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163 後は野となれ山となれ/収拾不能

 3月3日(月)


 南雲 琴音


 昨日の夜、ネットバンキングで口座の残高を確認したところ、黒川さん名義で30万円近くの振り込みがあった。


 約5万も多いことに驚き、慌てて黒川さんにLINEで確認したら「千弦さんから必要経費の請求があったからそれも含んでる」だって。


 ・・・姉さん、いつの間に請求したんだろ。それに約5万って何をカウントしたらそうなるんだ?


「あ、おはよ~。琴音、よく眠れた?やっぱり自分のベッドは最高だね。」


 朝ご飯を食べに部屋から出ようとしたところで姉さんと鉢合わせする。


「おはよう、姉さん。・・・ところで黒川さんに請求した経費って・・・?」


 私の言葉に姉さんがニヤリと笑う。


「ふふん。あの民宿で荷物を放棄したじゃん。あれ、全部領収書をとっておいたんだよ。」


「え・・・。あのバッグとか着替えとか、結構古いのもあったのに・・・?」


 今回の仕事のために購入した使い捨ての化粧品やお風呂セットは、確か全部で1万円もしなかったはずだ。


 もちろん、それらの領収書はとっておいたけど、まさかバッグとか部屋着の類いまで領収書を保管していたのか。


 そういえば原宿とかに姉さんを連れて行って服を買うとき、私の分までレシートをもらっているみたいだし。


「うん。でも経費は全額琴音の口座に入ったんだね。余分にもらった経費の分は山分けしよう?」


 経費分として約4万増えたってことは、一人当たり2万円儲かったってことで、確か姉さんから請求されている自動詠唱機構(オートチャンター)魔力貯蔵装置(バッテリー)の修理代がちょうどそれくらいだったはずだ。


「姉さん、そこまで計算してるとは思わなかったわ。・・・そのドヤ顔。なんかムカつく。」


「ん?琴音が回復治癒魔法を使った後も同じような顔してるよ?」


 う~ん、私ってそんな顔してたのかなぁ、なんて思いつつ、1階のリビングに降りるとお母さんがテレビにくぎ付けになっていた。


「おはよ~。母さん。朝ご飯は?まだなら私たちが作るよ?」


「ちょっと待って、姉さん。普通にトーストと目玉焼き、あとサラダくらいだよね。朝からあんまり重いものは食べたくないわよ。」


「あ、朝ご飯ならあとはトーストを焼くだけにしてあるわよ。それよりこれ見て。四国の山の中で火山噴火だって。溶岩流で一つの村が完全に飲まれたらしいわよ。」


 お母さんの言葉にテレビのニュース画面を見ると、にわかには信じられない景色が広がっていた。


 え?四国に火山なんてあったっけ?


 確か、フィリピン海プレートの沈み込みが浅くて、地下の圧力と温度が小さいからマグマが溶けるだけの条件が揃わないので火山がないとか、地学の授業で習ったような覚えがあるんだけど?


「・・・引き続き、四国のほぼ中央で噴火した火山、矢木沢新山についてお送りします。矢木沢新山は、今もなお活動を続けており、現在の噴火口に当たる矢木沢村の住民約3000名とは連絡が取れていない状態です。前日深夜に起きた地震により、村へ続く道路は寸断されており・・・。」


 矢木沢村って・・・昨日まで私たちがいた村?

 え?何でこんなことになってるの?


「うわ~。すごい噴火。・・・え?矢木沢村?やばいじゃん。私たち、間一髪じゃん!」


 でも、ちょっとタイミングが良すぎやしないか?

