190 ラジエルの偽書/原型師の少年エルフ
南雲 琴音
4月26日(土)
西東京 南雲家
やっとゴールデンウィーク前半に入って本格的に仄香を追える日が来た。と、思っていたら、今年のゴールデンウィークは日付の並びが最悪だったよ。
「なんで29日が飛び石なのよ!せめて月曜日か金曜日だったら!」
「月曜日でも4月30日から2日までの3日間が空くし、金曜日だと2日と6日が空いてまた飛び石になるよ・・・。」
「なんで学生には有給休暇がないのよ!むきー!」
「姉さん、そもそも私たちは給料をもらってないでしょう。おとなしく後半の4連休で探そうよ。」
姉さんが魔導書・・・のようなものを小脇に抱えて猛っている。
あの魔導書・・・どこかで見たような気が?
「姉さん、・・・まさかそれ、本の悪魔じゃない?危ないからこっちによこして!また昏睡したらどうするのよ!仄香も遥香もいないんだよ!?」
「ば、馬鹿、触るな、これは私が作者だから大丈夫なの!」
作者?本の悪魔の?
・・・何を言ってるんだ、この人?
まあ、すでに触っているし、大丈夫みたいではあるが・・・。
「とにかく、土日で気が済まないなら次は火曜日に探そう?今日から紫雨君も付き合ってくれるって言ってたしさ。」
「・・・ふふん。私は休んで探しに行くわよ。こんなこともあろうかと!こ・ん・な・こ・と・も・あ・ろ・う・か・と!!!ついに私の術式の集大成を披露する時が来たようね!」
そう言いながら姉さんはその本の悪魔・・・魔導書を開いた。
あれ?本・・・というよりタブレット端末じゃない?
それにあの表紙の模様ってもしかして・・・。
「姉さん、それって、もしかして日記?」
「ふふ、よくわかったわね。そう、この前、日記が本の悪魔化してたじゃない?そこで考えてみたのよ。仄香が言ってたじゃない?『人間が暮らしていた場所が魔力溜まり化した際に、そこにあった本や日記、絵画といった、かつては人間が情念を焼き付けて作成したものが悪魔と化すことによって発生する』って。」
「日記?そういえば、なんで日記が魔導書になるのか疑問だったのよね。」
「そう、そこなのよ。そこで、仮説をもとに実験してみたの。本の悪魔は、悪魔化してから内容・外見ともに魔導書になるんじゃないか、ってね。完成前に紫雨君に魔力結晶を没収されちゃったから、途中からは自前の魔力と人工魔石で誤魔化したけどね。おかげで完全に危険性のない本の悪魔ができたわ。」
どういうことだ?悪魔化してから魔導書になる?
日記から魔術的な知識を備えた魔導書になる?
「姉さん、もしかして、本の悪魔って作者の魔法や魔術に関する知識を綴ったものじゃなくて・・・?」
「ご名答!つまり、本の悪魔は、まごうことなき悪魔なのよ!人間の魂と引き換えに、アチラ側にある超常の力や知識を与えるというね。ああ、魂云々は奴らが繁殖する時のただの結果だね。そこで、各種術式を使って完全な制御下において自我を発生させないよう干渉術式を走らせて・・・ついでに、本ではなくタブレット端末をぶち込んで!」
「それって、すでに本じゃないよ。で、何が書いてあるの?すごい攻撃魔法?それともヤバい呪術?」
「・・・ふふん。なんでもよ。」
・・・?
「ごめん、今なんて?」
「なんでもよ。ま、平たく言えばアチラ側にあるウィキ〇ディアにつながってると思えばいいわ。言語の関係上、あまり古い情報にアクセスしようとすると時間がかかるけどね。」
・・・。・・・。・・・?・・・!!?
