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魔法はマナとともに  作者: 神無月かなめ
序章~私の時間が動き出す時~
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私の時間が動き出す

「着替えよしっ!おやつよしっ!あとは……ノートもよしっ!あと、杖とお金!他は…まあいっか」


 着替えといっても、可愛さのないいつも着ている服と同じもの数着とあとは道中でお腹がすいた時の為におやつ。そして、これからも書いていくノート――これからの日記としても書いていくつもりなので、数冊用意してある――他には、母から貰った杖と預かった金貨の入った革袋。絶対に落とさないようにしなきゃ。


 母は、話が終わった後すぐにどこかに出かけてしまって、今は家に一人である。


 明日はこの家を出ることにするので、この家とも今日までなのだ。今まで、母と一緒に暮らしてきた家。思い出を確かめるように私は家の中を散策することにした。


 どこか温かみのある木でつくられた家は、玄関を出てすぐに庭がある構造で玄関を入ると一本の長い廊下に部屋が何個も隣接しているような作りだった。平屋とでもいうべきその外見だが、どこか洋風な一面も垣間見えるような相貌もあった。


 廊下には、脚の長い小さな机が置かれており、そこには私と母が笑顔で映っているツーショット写真が飾られていた。そして壁には、私が小さい頃の写真などが数枚飾られている。


 私は、そっとその写真たちに触れた。


「懐かしいな…」


 記憶は曖昧なものだが、それでもどこかその写真を見て懐かしいと感じた。


 そして、部屋を一つ一つ見て回ることにする。いつも料理を食べている脚の長い広い机とそれに面するように長椅子が三つ置かれている部屋。いつも私が寝て、起きて、勉強して、そして遊ぶ私自身の部屋。この家にある部屋の中で一番お世話になった部屋でもある。それを言ったら、トイレとお風呂もか!なんちゃって!


 そして、お母さんの部屋。いつもは入ったらだめよ?といわれているが今はいないし少しぐらい最後に入るのもいいかもしれない…それに、お母さんは私の部屋に勝手に入るのに私がお母さんの部屋に入ったらだめなんておかしいよね!


 私は辺りをきょろきょろと見回し警戒しているふりをして、サッと部屋の中に入った。


 母の部屋の中は、私の部屋に比べてしっかりと手入れが行き届いており、まさに綺麗という一言そのもののような部屋であった。


「うーん、入ったらだめって言うからどんな感じなんだろって思ってたんだけどなぁ…案外面白いものないや…」


 そして、部屋の中を見渡すとタンスに目が向く。


 やっぱりタンスの中は調べちゃうよね。好奇心は無限大なのだ。そう、自分に言い聞かせて私は上段、中段、下段と分かれたタンスの上段から一つずつ調べることにする。


 上段には、赤く発光する小さな宝石のような物が置いてあった。


「きれい…」


その宝石以外は特に目につくものはなかった。


 中段は特に面白いものはなく、何かを書く際に使用するペンやら何も書かれていない予備の手紙やらが入っているだけだった。


 そして、期待が薄れたまま下段を開こうとしたが、鍵がかかっており開けることが出来なかった。そこで、私は、鍵穴に向けて魔法を行使する。この魔法は、鍵穴の中にマナを注入しいっぱいになったあたりで土魔法でそのマナを土の塊に変えるのだ。そして、鍵穴に合う鍵が完成する。しかし、最近はセキュリティー面も向上し、マナを感知した際にオートで完全にロックがかかるものが主流となってきている。


 その魔法により、タンスのカギが閉まっていた下段が開いた。まだ、この田舎では扱われてなかったみたい…さてさて、何があるかなぁ。


 そして、タンスの下段には、一冊のアルバムと見るだけでたくさんとある手紙の束がそこにはあった。


 私は、アルバムを取り出してページをめくる。するとそこには私の知らない写真が何枚も張られていた。顔の知らない男の人と母とそして、満面の笑顔をしている私。そんな記憶どこにもないのに――。


 その時、ガチャっと玄関のドアが開く音が聞こえた。私は、急いでそのアルバムをタンスに入れ、すぐにその部屋を後にした。


 私は、自分の部屋から今出てきましたよ感を出しつつ、母に向かって声を掛ける。


「あっ!お母さん、おかえりー早かったね」


「ん?うん、ただいまー、そんなに早かった?」


「う、うん!あぁーでもそんなことなかったかもー?ノート書いてたら時間忘れちゃった!あはは」


「そう?荷物整理終わったの?」


「う、うん!終わったよ!ちゃんと着替えも用意したんだから!」


「それならいいんだけど…」


 そう言って、母はリビングの方に向かっていった。


 幸いにも、天才すぎる演技で何とかバレずに済んだみたい…だけど、あの人はいったい誰だったんだろう…?お母さんに聞きたいけど、それだと入ったのがばれるし…ううん、忘れよう。


 何故か、思い出そうとしても靄がかかったかのように思い出すことが出来なかった。


 そして、その日は明日の旅立ちの為に気持ちを切り替え、何事もなかったかのように普段の生活を送った。


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