 それに、黒川さんたちは今日にでも強制捜査に入るって言ってたのに。


 非現実的なテレビの画面に見とれていると、ポケットの中のスマホが聞きなれた着信音を奏でる。


「・・・琴音です。あ、黒川さん、無事だったんですか!・・・はい、今テレビで見ました。え?行方不明になっていた女性が発見された?高知のはりまや橋で?・・・わかりました。では、後ほど。」


 黒川さんと電話で話している間も、ニュースは続いている。


「・・・今日は日本火山学会の七沢教授にスタジオまでお越しいただきました。七沢教授に伺います。今回の噴火ですが、四国には火山はないと聞いていましたが、実は火山帯があったということでしょうか。」


「・・・降灰やガスの成分調査によると、それらは桜島の成分に非常に似通っていることが分かりました。霧島火山帯の一部が四国の中央まで伸びていたか、あるいは小さな火山帯が四国の下にあったか。判断は今後の調査を待つ必要があるでしょう。」


 テレビの中では、人工衛星からとらえたであろう映像が繰り返し流れている。

 四国のほぼ中央に黒に近い灰色の雲がかかっている。

 そして、その中心付近では時々チロチロと赤い舌のようなものが見え隠れしている。


 とにかく、今日は黒川さんと合流して捜査に必要な情報について補充質問に答える約束だ。

 だが、何を答えたらいいんだろう?


「私は黒川さんと約束があるから出かけてくるけど、姉さんはどうする?一緒に行く?」


「ん~?そういうのは私、苦手なんだよね。一般人と視点というか、ものの考え方がずれているというか。いても役に立たないから琴音に任せるよ。」


 まったく姉さんたら・・・。

 それとも、警察署に行きたくないだけか?

 まあいいや。私は今回、それほど役に立たなかったからその分しっかりと働きましょうか。


 ◇  ◇  ◇


 午後3時過ぎ

 新橋駅 SL広場


 約束の時間を少し過ぎたころ、新橋駅日比谷口から黒川さんが息を切らせて走ってきた。


「ごめんなさい、遅くなってぇ。まさか飛行機が遅れるとは思わなかったわぁ。」


「いえ、遅れたといってもたった5分ですよ。それに、遅れる連絡をいただいていたので暖かいところで時間をつぶしてましたし。」


 LINEで聞いたが、本来であれば今日は矢木沢村へ一斉捜査に入る予定だったんだそうだ。

 それが、例の火山噴火のせいで捜査する対象がなくなってしまったのだ。


 同時に、行方不明になっていた女性が、無事に保護されたらしい。はりまや橋で。


 女性が行方不明になった原因は、実は矢木沢村とは関係ないのではないかという憶測も飛び交ったが、女性と一緒に放置されていたものでその可能性はなくなった。


 ・・・例の、白ミミズの死骸が一緒に発見されたらしいのだ。


 その女性は、私たちが保護した3人と同じように東京の警察病院に搬送中だという。


 黒川さんと一緒にタクシーに乗り、警視庁の本庁舎に向かう。

 今回の事件はわからないことばかりだったが、真実が完全に闇の中に葬られてしまうとは思わなかった。


 ◇  ◇  ◇


 黒川 早苗


 矢木沢村で起きている事件の調査が完全に行き詰っていたため、琴音さんたちにその調査を依頼したのは正解だった。


 潜入からわずか4日で村で何が起きているかを突き止め、行方不明者の保護まで成功させるとは思わなかった。


 矢木沢村は恐ろしく排他性が高い村で、外部から行った警察官が連続して病死するなど、駐在所に勤務させる警察官に至るまで村の出身者にしなければならないという、いわば国家の主権が及ばない様相を呈していたのだ。


 明治のころから数えれば数百人の人間があの村に飲み込まれている。

 ・・・だが、そんな因習の村がこんな終わり方をするとは思わなかった。


 警視庁本庁舎の前でタクシーを降り、二階の会議室に向かう。

 会議室のテーブルに適当なお菓子とコーヒを二杯置き、琴音さんの正面に座って今回の事件についての確認をすることにした。


「さて、何から聞こうかしらねぇ。まさか捜査対象の村が丸ごと吹っ飛ぶなんて思わなかったわけだしぃ・・・。とりあえず、大筋だけ聞いていくわねぇ。」


 う~ん。この報告書、本当によくできてるんだよな。


 そして添付された参考資料が素晴らしい。


 主犯格と思われる鬼塚村長や、彼がしでかしていたことの証拠としての座敷牢の写真とか、前日の祭りで出された向精神薬成分入りの(すし)のサンプルとか、大麻成分が含まれる醤油とか・・・。


 それに、村人の特徴として数百人分の似顔絵と行動記録、実際の地図、地図に載っていない建物の写真、村人、特に高齢女性の健康状況・・・。


 家族構成なんてどうやって調べたんだ?


