんなことは二度とごめんだ。で、世界最強の魔法使いのお願いってなんだ?何だったら俺の魂でもいいぜ?」
おい。私は魔女とは呼ばれるが、悪魔とは呼ばれていないぞ。
・・・呼ばれてないよな?
「魂、って・・・人間の記憶情報と人格情報なんて何の役に立つのよ・・・。そんなことより、いつになるかわからないけど、私の子供にもこの料理、ご馳走してくれないかしら。」
私の言葉にパックスとソフィアはフォークを持ったまま、二人そろって目を見合わせている。
「ジェーン。おまえ、その年で子持ちだったのかよ。いや、待て。そもそもお前は何歳なんだ?男の子か?女の子か?っていうか、子供は何歳だ?」
「ちょっと。女性に年齢を聞くのは失礼でしょ。ジェーンさん、ええと、ごめんなさいね。パックスが変なことを言って。」
「いえ・・・。私は見た目通りの年齢ではないから・・・。私の子は、男の子で、生まれてから半年くらいでいなくなってしまって・・・。」
・・・パックスとソフィアがじっと黙って聞いている。
「生きていることの確認だけはできたんです。大きなケガも病気も無いようで。もう結構な年齢だとは思うんです。でもどこにいるかわからなくて。ずっとあの子を探しているんです。」
「パックス。あなた、国家安全保障局の職員でしょ。何か手伝いなさいよ。」
「・・・もちろんだ。家族を危険にさらさない範囲に限るが、この命を懸けて全力を尽くそう。」
・・・?いや?私はパックスの料理をあの子にもご馳走してほしいだけなんだが・・・。
「私はパパに言ってグリーンベレーの精鋭を動かしてくれるように頼むわ。国家偵察局の兄さんだってきっと動いてくれるはずよ。」
「ええと、くれぐれも危ない橋は渡らないで、ね。っていうか、料理を一度だけ作ってくれればいいんだけど・・・。」
なぜかパックスとソフィアが意気投合している。
頼むから危ないことはしないでくれよ。パックスに何かあったら、逆にソフィアに恨まれるぞ。
ファイアスタンドの上でパチパチと燃える薪を前に、パックスとソフィアの顔を見ながらどうしたものかと考えていた。
◇ ◇ ◇
ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(現在のセルビア)
首都 ベオグラード ベオグラード大学近く
白いモルタル造り、ステンドグラスの窓を持つ建物に逆三角形に逆さYの字をあしらった徴が掲げられている。
礼拝堂のような空間に6名の法衣や修道服を着た男女が集まり、何かを話していた。
「魔女は見つかったか?白頭山消滅事件以降、足取りを完全に見失った。」
「今の身体はミョー、だったか?セルゲイとエルザ、それと屍霊術師のサミュエルを送り込んだが、やはりだめだったな。貴重なアンデッドを12体も使い、ソ連軍と中国軍まで動かしたというのに。」
一人の男が複数人の名前が書かれたリストのようなものを取り出し、テーブルの上に広げる。
名前の欄には、いくつものバツがつけられていた。
「我々のいくつかの耳もつぶされている。アメリカ国防総省の女事務官が事故死したのを皮切りに、アメリカの各機関に潜ませている耳が次々と不自然な事故や自殺などで失われている。」
「やはり、魔女による干渉か?」
「間違いないだろう。だが、白頭山事件以降、ミョーの目撃情報は確認されていない。やはり、身体を乗り換えたと考えるのが自然だろう。」
「そういえば、偽神の干渉時に気になる託宣が混ざっていたな。なんでも、あと16年後に星が降る、だったか?」
「魔女の最終目的は分からないが、ことあるごとに偽善を振りまいてきた女だ。きっと何か行動を起こすに決まっている。星降りをどのように止めるかは知らないが、それほどの大魔法を使うのだ。必ず隙はできるだろう。」