「うおぉぉい!?なんてもん作ってるんだ!!・・・昔から常識がない人だとは思ってたけど、まさか、ここまでとは!・・・冗談よね?さすがに!」
「失礼な。ま、試してみましょ。ええと、そうね、じゃあ、二号さんでも呼んでみましょうか。ええと、検索、シェイプシフターの召喚魔法、っと。」
姉さんがタブレット端末と化した本の悪魔を操作すると、魔法陣の描き方と呪文の詠唱が画面に表示される。
「ふふ~ん。Wi-Fiでリビングのプリンターで印刷できるのよね~。便利便利。」
姉さんはリビングのプリンターを使ってA3用紙に召喚魔法陣をカラーで印刷すると、リビングのソファーとローテーブルをどけてそれを床に敷き、人工魔石を握りしめる。
「ええと?」
だが・・・何も起きない。
「あれ?おかしかったかな?う~ん。ここからどうするんだ?ん?何語だこれ?読めないじゃん。」
「召喚魔法の詠唱よ。ええと、たしか、・・・黄金の毛皮を持つ者、鋭き牙爪なく神秘の鏝を携えし獣よ。汝は奇跡の体現者なり。なればその御業、只人が解すること能わず。ただ我が解するのみ。来たれ、シェイプシフター。だったかな?」
魔法陣にむかってかざした私の右手の先の空間が一瞬ゆがんだかと思うと、目を丸くした二号さんが現れる。
いつぞやと同じように生魚を口に咥えている。
ああ、食事中だったのか。
「あれ?ナンデ!?え?琴音サン?千弦サン?・・・マスターとの契約が・・・破棄されタ?え!?ナンデ!?」
二号さんはダルダルで毛玉だらけのパジャマを着ており、髪はボサボサで女子力のかけらもない姿ではあるが・・・遥香の姿だ。
「いよっしゃあ!召喚魔法、ゲットだぜ!」
「遥香!会いたかった!」
ガッツポーズで雄たけびを上げている姉さんとは対照的に、遥香の姿をした二号さんの胸に飛び込んでしまう。
・・・偽物だとはわかっている。だけど、あの日失った大切な思い出が間違いなく本物だったと分かって、いてもたってもいられなくなったのだ。
「エッ?エ、エェェェェ!?どうなってるんデスカ?コレ!?」
完全に混乱している二号さんの胸に、私はしばらく顔をうずめ続けた。
「さあ!仄香の居場所を吐いてもらうわよ!二号さん!最初の命令よ。仄香は今、どこにいるの?」
「エ。エェェ?前の召喚主のことを聞き出すことダケはできないって、千弦さんハ知らないんデスカ!」
「は?そんなわけ無いでしょう?」
「・・・姉さん。チャットGPTか何かで翻訳したら?」
姉さんは本の悪魔に搭載されたブラウザソフトを使い、召喚魔法の注釈を翻訳している。
「ちょっと待ってなさいよ!ええと、・・・ホントだ。く、この役立たず!むきー!」
「エェェ・・・それってボクのせいじゃナイデスヨ・・・。」
そして・・・。
その夜、姉さんは高熱を出して寝込んだよ。
なぜか私は何ともなかったけどさ。
状況を聞いた紫雨君が呆れながら教えてくれた。
姉さんが作ったのは天使ラジエルの書と呼ばれる、賢者の石と並ぶ「前人未踏」の魔術の極みなんだって。
これを上回る発明はタイムマシーンくらいだろうってさ。
でも、おそらくは起動するたびに恐ろしい量の魔力と生気を消費するだろうから、よほどのことがない場合は使うなってものすごい剣幕で叱られたよ。
うん。分かるような気がする
姉さん・・・人間に扱えないようなシロモノを作らないでよね。
あ、召喚された二号さんのマスターは私たち2人ということになったよ。
手持ちの魔力結晶から見ても必要な魔力は誤差レベルだってさ。
よかったね、姉さん。これで月曜日、学校が休めるよ。
◇ ◇ ◇
仄香
4月27日(日)
ノルウェー ハルダンゲルヴィッダ国立公園内
霧の古都 ヴァルス・ニヴェル
ホテルをチェックアウトし、アマリナとの待ち合わせ場所である昨日の喫茶店に向かうと、彼女とともに金髪翠眼で少し長い耳をもつ若い男性が待っていた。
「おお。遥香殿。仄香殿。早い時間にすまぬな。昨日ご質問のあった魔族と教会について、それなりに詳しく知る者が部下におったのでな。連れてきたでござるぞ。」
「どうも、クレメンス・シュタイナーといいます。アマリナ先輩の部下で、総務部広報室長をやっています。・・・副部長。話してよろしいので?」
「ええ、もちろんよ。ヴァルス・ニヴェルは別に魔族や教会に対して機密情報の保全をする義理もなければ義務もない。情報漏洩にあたるものでもないし、つまりは旅行者に対する広報の一環よ。」
・・・こいつ、本当にノルウェー語と日本語でキャラが変わるな。
「では・・・。まず、僕は人間、ノルウェー人の父とフェアラス氏族の母とのハーフです。」
フェアラス氏族とのハーフ・・・?
