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第六十二話◆

第六十二話

「悠子、悠子のクラスって何するの?」

「ああ、文化祭の?私たちのクラスはあまりやる気のない人たちがそろってるから期待なんてできないわよ。それに、教えちゃったらこういったものは面白くないんじゃないの?」

「あ、それもそうか」

 皿洗いをしながらそんな会話ができる。よくよく考えてみたらあった当初はそんなことできるなんて思いもしなかった。

「ん?なんだかまたボーっとしちゃって、どうかしたの?」

「あ、いや……ほら、こうやって悠子と話せるなんて思ってなかったからさ」

 そういうと悠子がものすごく、というよりはじめて見せるような顔を見せた。これが困惑気味という顔かもしれない。

「何言ってるのよ?いつも話してるじゃない」

「いつも……そっか、そうだよね。いつも話してるよね」

「……まさか、お兄さんまた熱でやられてそれが残ってるんじゃ…」

 残暑見舞いしたほうがいいのかしらと首をかしげる悠子に僕はため息をつくしかなかった。

「あはは……」

 ついでに、苦笑もしておこう。



―――――――――



「よし、やるものを決定したぞ!」

 寝ずに考えたのか、深夜まで考えたのかどちらかはわからないが目の下にクマを作った猛がまるでゾンビのように教室にやってきた。しかし、残念なことに時間帯が早いために僕しかいなかった。

「へぇ、何をやるの?」

「桃太郎だ」

「……桃…太郎?え?主役は百合さんだよ?」

「何も女が桃太郎をやっちゃいけないってわけはないだろ?いつもの奴を改良した話だ……あのさ、ちょっと思ったんだけど桃太郎って“ももた りょう”って名前を間違えて聞いて“ももたろう”になったんじゃないのか?」

「いや、その“ももた りょう”がどうだか知らないけど確かに女の子がやっちゃいけないってことはないけどさ……」

 寝不足の人間がたまにおかしいことを言うのは百合さんのおかげでなれている。軽くあしらって渡された紙束をめくってみる。



『すごいぞ!桃太郎さん!』

あらすじ:おばあさんが新鮮市で買ってきた外国産の桃(品種名はビッグヒップ)から産まれた泣く子も震え上がる桃太郎。

四日ですくすくと育った桃太郎は近隣を牛耳っていたおなかに金閣、銀閣と書かれている鬼を退治に向かうと告げる。

途中、犬塚、猿渡、雉鍋の『鬼殺し』という異名を持つ三人を加えて続けて牛魔王を倒す任務に向かうのだった。

いよいよやってきた鬼が島。

城門前の鬼を狙撃し、交代で出てきた鬼も的確に射止め攻撃の最初を彩る狙撃手、犬塚。

異変に気がつき警戒心あらわの鬼を陥れるため裏門を爆破し、的確な火薬量で相手を思うように落とし穴へと誘導させる火薬のスペシャリスト、猿渡。

軽業を使い鬼の集団に入り込み金棒での同士討ちを狙う見切りの達人、雉鍋。

そして、混乱しきって統率もままならない鬼の集団を掻き分け、幹部を全て一刀の元に切り捨てる。桃太郎は以前凄腕の剣士だった父親から譲られた名刀『血飛沫』によってその長たる温羅を一撃にほふり、任務を成功させるのだった。そして、もてるだけの財宝を掻っ攫って島をそれぞれ脱出。鬼が再び組織的行動をとる前に猿渡による島一個を消し飛ばす爆弾で平和を取り戻すのであった……



「何から何まで突っ込みどころ満載だよ。これ、本当にやるの?」

「……ZZZZzzz」

「って、寝てるし!」

 不安が懇々と沸いてくる。いや、こんな表現をしたくなるほど本当に大丈夫なのかとつっこみを入れたくなるものなのだ。

「おはよう、霧之助」

「あ、百合さん……」

 そして、続いて登校してきたのはこの桃太郎役になってしまうかもしれない。

「ん?どうした?」

 僕は百合さんにこの原案を手渡すことにしたのだった。


後書きが中途半端なところで終了していることに気がつきました。不備ですね、すみません。今日から九月。夏休みも終わった方が多いことでしょう。そういうわけで更新回数を減らそうかな?なんて思っていますがいかがでしょうか?いやいや、もっと早いスピードで更新してくれよとか思っている方がいらしたらお教えください。そのスピードにあわせます、終わるまで。当初の計画で、終わりの部分まで書き終えました。しかし、元はなんだかハッピーエンドのような終わり方ではないので首をひねって作り直し。どうせ使わないネタですから言いますが、霧之助は飛び降りて記憶を失う…というのが最初のこの小説の最終地点でした。しかし、中途半端だったので没。自分で言っていた通りに幸せを探して続けることにしたのです。感想、評価ありましたら忙しいでしょうが、よろしくお願いします。九月一日火、八時四十分雨月。

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