「しかし、白頭山で聖釘が三本も失われている。追跡術式は完全に途絶えているところを見ると、破壊されたのは間違いないだろう。これ以上、聖釘を失うと我々の行動にまで影響が・・・。」
「それだけではない。一番の問題は28年前、何者かが無断で我らの女神の聖名を呼んだことだ。祭司長によれば、最低でもあと20年は顕現されることはないということだ。」
「そうか、白頭山の時に女神にお縋りしなかったのはそれが理由だったのか。」
「皆さま。枢機卿がお見えです。」
女の声と同時にひときわ豪華な法衣を着た男が現れると、6人の男女は席から立ち上がり、一斉に頭を下げる。
もう一人礼拝堂に入ってきたのは、顔色の悪い秘書のような服装の女だった。
「座ったままでよい。皆の者。女神よりついにお言葉を賜った。星が降る夜、女神の聖名を呼ぶように、お姿を拝することは出来ぬが、お力添えを下さるとのことだ。」
「おお!直接お言葉を賜るとは!して、お言葉を拝する栄誉を賜った者はいずこに!」
「・・・こいつだ。アドリア島の大神殿の飯炊き女だ。今朝、息を引き取ったよ。」
「・・・するとこの女はアンデッドか。二人の娘をハバロフスクで失ったばかりだというのに、あわれなことだ。」
「だが、今頃は女神のもとで母子三人で安らいでいることだろう。盲いた方の娘もきっと母の顔を見ているだろうて。」
顔色の悪い女を除く6人の男女と枢機卿は、天を仰ぎ、手を組み祈りをささげた。
◇ ◇ ◇
不意に、礼拝堂の扉が開き、15歳くらいの金髪の少女がゆっくりと歩いて入ってきた。
薄暗い礼拝堂にも関わらず、サングラスをかけている。
「おい、女神の御前で失礼だろう。サングラスを・・・いや、目が見えない、のか?」
少女は白い杖を突いている。床をトントンと叩き、ベンチや段差などを避け、一番前のベンチを手探りで確認し、腰を下ろす。
見えないであろう目で祭壇の方を向き、両手を組み、祈りをささげる。
枢機卿と呼ばれた男は少女の目前に座り、そっと手を握り、声をかけた。
「敬虔な女神の子に祝福があらんことを。」
少女は一瞬息を吸い込むような仕草をした後、透きとおる声で言い放った。
「いいえ、結構よ。八連唱、雷よ、敵を討て。」
「お嬢さん、何を?」
少女が口にした短い歌が終わると同時に、少女が組んだ両手をひらき、その両手から電撃が放たれる。
その場にいた全員が一切反応できず、一瞬で全身を強張らせ、床に倒れこんだ。
顔色の悪い女は少女の方をじっと見つめるが何もせず、立ち尽くしたままだ。
「う~ん。少し火力が高すぎるわね。もう少しで殺すところだったわ。ん?この女はアンデッドだったの?・・・まだ新品じゃない、死後何時間も経ってないわ。未調整だったのかしら。まあいいわ。・・・さてガンナー、こちらは終わったわよ。」
少女は胸元のブローチに向かって話しかける。
「了解・・・確認した。周囲をハンターが確認中だ。・・・クリア。ジェーン。建物内に生体反応はいくつあるか?」
少女は耳元のピアスで、男の声を聴いている。
「全部で7人。みんな気絶させたわ。・・・ごめんなさい、今6人になったわ。」
少女が一人の男の頭を蹴とばす。枢機卿と呼ばれた初老の男だ。
そのまましゃがみ込み、息絶えた初老の男の頭を両手で抱え、何かを調べるような仕草をしている。
◇ ◇ ◇
しばらくするとフル装備の兵士が5人、礼拝堂の中になだれ込んできた。
「ジェーン。気持ちは分かるが、殺しちゃダメだろ。・・・この女は?」
兵士の一人が声をかけると、少女は初老の男の額から手のひらを放し、サングラスを外した。
エメラルドグリーンの左の瞳が薄暗い礼拝堂の中、妖しく光っている。
「さあ?アンデッドみたいだけど未調整みたいね。何もしないみたい。放っておいていいんじゃないの?それよりアサシン、そっちの女をこっちに運んでくれる?」
