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アイテーリア

かつて、この世界は七頭の鯨によって創り出された。

ある時、一頭の鯨がウタを歌った。

そのウタを歌うと、海が生まれた。

次にそれぞれの鯨がウタを歌っていくにつれ、

大地、空、生命、などの様々なものが創られていった。



その後、世界はこの七頭の鯨によって秩序が守られ、

安定した世界が出来上がった。


鯨たちは世界に過干渉せず、何をしているのか詳細は分かっていない。


鯨が姿を現すのは、決まってウタを歌う時だけであった。

なぜウタを歌うのか、いつ歌うのかはわからない。

ただ時々、ウタが聞こえてくるのである。


人々は七頭の鯨をそれぞれ祀り、だんだんと時が経つにつれて宗派が七つに分断した。

次第に、国も七つに分かれ、どの鯨が最も優れているのかという優劣を競い始めた。


しかしながら、ある時、

「ウタを歌おう。我々には鯨の加護が憑いている」

と言った人間がいた。

その人間がウタを歌うと、どこからともなく鯨が現れ、その人間を喰らったというらしい。


以後、人間はウタを口にすることを禁忌とした。

そして、人々はウタを耳にすることが出来なくなっていった。


だが、稀に生まれながらにウタを聞き取れる子が生まれることがあった。

この子供は〝鯨子(シンガー)〟という異名を付けられ、忌み嫌われた。

彼らがウタを聞くと鯨がやってきて、世界を壊し始めるという噂も世界中に広まっていった。

その噂が原因かどうかはわからないが、世界中では鯨子はすでに絶滅したという事になっている。


それから随分と時がたった後、世界は平穏を保ち続けていた。


「この世界を創り直そう」


白銀の髪を持つ少年が儚い目で、

一人空を見上げながらそう言った。


彼はこれから世界に一つの溝を作り、世界の均衡は崩れ始めるだろう。

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