 ・・・あ、村長宅で保管されていたものを手写ししたのか。

 マジでこの双子、ウチのチームに欲しいわね。


「ええと、黒川さん?報告書に何か至らない点とかありました?補足しますんで仰っていただければすぐに追記しますよ?」


「あ、大丈夫よぉ。よくできてる。そうねぇ・・・さすがに報告書にかけなかった内容、例の白ミミズについて聞いてもいいかしらぁ。」


「はい、詳しいことはまだわからないんですが・・・。」


 琴音さんが考えながら話し始めようとした瞬間だった。

 突然透き通った声が響き渡る。


「黒川早苗殿。それは私から説明しよう。いいかしら?琴音さん。」


 いつの間にか琴音さんの真後ろに金髪、紫と緑のオッドアイの少女が立っていた。


「い、いつの間に・・・。」


 会議室のドアは施錠しておいた。

 足音はなかった。

 琴音さんから目を離した時間は1秒もない。


 これが・・・魔女!

 そこに存在しているだけで圧倒されるような濃密な魔力。


 まるで沼の水底のような、冬霧の深い極夜の森のような、不自然に淀んだ薄闇と、骨の髄から凍るような寒さに包まれているかのような気配。


「さて、どこから話そうかしらね。じゃあ、白ミミズ、正式名称『パラジトリクス・ヴェルミス』についてから始めようかしら。」


 ◇  ◇  ◇


 小一時間ほど経過しただろうか。

 魔女の話す内容は驚きの繰り返しだった。


 白ミミズがどれほど危険なものだったかよくわかる。

 今回の火山噴火がなければ、いつか四国全体、そして本土までその脅威にさらされていたかもしれない。


 あの村が排他的であってくれたのが逆に幸いといえるとは、皮肉なものだ。


 ・・・聞き取った内容を書き取るのが間に合わなくて困っていたら、例の自動書記術式を私の手にかけてくれた。


 案の定、腱鞘炎になりそうだったので、最後に琴音さんが回復治癒魔法を使ってくれたよ。


 それにしても、こんな話をどうやって上に報告したらいいんだろう。


 困り果ててウンウンと唸っていたら、周囲の温度が下がり始めた。


「これで大体のことは話し終わったかしらね。さて・・・黒川殿。人手が足りなくて困っているのはわかるけど、私の子孫をそういったことに巻き込むのはいただけないわね。」


 魔女の声色が低く変わる。

 その殺気に一瞬で目の前が暗くなる。


 息が、できない。

 その海の底のような重圧を振り払ったのは琴音さんの声だった。


「はいはい、黒川さんがおびえてるよ。しっかりとバイト代はもらったし、何より働くことを選んだのは私たち。怒るんだったらこっちだよ。」


「・・・そうは言いますけど、あなたたち、まだ高校生でしょう?まだ社会も知らない子供に危ない仕事をやらせる大人にはビシッと言っておかないと。」


「そうだね。だから次からはちゃんと相談するよ。だからここは抑えて。ね。お願い。」


 魔女がため息を一つすると、張り詰めていた空気が一気に解けていった。


 ・・・琴音さん・・・この子は、まったく怖いもの知らずというか、肝っ玉が据わってるというか。

 将来は大物になるに違いない。


「それにしても、せっかくここまで調べたのに被疑者死亡で送致とか、骨折り損のくたびれもうけだわぁ。」


 火山噴火で今までの捜査も水の泡。

 こんなことってありえるのだろうか。


「ホント、頑張って調査したのにさ。そういえばあの火山が噴火したのってなんでだろうね。あと一日ズレてたら私たちもヤバかったんだよね。」


 琴音さんがしみじみと同意すると、魔女がとんでもないことを言い出した。


