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第六十四話◆

第六十四話

 東結さん。見た目はおしとやか、清純といった言葉がしっくりくるのだが時折見せる魔王も泣いて笑ってどんちゃか騒ぎをしそうな視線プラス行動が怖い。

「間山霧之助さんのところは今度文化祭があるようですね?」

「ええ、そうですね」

 悠子が入れてくれたお茶(出がらしを使ったのか味が出ていない)を飲みながらうなずく。少々疲れていたが相手をしないわけにはいかないだろう。ああ、一つ意外なことだが悠子とこの東結さんの仲は良好のようでいろいろと立ち話をしていたりする。

 一つ間が空いてどうかしたのだろうかと見ると変な顔をしていた。

「どうかしたんですか?」

「いえ、ね……実は以前わたくしに話しかけてきた礼儀知らずの者が文化祭をめちゃめちゃにすると学校で耳に入れたのですよ」

「……本当ですか?」

「ええ、きっとあなたにお礼がしたいのでしょう。実に律儀なかたがたです」

 そういってまたお茶を飲む。げんなりとした表情で見ていたのだが東結さんはたおやかに微笑む。

「安心してください。そのようなことをした場合彼らが生き地獄を見るということを間山霧之助さんに約束しておきましょう」

 不適に笑う東結さん。

「……僕に約束しないで彼らに約束してくださいよ」

「いえいえ、それでは意味がありません。若いうちには苦労を買ってでも追い込むものなのですよ……よもや、本能のままに従ってその結果、本物の地獄に行きたくなるような生き地獄を見せられるとは彼らも思っていないでしょうけどね……」

 ふふふと笑う東結さんに恐怖しながらもどうしたものだろうかと考える。その考えを悟ったかどうかはわからないが彼女は普通に笑った。

「わたくしだけが楽しむのも……いえ、これもあなたが招いてしまった一つの問題です。集団でこられてしまっては問題を起こし文化祭自体が駄目になってしまうでしょう。彼らが何か行動を起こすかどうかはまだわかりません。嘘かもしれませんからね……そこまで頭の中に入れておかなくてもいいでしょう……ただ、忘れることがあってはいけません」

 それだけ言って立ち上がる。

「では、悠子さん。これからお夕飯を作りますね」

「はい、お願いします」

「え?」

 近くで本を読みながら僕らの話を聞いていた悠子がエプロンを巻く。

「何でですか?」

「実は悠子さんからお料理を習いたいとお願いされましてね。実践あるのみ。わたくしが横でいろいろと指導をしようと思っているのです」

 悠子のほうを見ると必勝鉢巻を頭に巻いていたりする。ぐるぐる眼鏡の奥で彼女の瞳が燃えていた。

「悠子、別に僕が教えてあげてもいいんだよ?」

「それじゃ、お兄さんと同じ味になっちゃうでしょ?」

 む、確かにそれはあるかもしれない。

「で、何を作るの?」

「お兄さんは自分の部屋に行ってて!できたら呼ぶからそれまで出てこないでよ!」

 押しやられて僕は自室へと強制的制限付の引きこもりとなった。いや、軟禁状態って行ったほうがいいかもしれない。

 何度も読み返した漫画を読み飛ばしているとケータイが鳴り出した。ディスプレイをいつものように確認すると表示されている文字は『宮川雪』。どうかしたのだろうかと思い耳にケータイを当てる。

「もしもし?」

『間山さん姉さんがおかしいんですよ』

「元から百合さんはおかしいでしょ」

『……間山さん、蹴りますよ?』

 そういえばこの子がシスコンだったことに思い出した。

「ごめん、冗談だよ」

『まったく、冗談を言っている暇があったら何があったか教えてください』

 はて?何かあっただろうか……首をかしげながらも最近あったことを頭の中で反芻することにした。


後書きに書くネタもなくなってきました。まぁ、もとよりネタなんてそうそうありゃしないのですがね。文化祭の話にけりがついたら……というより、文化祭当日にてとある事件が起こります。そこで、霧之助は記憶喪失に陥ってしまうのです。つまり、文化祭が本当の区切り目。下手したら終わっちゃう可能性まであるかもしれないのです。とある事件が関係しており、ぶっちゃけていうなら洋一郎のところから触ってはいますよ。では、次回もお暇なときによろしくお願いします。九月二日水、八時二十五分雨月。

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