ジェーンは次の男の額に掌をあて、目を閉じている。
「この若い女だな。・・・ああ、若くていい女なのに狂信者だなんてもったいない。ジェーン?何をしているんだ?」
アサシンと呼ばれた全身黒ずくめの男は女を担ぎ上げながら、ジェーンの顔と手のひらを交互に見る。
「記憶を呼んでいたのよ。一人死んでるけど大丈夫、死んだばかりなら問題なく読めるわ。・・・その女で最後ね。うん、大体わかったわ。次はチェコスロバキアのプラハね。ねえ、アサシン。プラハって何か美味しい酒があったかしら?」
アサシンと呼ばれた男は倒れた男女を後ろ手に縛り上げ、猿轡を噛ましていく。
「すまんが俺は下戸だ。酒は詳しくないんだ。旅行好きのガンナーか大酒飲みのハンターあたりなら詳しいだろうがな。で、こいつらどうする?前と同じように石化するのか?」
ジェーンは少し考えた後、右手を生きている男の額に翳すと何かの詠唱を始めた。
「エレウテルの主にして九のムーサを産みしムネモシュネに伏して願い奉る。彼の者の罪を忘却の彼方に洗い流さんことを。」
右手と女の額の間でパチッという音がした。ジェーンは女をその場に放り出し、次の男の額に手を伸ばす。
「ジェーン?何をやってるんだ?」
「強制忘却魔法よ。全部忘れてもらったうえで洗脳魔法で偽の記憶を植え付けるわ。」
「すげーな。魔女っていうのは何でもありかよ・・・。」
「何でもは出来ないわ。私にできるのは今まで積み重ねてきたことだけよ。さて・・・炎の目を持つ力強きフラウロスよ。36軍団を率いる序列64番の豹よ。魔女の名において命ずる。彼の者の心を汝が黒き炎で焼き焦がせ。」
ジェーンの両手から黒い波のような靄が現れ、縛られた男女の頭を包んでいく。
頭を靄に包まれた男女は苦しそうなうめき声をあげ、縛られたままバタバタとのたうち回っている。
「・・・これ、大丈夫なのか?」
汎用機関銃を持った男が開け放たれた扉から周囲を警戒しながら入ってきたが、うめき声をあげている男女を見てぎょっとしている。
「大丈夫じゃないわ、ガンナー。黒魔法で頭の中を掻き回されているんだもの。よくて痴呆、下手すりゃ発狂よ。・・・まあ、そもそも狂っているようなものだけどね。」
ジェーンは興味がなさそうに言ったが、女のアンデットに興味があるらしく、その周りをぐるぐると回りながら顔や髪を弄り回している。
「・・・発狂、ね。ところでジェーン。そのアンデッドが気になるのか?次に行くにも時間がかかるし、とりあえず持って帰ったらどうだ。」
ジェーンはしばらく考えた後、納得するかのように手を合わせた。
「そうね、隠れ家に連れて帰ってから調べるわ。・・・ねえ、ガンナー。このアンデッド、私に似てない?」
確かに顔つきや髪の色は似ている。瞳はジェーンの右瞳と同じくサファイアブルーだが、少し白濁し始めていた。
ジェーンが女のアンデッドの手を引くと、まるで子供に手を引かれる母親のように、彼女に従い歩き出す。
「黒人の俺にはお前らの顔は同じに見えるよ。さあ、こいつらの縄を解いたからそろそろ行くぞ。」
フル装備の兵士たちとジェーンは、素早くその場に残る痕跡を除去し、入ってきたドアから出ていく。
まるで我が子を追って走るようなアンデッドとともに。
ガンナーは黒人の機関銃手、ハンターは北欧系白人の狙撃手です。アサシンは有色人種ですが、目以外を隠しているのでアジア系かアラブ系かはっきりしません。
その身のこなしはほとんど忍者なんですけどね。
なお、この場にいる全員がソフィアのパパの部下です。
その装備と活動資金はすべてパックスとソフィアの兄さんが準備したらしいです。
心強い味方が付きましたね。・・・ほとんどは後始末くらいしかしませんが。