「琴音さんと千弦さんはどうあっても無事でしたよ。あそこに火山を作ったのは私ですからね。ちゃんと二人が退避してから噴火させました。」


 琴音さんのおかげでせっかく和んだ空気が、一瞬で凍り付く。


 ・・・どうしよう。これは、魔女を逮捕するべきなのか?でもどうやって?


 村丸ごと一つ放火?大量殺人犯?取調調書の凶器に欄に「火山」って書けばいい?それとも「魔法」?


 いや、それ以前に魔女を逮捕することなんて可能なの?


 たしか、直径が15キロを超えるSL9を単独で迎撃したとか、そんな惑星防衛システムみたいな相手をどうやって?


「・・・聞かなかったことにするわぁ。そんなこと報告書にかけるわけないでしょ。」


 ああ、頭痛の種が増えてしまった。

 まあ、白ミミズの被害が二度と出ないことを考えれば御の字か。


 ◇  ◇  ◇


 スイス・イタリア国境付近

  

  シルヴァエ(Sylvae)オブスクラエ(Obscurae)(暗き森)

  ※地図にない街


 サン・エドアルド


 ひんやりとした地下室の石畳に素足を投げ出し、古いロッキングチェアを揺らす。


「せっかく作った俺達の家族が丸ごと一つ消滅するとか、まったくついてないね。」


 部屋の隅に控える、黒い豹のようなシルエットに対し軽口をたたくと、苛ついているかのような思念波とともに文句が返ってきた。


「マスター。人工(Artificial)眷属(Familiar)の系統を丸ごと一つ失ったのだ。もっと真剣に考えていただかないと。」


 今回失ったのは、パラジトリクス・ヴェルミスと呼ばれる眷属だ。


 今から1000年ほど前、まだ俺達が複数の魔族だったころ、そのうちの一人がプラハの錬金術師とともに作り出した魔法生物だ。


 サン・ジェルマン様の野望を果たすために、とにかく大量の魔力結晶を集める必要に駆られ、地層に眠るソレを集めるべく開発したのだが、失敗作としてお蔵入りになってしまった。


 ほっといても(人間)を食って勝手に増えてくれるという、非常に優秀な眷属だったのだが。


 地層奥深くに眠る魔力結晶を地表近くまで持ってきてくれるという点においてはなかなかの性能だった。


 だが、それ以外の鉱物資源、例えば金銀銅も凝集するという性質があったために、ほかの錬金術師に目をつけられてしまったのだ。


「アレはな~。失敗作だと思って廃棄したのを持ち出した馬鹿がいるんだよな~。それにしても、村一つ丸ごと火山で吹き飛ぶとか、とことんついてない連中だね~。」


 眷属が一種類くらい絶滅しても、俺達の優位は揺るがない。


 今はワレンシュタインが三聖者筆頭を名乗っているが、必ず俺達がその地位を奪ってやる。


「その火山のことで、日本に潜伏中のネズミ(スリーパー)から報告がある。日本の四国というところに火山帯はない。火山そのものが魔法によって構成された人工物である可能性があるということだ。」


「なんだよ、それ。すごいじゃん。ほとんど神の御技じゃん。ってことはつまり?」


「ああ。魔女だ。奴が本格的に活動を再開している証拠だ。」


 ふふふ、いよいよ俺達の時代が回ってきた。

 ワレンシュタインは秘密にしているが、リビアで不覚を取った相手は魔女に違いない。


 となれば、魔女を討ち取れば名実ともに俺達が三聖者筆頭になる。


「よし、日本に行こう。聖釘アンカーは何本用意できる?可能な限りたくさん欲しい。それと、命の対貨(スケープゴートコイン)もだ。」


「日本の深海探査船が引き上げた石棺の中から、4本の聖釘(アンカー)を回収済みだ。明日にでも届けさせよう。命の対貨(スケープゴートコイン)の在庫は2枚しかない。だがお前にはそんなもの必要ないだろう?」