珍しいな。最後にフェアラス氏族と会ったのは相当前になるぞ?
まあ、うちにはもっと珍しいルィンヘン氏族の大飯喰らいがいるから、それほど驚きはしないが・・・。
だが、それよりもこの顔、どこかで見たような気が・・・?
「仄香殿。クレメンスはこう見えて凄腕の原型師でな。二次創作でフィギュアを作っているのでござるよ。クレメンス、例の物を。」
「え?ああ、はい。・・・こちらを。」
クレメンスはそう言って紙袋から15cm程度のフィギュアを取り出す。
信じられないほど精巧に作られたそれは、まるで今にも動き出しそうな躍動感がある、武装魔法少女ミスティのフィギュアだった。
・・・ウチにあるフィギュアよりも精密だな・・・。
後で譲ってもらえないか頼んでみよう。
「素晴らしい腕前ですね。それで、このフィギュアが魔族と教会とどう関わりがあるのですか?」
「ぬふふ。まあ、驚くのはこれからでござるよ。・・・クレメンス。」
アマリナがクレメンスに目で合図を送ると、ミスティのフィギュアはまるで命が吹き込まれたかのように背伸びをすると、首をコキコキと鳴らすような動作をしてからこちらに手を振って笑いかけた。
「・・・!?ホムンクルス!?いえ・・・まさかゴーレム!?」
「ふふん。そのまさかでござるよ。」
驚いた。
私もゴーレムをよく作るし、人型の物もそうでない物も作れる。
確か、琴音と千弦の父親の弦弥殿もゴーレム使いだったはずだ。
だが、これは明らかにレベルが違う。
以前、千弦に「どんなに術者の腕が良くても、シェイプシフターほど人間そっくりにはならない」といったことがあるが、これは前言を撤回しなければならないだろう。
「仄香さん!すごいよ!人形が動いてる!しゃべってる!」
「うわぁぁぁ!かわいい!欲しい!」
遥香とオリビアが中腰になってクレメンスの手のひらで歌いながら踊っているゴーレムに釘付けになっている。
「まさか、こんなものが作れるなんて・・・。」
私自身も驚いて固まっていると、クレメンスは続けて紙袋から薄オレンジ色の粘土と輪ゴム、数本の針金を取り出し、術札を巻いてからテーブルの上に置き、短く詠唱する。
「"Andi goðs! Gak þú í leir ok gef því skamma líf. Skapa þú gólm!"(神の息吹よ。土くれに宿りて仮初の命を与え給え。クリエイトゴーレム!)」
詠唱が終わるや否や、針金は複雑に絡み合い、みるみる間に骨格となり、輪ゴムは筋肉のように骨格に張り付き、そして粘土がその上に流れて少女の姿をとっていく。
最後に、ポケットから取り出したテッシュペーパーをその上にかぶせると、瞬く間に裁断され、縫い合わされ・・・。
そしてウエディングドレスをまとった花嫁が完成した。
「どうでござるか?クレメンスは職場の後輩であると同時に、拙者のフィギュアつくりの師匠なのでござるよ。」
「あ・・・ええ、驚いたわ。あれ?でも原型師?造形師ではなくて?」
「あ、それは今お見せしたように完成品で作るのではなく、メス型で頒布用のガレージキットを作るのが本職といいますか、そっちのほうが魔力の消費量が少ないといいますか・・・。」
クレメンスがアマリナに「お前の本職は広報室長だろう」と怒られている間も、テーブルの上の花嫁はウェディングドレスの裾を翻して踊っている。
同じ動きを繰り返すのではなく、ところどころにアレンジまで加えながら。
