第九十七話◆
第九十七話
今、結さんが手にしている女性物の雑誌。ようやく結さんが勘違いをしているのに気がついてあわてて付け足す。
「中に妹の由美子ちゃんが載っているんですよ!別に僕がこういうファッションいいなぁと思ったりするものじゃありませんから!」
「……ああ、そうですか」
そういってぺらりとめくる。どうやら付箋のつけられているところに直行したようだ。
「なるほど……」
そのページにはジャケットを着てポーズを決めている由美子ちゃんの姿がある。結さんはそれを見て首をかしげた。
「余所行きの顔……な気がします」
「どういうことですか?」
「まぁ、どうせ会うことがないでしょうから……忘れてください。あら?」
「どうかしましたか?」
「ここ、読みましたか?」
指摘された場所を見るとそこには『この雑誌のモデルを務めてくれていた間山由美子ちゃんは今回で卒業です!ありがとうございました』という文字が書かれていた。もちろん、そんな文字なんて気がついていなかったりする。
「……他に引き抜かれたんでしょうか?」
「……どうなんでしょうね?こういった業界の話は聞こうと思いませんから」
妹のことだが詳しくは知らない。正月だって忙しかったようであまりいなかったし。話なんて殆どしてない。まぁ、挨拶ぐらいのやりとりはしたけどね。
「……まぁ、先ほども言いましたがあまりわたくしには関係ない話です」
それだけ言うと今晩のおかずの話をし始めたのだった。
「キムチ鍋にしましょう」
「そうですね、寒いですし手軽にぱぱっとできます。ちょうど素も買ってきてましたから」
外は雪が降っている。言い忘れていたのだがさすがに一人じゃ寂しいし、これまで二人分の料理を作ってきたので隣の結さんを呼んで一緒に食事を採っているのだ。
――――――――
「あ、もしもし母さん?どうかしたの?」
寝る前の時間帯にケータイが鳴り出す。ディスプレイに表示された相手は母親という文字。これを無視したとき、僕はケータイというある意味すばらしいものを取り上げられてしまうのだ。
『由美子ちゃんの高校はもうあんたのいるところだから』
「へぇ、知らなかったよ」
『それと、もうモデルはやめるって言っててね……』
どうも歯切れが悪いが何かあったのだろうか?首をかしげるももちろん僕がその理由を知っているわけがなかろう!ここでどうしてなんて聞けるほど僕は由美子ちゃんのことを知っているわけも無く黙っておいた。
「そうなんだ」
そんな当たり障りのない言葉だけしかいえない。
『だからそっちで暮らさせるからよろしくね』
「え?そうなの?」
『そりゃそうでしょ?悠子ちゃんだってそっちに居たんだから三月の初めには由美子ちゃんがそっちに行くからね。おやすみ』
それだけ言って一方的に切られてしまった。やれやれ、困った母親だ。
「うう、さぶっ」
もう少し先のことだ。
今はあまり関係のない話……そう自分に言い聞かせて寝ることにする。部屋の中でも十分寒くもちろん暖房なんてつけない。布団の中にはいって体を動かしていれば自然とぽかぽかになっていくに違いない。そして、熱を布団がすってくれてとても快適な温度となり、僕を天国の門の前へと連れて行き、そのままなぜか夢の世界へと導いてくれるのだ……
「………」
バカな考えをやめ、目を開けてみる。暗くなっても天井はかろうじて見え、天井に向けて手のひらをかざしてみた。グー、パーを交互に繰り返したって何とか確認できる。
だけどまぁ、当然ながらこれから先に起こることなんて僕にはわかる気がしなかった。
ぼける霧之助に突っ込む人は悠子だけでしたが…いや、そもそも霧之助はそんなにぼけてませんかね?天然ボケが若干入った感じだったはずなのですが……まぁ、いつものように置いておきましょう。あ〜そんなことしたら余計に話すネタがなくなってしまってるんで百話までの勝手なカウントダウンでもやることにします。じゃあ、後三ですね。三といえばΞ(くしー)にそっくりですねぇ。どうでもいいですか?そうですか、わかりました。駄目駄目かんたっぷりなのは相変わらず、これから先もどうかそんな雨月をよろしくお願いします。九月十八日金、七時五十二分雨月。