第六十五話◆
第六十五話
「特にこれといって何もないかなぁ?」
『……本当に?』
「うん……ああ、そういえば悠、知ってるでしょ?野々村悠」
『……野々村……悠?あの子が今どうかしたんですか?』
仲はあまりよくないのだろう。声音が若干だが低くなったようだ。かといって嫌いというわけでもないようだ。
「悠と賭けをしていたよ」
『賭け?野々村悠と姉さんの勝負ですよね?それに間山さんはまったく関係ありませんか?』
「うーん、確か負けたほうが僕の前で恥ずかしいことをするって奴だよ」
しばしの間電話の向こうの相手は静かになった。
『……なるほど、合点は行きました。ところで、間山さんはどちらを応援する気なんですか?姉さん、もしくは野々村悠にがんばってなんて言葉をかけたりしたのですか?』
あまりそのとき何を言ったのか覚えていないのだが応援はしていないはずだ。
「……いや、僕の記憶上そんなことを言った覚えなんてないよ」
『わかりませんよ、意外といったのかもしれません……本当に言ってないなんて自信を持ってあなたは首を縦にふれますか?』
そういわれると自信がなくなってくる。え?ど、どうだったかなぁ……
「う〜ん?どうだろ?」
『しっかりしてくださいよ?』
怒られてしまった……。
「ま、まぁ、大丈夫だとは思うよ?そんなに賭け事が心配ならやめさせればいいじゃないか?」
『やる気になった姉さんを止められる者はこの世にあまりいません!あの東結って人と……その、ちょっと立ち位置が変わった間山さんぐらいのはずです』
それってどういう意味?と聞こうとして誰かに受話器を取り上げられる。それが東結さんだと気がついたのはその一秒後ぐらい。
「へぇ、何か百合はやる気を出しているということですね、妹さん」
『……え?な、何であなたがこの電話に出てるの!?』
受話器からもれる雪ちゃんの声を聞いているとどうやらパニックを起こしたようである。ああ、そういえばこの子って予期せぬことが起こるとパニック起こしやすいんだっけ?
『ちょ、間山さ……じゃなかった東結……ぷつっ……ツー……ツー』
「なんともまぁ、礼儀がなっていませんね。間山霧之助さん、礼儀の知らない方と故意に仲良くなさらないほうが身のためかもしれませんよ?」
いや、それはあなたの所為では?と思ったが口にできなかった。年上だし、口答えして無事で済まされるとは思わない。
「お料理のほうができましたので呼んだのですが返事がありませんでしたので眠っているのかと思い勝手に部屋に入らせてもらいました」
「あ、それはすみません……」
「ですがまぁ、貴方の部屋はとても綺麗になさっているのですね……綺麗、というよりあまり生活臭が感じられませんが」
そういって窓の淵を人差し指で右から左へ……彼女の指に埃が付着する。
「……綺麗ではなく、本当に使っていないのですね」
「ええ、まぁ。家から帰ってきて宿題とか全部リビングでしますから」
「なるほど……まぁ、わかりました。どうぞリビングに来てください」
東結さんに続いて部屋を後にする。確かに、部屋に入っても五分程度で済ますことができる用だけだ。着替え、かばんを置く、時間割、就寝だけに使っているといっていい。夏休み以降からそんな感じになってきたと思ってる。
「ちなみに、今日は何を作ったんですか?」
「……貴方が判断をなさってください」
なんとなく焦げ臭いが気のせいだろうか?
悠子がそっぽを向いており、三人分の食器の上には謎の黒い物体がおいてあった。それが何なのか、僕には判断できなかった。
今日はものすごく、機嫌が悪いんですよ。朝起きたらテーブルの角で思い切り足の小指をぶつけたんです。この痛さはやらんとわからん……そんな痛みを共用できるのは過去に一度でも小指をぶつけたことがある人だけです。ああ、前回とか前々回とかで霧之助がどうなる、こうなる、あーなるといいましたが途中から全部消去しました。コメディーには暗すぎますから。そういうわけで、また途中から書き直しました。何の変哲もない学園コメディーとなってしまいましたが、よろしくお願いしたいと思います。きっと、最近ネタがよくないから感想がこないんでしょうね。ああ、感想を求めます。駄目だしとかでもいいんで。九月三日木、七時五十四分雨月。