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第六十七話◆

第六十七話

 あまり立ち入らないというか、僕が住んでいる場所は正反対の高級住宅街。そこのマンションに二人で入り、五階の一室で足を止める。すごく、大きいところで百合さんの両親がお金持ちであると言うことを黙って教えてくれていた。

 百合さんはどうかしたのか、かなり固まっていた。

「どうかした?」

「え?あ、んにゃ、別に。いや、そういえば初めて霧之助を私の家に連れてきたなぁって思ってさ」

「ああ、確かにそうだね。僕の家には何度か来てるのに」

「はははは……そうだな。あのさ、部屋の中、散らかってるけど気にしないでくれ」

「うん、気にしないで」

 部屋が散らかっているのは猛の家で慣れている。踏む場所が決まっており、その場所以外を踏み抜くと身体の重心バランスが崩れ、こけてゴミだめに突っ込むことになるのだ。男一人で生活するとあんな感じになってしまうのだろう……きっと、僕も悠子がいなければやつとさして変わりのない部屋を作ってしまったに違いない。

 玄関へと案内されるもきちんと掃除されており、散らかっているという印象は受けなかった。

「おじゃましま〜す」

 少しだけ小声で挨拶して入れてもらう。案内されたリビングには大型のプラズマテレビに高そうなランプ、他にも名詞の前に“高そうな”という言葉をつけるのにぴったりなものがおいてあった。

 廊下右側にあった『雪の部屋』の扉を開けて百合さんが入っていき、首を振って出てきた。

「ああ、悪い……ちょっと寝てるみたいだ」

「そっか、それなら帰るよ。あまりいても邪魔だろうから」

「あ、そ、それは気にするな。別に邪魔って事はないし、両親と一緒に住んでいるわけじゃないから」

「え?そうなの?」

 ソファーに据わっている僕の前に紅茶が出される。少しためらった感じだったが百合さんも向かい側のソファーに座り口を開いた。

「今年一番に友達になった霧之助に聞いて欲しい」

「わかったよ」

居住まいを正してじっと百合さんを見るも、目をそらされてやりすぎたかなぁと自己反省。

 ため息を一つだけ吐いて百合さんはしゃべり始めた。

「……なんていうかな?両親が出来すぎた人で……かまってもらえないことが多かったっていっていいものかなぁ?まぁ、忙しすぎた人たちだったから子供心に手間取らせちゃいけないんだって思って何事にも一生懸命やってきた。雪の世話してたのも一歳しか違わない私だったから今考えたらおかしな話だ」

 なるほど、幼少のころから一緒にいる時間が長かった。だから雪ちゃんはユリさんのことが大好きなのだろう。

「それで、中学時代にちょっと不安定になって……早い反抗期かな?まぁ、とりあえず反抗したくなった。それで、いろいろあの人たちが困りそうなことをしたんだけど……見透かされてたんだよ。お前は私たちにかまってもらいたいか?それとも違うのか?違うのならお前の選んだ道をすすんでみろ……そんなことを言われた。もちろん、かまってもらいたいなんていえる年頃じゃなかった」

 そうだろうな……僕がそんな立場だったら……まぁ、その話はまた今度だ。今はユリさんの話をちゃんと聞くべきだろう。

「……それからもっとぐれた。そんな私によってくるやからはいたがそんな連中とつるみたくなんてなかった。集団で群れる、それって結局はいい子ぶっている連中となんら変わりはない気がしてならないんだ」

「と、言うと?」

 そうだな、何というか……そういって少しだけ間があいた。

「………言いづらいけど、社会に従うのはいやだから社会に逆らうような行動を取るために不良グループに入る。けど、それも他の社会に入ってるだけ……グループを作るって事は小さな社会を作るのと一緒だろ?だからさ、私の場合は一人じゃないと、意味がなかった」

 言いたいことはわかる気がする……不良がグループ作って悪ぶっても単なる邪魔にしかならない。

しかし、一人だけどこにも混じらず自分の道をすすむ人を見て人はかっこいいなんて思ったりする。また、化粧が似通っていて濃い女性の中にうっすらとした化粧をした女性がいると逆に目立つというそんな感じ。まぁ、イケメンの中に僕のようないまいちなやつがいてもこの話は成り立たないのだが。とりあえず、印象には残る。

「今もさ、誰かにかまってもらいたいのかも知れない……覚えてるか?私と霧之助が始めてあったときのこと」

 苦い経験を思い出した。あの時の女子トイレへの逃走を思い出させる。

「覚えてるよ。百合さんに怒られて追いかけられたやつだよね?」

「そう、それだ……」

「今だから言うけどあの時僕は女子トイレに戦々恐々としながら逃げてたんだよ」

「……なるほど、まさかとは思ったけど追い詰められた人間は何をするのかわからないんだな」

 興味深そうにうなずいている。やれやれ、まさかここで言うとは思いもしなかった。だが、今となっては懐かしい話でもある。

「友達なんて作る気しなかったけど、霧之助とは出会えてよかったよ……ホント」

「またまた、どうかしたの百合さん?」

 ぼーっとした調子でそういったので雪ちゃんの風邪でも移ったのかと思った。自嘲気味に笑って百合さんは立ち上がる。

「そうかもな……悪い、もっといていいといったけど今日は体調が悪いみたいだ。そろそろ気合入れていかないといけないだろうし、霧之助に風邪をうつすのもなんだか悪い気がするからな」

「なんだかってそれは酷いなぁ」

「安心しろ、そのときは面倒見て私がちゃんと看病してやるから」

 くくく…と笑いながら僕の肩に手を置く。

「……本当、悪いな」

「気にしないでよ。それに百合さんに謝られると体調が悪くなりそうだ」

「……そうだな、私が謝ると少し変だな……」

 下まで送るぞといわれたけども体調が悪いのなら結構だと断って玄関でさよならと告げる。まぁ、別段百合さんの顔色が悪いというわけではないようなので疲れているだけだろう。結構百合さん自体気合はいってるし。

 さて、今日の晩御飯は何にしようか……などと考えながら高級マンションを後にすることにしたのだった。



―――――――



 宮川姉妹が住むマンションの一室。『雪の部屋』の扉が開いて宮川雪が姿を現した。

「……で、姉さん……どうだった?」

「ど、どうだったって……」

「その様子じゃ気の迷いじゃないみたいね?」

「……た、確かにそうかも……けど、まだわからない」

 そっぽを向いて宮川百合は自分の感情の変化に頭を振る。

「……ま、姉さんが決めることにわたしが首を突っ込むのはもうやめたわ」

「……そうだ、それは絶対にやめてほしい。私は私の力ではっきりさせたいから」

 そういって宮川百合は自室へと引っ込んでいったのだった。

「……やれやれ、姉さんって本当かわいいわ。わたしが男だったら今頃いちゃいちゃしてただろうけど……」

 そういって彼女は夕飯の準備を始めるのだった。その姿はどう見ても病を患ったもののそれとは違う。


突然ですが質問です。質問したって返ってこないとわかっていても、聞きたいこともあるのです。この小説に足りないと思うのは次のうちどれですか?1、ギャグ2、お色気3、思いやり4、どろどろとした感じ5、その他。例によって評価や感想として教えてくれてもいいですし、メッセージで教えてくれたってかまいません。そういうわけで、どうぞよろしくお願いしたいと思います。もちろん、以前行ったどのヒロインが霧之助に対してふさわしいかというのも終わりまで募集しております。夏休みはすでに終わってしまいましたが、これからもよろしくお願いします。二千九年九月四日金、七時二分、雨月。

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