7 さらに下層へ
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夢を見ていた。
家族の夢だ。
「悠汰、早く起きないと学校に遅刻するわよ」
母がよくそう言って朝、起こしてくれた。
「っせぇな~」
俺はめんどくさいと思い、適当に返事をし、母の事はほぼ無視していた。
いつからだろう。
親に感謝をせず、めんどくさいと思い始めたのは。
「おい悠汰、真面目に勉強をしろ。
将来の為になるんだぞ」
父は耳が痛くなるほど俺にそう言っていた。
「親父にだけは言われたくない、
自分が出来なかったことを子供にやらせようとすんなよ」
俺は父にも強く当たっていた。
いつからだろう。
親の事を馬鹿にして、素直になれなくなったのは。
いつからだろう。
人の事を信じれず、ひねくれ始めたのは。
いつからだろう。
自分は特別だと勘違いし始めたのは。
いつからだろう。
自分自身を罵倒し、ネガティブになり、希望を抱けなくなったのは。
俺はいつにも増して、自身の過去を反省した気がする。
結局悪いのは自分だった。
素直になれず、正直になれず、損していたのは俺自身だ。
だけど、この世界では俺を助けてくれる人がいる。
俺に向かって、〝お前ならできる〟と言ってくれる人がいる。
それが何よりも嬉しかった。
こんな時に思い出すことではないのかもしれないけれど、
俺は高校の頃に国語の先生が授業中に言っていたことを不意に思い出した。
「昔、この日本にも身分制度がありました。
もともとは中国にあった物でしたが、それにならって、日本でも行われました。
職分や階級によって人々を振り分け、優劣を決めるものです。
江戸時代になると、士農工商と言って親の身分に従って、
子供の身分が決められることも多々ありました。」
「何が言いたいんですかー? 先生ー」
クラスのムードメーカーの男子が笑いながら言う。
「社会の授業ですか? それとも教訓ですか?」
この言葉に続けて、クラスではザワザワと話し声が聞こえてくる。
かなり年配の先生は窓の外を見つめながら、儚い表情で、
「そうですね……
教訓のなのかもしれません。
とにかく私が伝えたいことは一つです。
〝人と人との繋がりを大切にしてください〟ということです。
私たちは何度も出会いと別れを繰り返し、生きていきます。
その時その時によって、出会う人、分かれる人は違いますが、
その一人一人を大切にしてください。
えー、文学というものは………」
と言った。
この先は何と言っていたかはっきりとは覚えていない。
先程のムードメイカーが「それ身分と関係ないじゃないっすか、前後の文脈ずれてますよ」
と言って、クラスに笑いが起こり、ドッと騒がしくなっていた気がする。
俺は笑えなかった。
その時人との関係があまる深くはなかった俺にはとてもその言葉が響いた。
部活やカラオケで歌を歌って、馬鹿にされる日も少なくはなかった。
その時、俺の歌を上手いと言って認めてくれていた人たちを俺は大切には出来なかった。
疑ってしまい、馬鹿にしてるのではないか、などと余計な事を考えてしまっていた。
だから、とても後悔している。
今は、最初に出会った少女も、死んでいった鯨も、ミぜさんもアインも、
皆を大切にしたい、そう強く思った。
「ぅぅう……はっ!」
俺はようやく目を覚ました。
どうやら気を失っていたらしい。
アインが俺の前で戦っている。
俺は視界がぼやけてはっきりとは見えない。
とても腕が痛む。カジキの尾ビレがかすった左腕を見た。
気持ちが悪い赤紫色をしていて、膿で血が止まっているような状況だった。
毒が全身に回ってきているのか、アインが二重、いや、三重に重なって見える。
「はぁ…はぁ…
こいつらしつこい!!
もういい加減にしろ!」
アインも息が上がっている。
上からは砂が落ちてきていて、また下層に落ちてきたみたいだった。
うっすらとした視界の中で、またアインが叫んでいる。
ここから先の出来事は、俺の意識がほぼなかった。
「これは……!!」
アインは何かに気が付いた様子だった。
近くにあった窪みにアインは走っていった。
「巨人の斧!!
来い!!」
そうアインが声をかけると、神器から魔人が現れた。
かなり巨大な魔人が、斧に繋がりつつも地上に出てきていた。
「一分、いや、三十秒でいい。
時間を稼いでくれ、最初よりも砂上カジキの数も減ったし、頼んだぞ」
「久しぶりに呼ばれたと思ったら、なにやら楽しそうですね。
こんなえらい数の砂上カジキは武神でも苦労するモンスターですよ」
笑いながら魔人・アトラスは答えた。
アインは魔人・アトラスが砂上カジキを食い止めている間に、
くぼみの上で創生術を唱えていた。
「よし! これで…抜け出せる!!」
そして、アインが創生術を唱え終わった後、青色の光にあたり周辺が包まれた。
〝転移陣〟だ。
これが探索家がマーキングしている地点にある、転移陣だった。
その転移陣の発動後、アインと巨人の斧と俺は、一瞬にしてその場から消えた。
「生きろよ」
アインの口はそう動いたように俺には、見えた。
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