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第七十三話◆

第七十三話

 昼休み、ぼさっと屋上で過ごしていたら誰かがやってきたようだ。まだ日差しの強い屋上には人が少ない。まぁ、元からあまり綺麗な場所ではないのでここにやってくる物好きはものすごく少なかったりする。

「……あ、悠だ」

「あ、悠だ…じゃないわよ!何で停学解かれたって言わないの!?本当に心配したんだから!バカ!」

 ずかずかよってきて悠がすねをけりながらそんなことを言ってくる。

「ご、ごめん…」

「ケータイだって何回も何回も電話したのに!何で出てくれないのよっ!!そんなにあたしのことが嫌い?」

「嫌いじゃないよ、好きなほうだから…」

 そういうとわかってくれたようで頬を染めながらも僕から目をそらす。

「……じゃ、じゃあ、何で出ないのよ?」

「ん〜……親にケータイ取り上げられててさ」

「悠子のケータイからかければいいじゃない」

「え?」

 しばし十秒ほど待たれよ、今僕の頭の中では悠と悠子の仲が改善、もしくは改ざんされている途中なのだ。処理が終わったら今度は再起動をせねば……



ハッピーエンドは何処ですか? 〜不幸不幸も幸の内〜



 それはやりすぎだ。うん、やりすぎ。戻りすぎ。

「仲がよかったんだ?」

「別に。けど一応知ってるだけだから……仲がいいわけじゃないわ」

 そっぽを向いてそんなことを言う。

「そんなの隠さなくていいのに」

「か、隠してなんてないわよ!」

 両手をぐるぐる回して……やれやれ、悠ってやつは……。

「けどさ、心配してくれてありがと」

「……当たり前じゃない。全世界の人間が霧之助のことを心配してなくてもあたしだけは心配してあげるから」

「そっか……」

「な、何かいうことは?それか態度でしめしてよ」

 何かを期待するような目をこちらへと向ける。

「ん〜……じゃ、恥ずかしいから目を閉じて」

「……え?」

 悠の目がくわっと見開かれて両手がグーからパーになった。

「わ、わかった……」

「ちゃんと目を閉じた?」

「う、うん……」

「よし、誰もいないから今のうちに……」

 僕は腰を低くしていき……



「心配をおかけしてすいませんでした!野々村悠嬢!」



 悠の目が見開かれ、“土下座”をしている僕がどうやら目に入ったようだ。

「……は?」

「いやぁ、まぁ、一回でいいからあんな役やってみたくてね〜……ん?どうしたの?」

「……もう!霧之助なんて知らないっ!!!」

 悠のご機嫌を損ねたらしい。彼女は回れ右して扉へと一直線。しまっていることも忘れて思い切りぶつかってしまった。

「あいたた……」

「大丈夫?おでこから血が出てる……久しぶりにどじを見たよ」

「……」

 そのどじのおでこに持っていた絆創膏を貼ってあげる。僕自身が怪我をしたときのためにいつも持ち歩いているのだ。持っててよかった絆創膏。

「あ、ありがとう」

「気にしないで。けど心配だな……クラスまで送っていこうか?」

「そ、そんなことしなくていいから!」

「いや、またこけちゃったら大変だからね?」

 たてる?と聞きながらもすでに僕は悠の両肩をつかんで立たせていた。やれやれ、もしかしたら僕はおせっかいなのかもしれない。

「た、たてる」

「じゃ、行こう?」

「う、うん……」

 ドアにぶつかったことにしょげているのかそれとも違う何かなのか……とにかく、悠のご機嫌は治ったようだ。

「あ、あのさ……霧之助……」

「ん?」

「こ、今度……またあたしの家に来てくれない?」

「わかった」

「……しゃ、写真の男の子、見せてあげてもいいかなぁ……なんちゃって思ったりしてさ……あははは……」

 顔を真っ赤に染めながら、ついでに言うのなら体温も上がっているのかもしれない……そんなことを悠は言ってくれたのだった。


最近、高校の屋上って上れるところが少なくありませんか?雨月が通っていた高校も屋上への扉は固く閉じられていました。なんでも、以前飛び降り事件があったとか……。さて、ようやく霧之助も停学がとかれてしばしの間準備期間のようなものをおきました。笑ってくれなくてもいい、読んでくれさえいい……なんていえたらどれだけかっこいいことか……では、感想評価いつものように待っています。

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