 確かに、俺達は群体だ。

 だが、その数を減らされるのも困るんだよ。


命の対貨(スケープゴートコイン)の確保は優先事項だ。それと、最後の聖者の衣(かくれみの)を持っていく。確実に仕留めたい。何としても不意を打つぞ。」


 部屋の片隅をうろちょろしているネズミがいることに気付いたが、今日は気分がいい。

 見逃してやろう。


 身体を引き絞り、少年の姿を形成する。マーリーの変装には劣るが、外見年齢を変えるのは俺達のほうが上だ。


 引き出しを開け、教会が牛耳る北欧の小王国のパスポートの中から外見年齢にあった一冊を取り出し、荷物をまとめる。


 せっかく日本に行くのだ。あの国の魔法使い、特に子供の女の肉は絶品だ。

 魔女のついでに、満足するまでグルメを楽しもうじゃないか。


 ◇  ◇  ◇


 久神 遥香


 今日も午後5時から咲間さん(サクまん)のお店でアルバイトだ。

 お店の仕事は大体覚えられたし、咲間さん(サクまん)のお母さんは優しいし、何よりお客さんがみんな優しい。


 ・・・5時間中1時間しか働いていないから偉そうなことは言えないけど、コンビニの仕事はものすごく重労働だ。

 ちょっと前まではこんなに身体を動かすことなんて考えられなかった。


《遥香さん、そろそろ交代の時間です。それと、あまり無理はしないように。いったん回復治癒呪をかけますのでバックヤードに入ってください。》


 ・・・普通に動けるのはやっぱり仄香(ほのか)さんのおかげだったのね。

 感謝しっぱなしだよ。


「あ、そういえば仄香(ほのか)さんって、私のご先祖様なんだよね。何代くらい前のご先祖様なんだろう?」


《・・・かなり古いですよ。でも、久神家には何度か嫁入りしていますから決して血は薄くはないんですけど。時間があるときに昔話でもしましょうか。》


「あ、聞きたい!仄香(ほのか)さんの話はすごく面白いし、出来たらDVDに焼きたいくらいだよー!」


 バックヤードに入り、ドリンクを補充する前に更衣室に置いた杖の前に立つ。

 目を閉じると心地よい浮遊感とともに身体が仄香(ほのか)さんにゆだねられていくのが分かった。


 4時間後、仕事が終わり、夜勤の人たちと交代する。


 レジの誤差がないことを確認し終わり、バックヤードにあるストアコンピューターで退勤しようとしていると、咲間さん(サクまん)・・・恵ちゃんのお兄さんの幸夫さんが廃棄商品の入ったカゴを持ってきた。


「久神さん、お疲れ様。廃棄商品でほしいものがあったら持って行っていいよ。ほかのバイトの人たちに一声かけてからね。」


《あ、シュークリームがある!これ、食べたい!ねえ、仄香(ほのか)さん、2つもらって交代で食べよ?》


「では、このシュークリームを2つ。ほかの人にも聞いてきますね。」


 念のため他のアルバイト、とはいっても咲間さん(サクまん)と夜勤の男の人一人なんだけど、仄香(ほのか)さんが聞いて回る。


 シュークリームが4つもあったからか、甘いものを好まないのかはわからないけど、持って帰る許可がもらえた。

 本当はコンビニの本部の手前、いけないことなんだろうけどね。


 とにかく、お夜食ゲットだぜ!

 明日と明後日はアルバイトも休みだし、どうしようかな。


 みんなに挨拶して店を出て、仄香(ほのか)さんが長距離跳躍魔法(ル〇ラ)の詠唱をする。

 平和だな。こんな毎日がずっと続けばいいのにな。

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