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第八十八話◆

第八十八話

「さて、一体全体なんでこんなことになったんだろうか?」

 僕の目の前には二つのケーキが置いてあり、作ったのは悠と悠子だ。

片方にはホイップクリームの雪原に頭からダイブしている砂糖菓子のサンタクロースとこれまた同じく砂糖菓子の頭と胴体が切り離されたトナカイが散らばっている。イチゴのソースが無駄にその惨劇を生々しくしていたりする。誰がこんなスプラッタなケーキを作れといったんだ?

 そして、もう一つは首までホイップの雪原に埋められてしまったサンタクロースとそれを見下ろす、いや、見下しているようなトナカイ。まるで世は戦国時代……上が下にやられる下克上である。



発端は三時間前。



「はぁ?あたしのほうが絶対ケーキを綺麗に作れるから」

「はっ、よく言うわよ……残念だけどそれは無理」

 クリスマスに悠がやってきてちょうどそのときケーキを作ろうとしていたときだ。いや、すでに東結さんに持っていく分のケーキはできており、すでに持っていった。お返しにあんまりかわいくないトナカイのぬいぐるみを貰った。

 失敗したときの分のために買ってきていた材料と、僕と悠子で食べる分をあわせてちょうどで二ホール分ができる。一人人ホール分の材料を手に入れたわけなのだ。そういうわけでケーキバトルが勃発。

 審査員は僕ということで審査方法は三つ。



見た目

  クリスマスっぽいか



 その三点で今回は争われることとなったのだ。そして、その間僕は猛の家で漫画とかぐだぐだ読みながら待っていたのだが……

 帰ってきたらそんな意味不明な光景が待っていたのだ。

「お兄さん、ちゃんとタイトルも考えてるわ」

「きっと驚くわよ」

 すでに見た目で驚かされていることを忘れないで欲しい。

 ちなみに、スプラッタクリスマスケーキが悠で下克上クリスマスケーキが悠子だ。

「『上下関係の変換時期』が私のタイトル」

「『クリスマスに起こった悲劇』があたしのタイトル♪」

 ああ、納得。といってしまうほどマッチはしてるが若干行きすぎな気がする。子どもが泣くぞ。

「で、何でこういったことになったのさ?」

「あの子が悪い」

「あっちが悪いのよ」

 お互いがお互いを指差す責任転嫁な今日この頃。昨今の日本では責任を他者に押し付けてしまう傾向が目撃されており非常に嘆かわしいものだ。

「理由を説明して」

「あの子が『クリスマスにサンタを使うなんてありふれてるわよねぇ〜』って言ってきたからあの子の代わりにサンタを埋めてやったのよ」

 サンタではなく本当のところは悠を埋めたかったらしい。おそろしい子!

「……で、悠は悠子のことをばらばらにしたいと?」

「違うわよ!争ってたらトナカイさんに事故が起こったの!テーブルから落ちて分離しちゃった」

 なるほど、有効活用したということなのだろう。

「けど、何もイチゴソースで血を表現しなくても……」

「やるならちゃんとしないと駄目じゃない?」

 完ぺき主義者は時として他人と違う道を突き進むのであろう。もはや一般人の僕から見たら甲乙つけがたい、というかモザイクつけないと表現しちゃいけない規制をかけたい。

「で、結果は?」

「……味はいいと思うけど今回の勝負、ドロー」

 こんなんじゃぜんぜん駄目だと手を振って引き分けだと告げる。

「ちぇっ、味じゃ負けないんだけどなぁ」

「あなたのケーキ、きっとイヌも喰わないわ」

「何ですってぇ!」

 再びヒートアップ。取っ組み合いのけんかを止める気が起きず、ケーキだけは被害を免れるように冷蔵庫の中に入れておく。やれやれ、クリスマスぐらい仲良くすればいいのになぁ……まぁ、けんかするほど仲がいいっていうからいいか。


すでに一端の区切りは迫ってきており十話もなくなってしまっています。少し早いですが、ここまで読んできてくださってありがとうございます。間山霧之助の高校一年はもうちょっとで終わりを迎えます。すでに何故、そうなってしまうのかちらほらと出てきているのですがやっぱり悠子のことがかかわっています。悠子がやっぱりメインヒロインとなっているので彼女の都合で終わるのが筋でしょう……多分。しかし、以前言っていた由美子のことも忘れてはいけないことを提示しておきたいと思います。最近雪の登場回数がめっきり減ってあのシスコンは何処に行ったのだろうか?と首をかしげる方ももしかしたらいるかもしれません。さて、これからどうなるのでしょうか?感想評価、その他聞きたいことなど訊ねてください。九月十四日月、八時二十三分雨月。そうそう、今年の秋は実に秋らしい秋ですねぇ。

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