「いかんな、話がそれてしまったでござるな。クレメンスは御覧の通り凄腕の原型師・・・ゴーレムマスターでござるが、彼にはクラリッサという姉がおってな。」
「あ、クラリッサ・シュタイナーって・・・。」
それまでテーブルの上に夢中だったオリビアがハッとしたように声を上げる。
「・・・十二使徒第三席、人形遣いクラリッサ・シュタイナー・・・。」
なるほど、どこかで見たような気がするわけだ。
フィリップスから受け取った資料の中にあった十二使徒の顔写真の中に、確かによく似た顔があった。
第一席の李瑞宝と2人、聖名を名乗っていないから気にはなっていたのだ。
「なんだ。ご存じでござるか。ならば話は早い。そのクラリッサとやらが、教会の本拠地を出入りする権限を持っているらしいのでござるよ。彼女に聞けば、一番手っ取り早いでござろう?のう、『魔女ジェーン・ドゥ殿』。」
「・・・!いつから、気付いていたの・・・?」
「気付くも何も、『武装魔法少女ミスティ』の作者、二五郎殿とは旧知の中でござってな。五郎氏から『ミスティのモデルは魔女ジェーン・ドゥ』と聞いておったしな。隠してもにじみ出るその魔力からすぐに思い当たったでござるよ。」
「では・・・私が魔族と戦ってきたことも・・・?でも、貴女自身は気にならないの?」
「だから、拙者は魔族ではないと・・・。ま、それはおいおい馴染んでもらうとして、拙者としてはかわいい後輩の姉を仄香殿・・・ジェーン・ドゥ殿に殺されるのは困るでござるよ。だが、魔族と教会のことはいささか腹に据えかねておってな。なので、おぬしらについていくことにした。」
「マジか・・・仄香さん、なんか、すごいパーティーになってきたよ?魔女、魔族、女戦士・・・あとは何だろ?」
オリビアが遥香を見て首をかしげている。
遥香は戦闘要員じゃないっつうの。
「う・・・私は戦えないけど、万が一の時は仄香さんの予備ボディになるんだからね!」
・・・うん。予備じゃなくて未だにそっちが本体だけどな。
「はあ・・・わかりました。それより、たしか今月末で定年退職ですよね?まだ登庁する日が残っているんじゃないですか?」
少し行動が遅くなるのはもはや仕方がない。
それに、私としても魔族と付き合うのは初めてだ。
興味がないとは言えない。
「なんだ、気付いていなかったでござるか。すでに有給休暇の消化を申請したでござるよ。退職や引継ぎにかかる業務は完了しておるし、あとは退職金の振り込みを待つばかりでござるな。なに、自分の路銀ぐらいは間に合うでござるよ。」
ぬぅ・・・初めからついてくるつもりだったのか。
このゴスロリ魔族少女は。
おっと、クレメンスにフィギュアを譲ってくれるようにお願いしなくては。
「あ、クレメンスさん。このフィギュアって・・・?」
「あ、よろしければそのフィギュア、差し上げますよ。ぜひ旅のお供にお使いください。姉さんのゴーレム対策の研究材料にしていただければ。ゴーレムの管理者権限は今、委譲しますから。メンテナンス方法はこちらの説明書を。」
クレメンスはそう言ってゴーレムの術式とメンテナンス方法を書いた分厚い説明書を差し出した。
・・・っていうか、もはや魔導書じゃん。
よし、あとで私も作ってみよう。
◇ ◇ ◇
シェイプシフター
4月28日(月)
東京都荒川区 開明高校3年2組
どうしてこうなった。
ボクはマスターと・・・いや、前マスターである魔女と契約して玉山の生簀で養殖した鮎とか岩魚とかをとって食べてただけなのに・・・。
