第七十七話◆
イライラしてやった。今は後悔している。
第七十七話
「お兄さん、なんだか疲れた顔をしてるわね?」
「あ、わかる?ちょっと、いやだいぶ疲れてるんだ」
「そう、それなら身体的疲れと精神的疲れに効くこのドリンク剤、『飲んだらヘル』を薦めるわ」
「うっわぁ、海松色をしてる液体だぁ〜それに、飲んだらもういちどはまっちゃいそうな劇薬のにほいまでしてるね♪」
「お目が高いわね、このドリンクを飲めば身体的にも精神的にも限界点を突破して痛いとか疲れとか全部吹っ飛んで幸せを手に入れることができるのよ。仕事で疲れたとか言う人にはうってつけ、お手軽三分で天国の門を開けることができるの」
「すっごく怪しい薬だね♪」
「だけどね、そういった幸せな薬ってのはなかなか手に入れるのが困難な上に原価が目が飛び出るぐらい凄く高いの。だけど、この番組を見てくれた人にはなんと、普段のお値段の半分でご奉仕しちゃうわ。私たちも腹を決めちゃうからよろしくね」
「そっか、それはすごいお得だね?」
「さらにさらに、今回は初回限定お申し込みありがとうセールとしておまけがつきます」
「おまけ?半額にしたうえに?」
「そう、今回つくおまけはこちら!!『錠剤ヘヴン』を四か月分。これは飲んじゃうと幸せな気分になって普段は見えない、一般人には絶対に見ることのできない妖精を見ることができる摩訶不思議なクスリです」
「すっごいね♪そんなにつけて大丈夫?」
「家計は火の車だけどさらにがんばるわよ?さらに『飲んだらヘル』を半年分つけるわ」
「……僕たち大丈夫かな?」
「さぁね?まぁ、本当に大丈夫なのかを問いたいのは買っちゃったお客さんだけど……さらに、この番組を見て三十分以内にお電話してくださった方にはさらに一割お安くします」
「すごい!本当に視聴者のために、購入希望する人にとってはものすごく優しい番組じゃないか!?」
「ついでに言うのならこの製品を飲んだ人たちにも優しいわ……それでは、実際に購入した人の話を聞いてみましょうか?」
「うん、どういった感想を言ってくれるのか楽しみだね」
―――――――
「ええ、この薬を飲み始めて疲れとかそんなのぜんぜん、まったくないです。しかもですね、うれしい副作用なんですけどこれまで暗かったとか言われてましたがものすごく明るくなったとまで言われたんです!ほら、あそこに妖精さんが!あ、けど飲んで時間が過ぎちゃうと疲れが出てきますね」
―――――――
「実にうれしいことを言ってくれてるね」
「さぁ、あなたもお手元のケータイから電話してください」
「お電話、待ってま〜す」
〜完〜
番外編ですね。ええ、完全な番外編です。これを書いていた時期がちょうど旬な時期だったので出来心です。これでも結構譲歩したつもりです。何を譲歩したかはご想像にお任せします。最近、この小説にはエロ要素が足りないのではないかと思っている次第です。しかし、露骨なエロはもはや下ネタです。下ネタはいけないのです。さじ加減が難しい、そんなことを考えながらぼーっと生活する今日この頃です。次回の話はハロウィンとなっており、百合さん中心です。評価をいただいて爆発しました。有頂天になりいつものあれを忘れそうになりました。感想評価おまちしております。九月十日木、八時七分雨月。