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魔法はマナとともに  作者: 神無月かなめ
第一章~あなたに出会えてよかった~
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白く揺らめく一輪は、儚く下を向く

 適性検査を無事に終えた私たちは、一度教室に戻り他のクラスと入れ替わりで普通の授業を受けることとなった。


「魔法というのは、マナを消費して発動しますが、魔法は現在保有してるマナの範囲で行使できるわけではなく、最大マナ量の範囲で扱える魔法が決まります」


「今頃、アイトは適性検査受けてるのかなぁ……」


「気になりますか?」


 私が、ポケーっと聖騎士を目指すアイトを思い浮かべていると、隣に座るアリウムさんが声をかけてきた。


「まあ、幼なじみだからね…」


 聖騎士の適性があるのは、この世界でもごく少数なのだ。もちろん、聖騎士の適性がなくても聖騎士の仕事を担う者もいるが、優秀な聖騎士というのは、どの人も聖騎士の適性がある人ばかりである。優秀な聖騎士を目指すアイトにとっては、この適性検査は何よりも優先されるほど大事なものだろう……。


 師匠が決まったら、ますますアイトとはこれから会えなくなるだろう……だからこそ、少しぐらい幼なじみとして、アイトの夢を陰ながら応援したいと思う。


「って、アリウムさん、アイトのこと知ってるの?」


「はい、知ってますよ。噂程度にですが、名前が広まっているみたいですね。クラスの人たちに囲まれているところも見かけましたよ」


 そっか……アイト、入学式の時に友達ができるか不安だって言ってたけどたくさん友達が出来たんだね…それじゃあ、私がアイトのことを心配するのは、お節介かな……


「特に女性に人気みたいですね」


「あぁ……そう言うことね」


 アイトよ……強く生きるのだぞ……


 ◇◇◇


 そして、無事に1年の全クラスが適性検査を終え、その結果が明日伝えられるとの事だった。それと同時に、アンケートで寮生活を希望した生徒が体育館に集まるように指示された。


 ちなみにだが、この学園には、寮棟が全部で6棟あり、A、B、C、D、E、Fというように分けられている。そして、1棟あたり50人を収容でき、部屋は全部で25部屋ある。


 そして、今年は寮生活を希望している生徒が多いとのことなので、もしかすると2人で1部屋ということになるだろう。むしろこれは、私にとって最大のチャンスである。ルームメイトとは、これから長い間お世話になるのだ!この機にお友達になり、学園生活をより楽しいものにしてみせる!


 そう、私は拳を小さく握り、決意した。


 そして、体育館にて教師からどこの寮棟に入るかの指示を受ける。ここまではいいのだ……ここまでは良かった……。


 だが、段々と雲行きが怪しくなっていった。私以外の1年生は、全員EとFに割り当てられているが、何故か……そう、何故か私だけが、Dに割り当てられたのだ……


 私は、耐えられずD棟の列(並んでいる生徒は私だけだが)の先頭に立っている教師に尋ねることにした。


「あの……先生、私だけなぜDなのですか?」


「ん?まあ、今回は人数も多いですからね……他の方は全員、アンケートの希望欄に〇〇さんと一緒の部屋を希望とか1年生の方と同室を希望すると答えていたので、こうなりましたね。なので、何とか無理やり割り当ててEとFに押し込んだと聞きましたよ?あ、でも1人だけ、何も希望してない子がいたので、その子は空いている2年の棟に割り当てたとも聞きましたけどね」


 絶対、私じゃん!!2年の棟に割り当てられた生徒、絶対私だと思います!というか、上級生の方と同じ部屋になる可能性があるなんて一言も聞いてないんですけど!


 終わった……私のわくわくどきどきの学園生活が今、幕を閉じました……は、はは……


 これからどうなるんだろう……先輩と一緒の部屋って……緊張する……


 ま、まま、まさか!カツアゲとか……使い勝手の良いパシリとかにされないよね……


 そんな思考とは裏腹に話は進み、自分たちがこれから暮らすことになる棟に案内されることとなった。


 ◇◇◇


 私は、先程の先生に案内されることとなり、棟の入口の辺りで立ち止まり、その先生は部屋番号を教えてそそくさとその場を後にした。


 私は、重い足取りでその教えられた部屋に向かい、ドアの前で静かに深呼吸をし静かにノックした。


 すると、ドアの向こうから女性のどこかで聞いたことのある声が飛んでくる。


「ど、どうぞ……」


 私は、その声に応じ、ゆっくりとドアを開ける。そして、目に飛び込んできたのは、あの日街中で出会った一人の少女・アセビだった。


 アセビは、ラフなパジャマ姿に身を包んでおり、くつろいだ様子で二つある机のうちの片方の椅子に座っていた。


「アセビちゃん!?」


「わわわ!ま、マナさん!!」


 私は、勢いよくアセビちゃんに抱きついた。


「会いたかったよぉ〜」


「わ、私も…会いたかったです!マナさんが合格していてホッとしました」


 変に緊張していたせいもあり、アセビちゃんが同居人だということを知り、一気に脱力してしまった私は、これからの楽しい友人との寮生活を想像しながら浮かれるのであった。





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