「おーい、千弦。今日の放課後空いてるか?久しぶりに従兄弟のシューティングレンジに行こうかと思うんだけどさ。いやー、毎日運動会の練習だと飽きるよな。いつものやつ、持ってきてるだろ?」
お昼休みに中庭のベンチで弁当を広げてため息をついていると、新マスターの恋人が声をかけてきた。
「あ、ウン、理君は何の銃を使うノ?」
「俺は少し前に買ったサイレンサーコーポレーションのMaxim9を持ってきたんだ。千弦もそろそろ新しい銃を買ったらどうだ?少しカンパしてやろうか?」
「エ・・・アア、ウン。ソウダネ。今度時間があるときにガンショップに行こうカナ。」
この高校で食べられる学食は草の種が主食だし、魚は焼かれて黒い腐った大豆汁でショッパイし、肉は焼かれて刺激物がついてるし・・・。
我慢できなくて近くのコンビニに行って猫缶と猫ちゅーるを買ってきてしまった。
はあ・・・。理君、早くあっちに行ってくれないかな。
猫缶が食べられないじゃないか。
「ん?千弦。また何かあったのか?弁当、丸々残ってるじゃないか。」
・・・猫缶はお預けになりそうだ。
後で猫ちゅーるを吸って我慢しておくしかないか。
「ウ・・・イタダキマス。」
うう・・・肉が、焼けてる。葉っぱには油と酢がかかってる。
猫缶、食べたかったナ。
何とか頑張って弁当を食べ終わって、葉っぱ汁で口の中をゆすいでいると、理君の友達の時岡君がひょいと顔を出し、ボクたちを冷かしに来た。
「ひゅーひゅー。お熱いねぇ。この後はいつもチューをするんだろう?まったく、うらやましいねぇ。」
そうか、マスター千弦は理君と食後にチューをするのか。
・・・まあ、ボクはオスだけど人間ではないから我慢できなくもないけど・・・。
「お、おまえ!何言って・・・」
早く教室に戻って猫ちゅーるを食べたいカラ、そのルーチンを消化しておかなくては。
なぜか真っ赤になって時岡君に文句を言おうとしている理君の襟をつかみ、ベンチに座らせる。
素早く両肩をつかみ、理君にまたがってその唇をカプリ、とかじる。
・・・あれ?かじるんじゃなくて舐めるんだっけ?
まあいいや。かじると舐めるの両方をやっておけば問題はないだろう。
「ちづ・・・うひゃ!・・・」
「フフ。これでヨシ。じゃあ、理君。私は先に教室に戻ってるネ。」
変な声を上げているけど、これでゆっくりと猫ちゅーるを舐められるゾ。
◇ ◇ ◇
帰宅後(千弦の部屋)
「二号さん、あなた、なにやってくれちゃってるのよ!と、時岡君の前で理君にまたがってキスとか・・・マジで信じられない!あんたオスでしょ!?」
「エ・・・エェェェ・・・!?恋人同士なんだからキスくらいしてもイインジャ・・・?」
「TPOを考えろって言ってるのよ!ウチは校則が甘いからいいようなものの・・・休み明けに呼び出されたらどうしてくれんのよ!それに、あんた教室内で猫ちゅーる舐めてたんだって!?お、おかげで私は猫娘呼ばわりよ!・・・ああ、治まってた頭痛が・・・。」
ア。マスター千弦が倒れタ。
まだ少し冷えるし具合が悪そうだからオフトンをかけておかなくては。
でも・・・。
お気に入りの毛玉だらけのパジャマ・・・。
ダルダルで気持ちよかったのに、新品にされてしまっタ。
マスター。いや、前マスター・・・。
なんで契約を破棄したのデスカ。
それに・・・生の肉かお魚タベタイ。
せめて猫缶でもいいデスカラ・・・。
シクシク。