第六十話◆
第六十話
火照った身体が夕方のなんともいえないぬるい風を浴びる。それでも体温の上昇は下げられないために上を脱ごうか?なんて考えたが急いで取りやめる。これはこれで危ない考えである。校内を上半身裸で走るって許されるのは小学生まで。中学校でそんなことをやってしまったらいいわけなんて通用しない。
なんとか学校の裏までやってきて裏庭を見渡す。誰の姿もなく、ああ、もう告白の時間は終わってしまったのかな?なんて思ってしまう。
「……お……」
しかし、よくよく探してみればいるではないか!ちょうど告白をしようとしているところなのだろう。見てくれは悪くない男子生徒(首からカメラをかけている)が悠の前におり、頭を下げて右手を差し出している。
もうちょっと近づこうかなと思ったところでケータイが鳴り出す。一体全体誰からだと思いながらディスプレイに表示されている名前を見る。
「……百合さんか……」
無視しようかな?なんて思うがとったほうがいいだろう。もしかしたら授業で何か言われたのかもしれないし、そういえば夏にやらなければならない宿題の提出場所が変わったとか何とか……もしかしたらそういった類の話かもしれない。
他人のことより自分のことを優先したほうがいいだろうということでケータイの通話ボタンを押す。
「もしもし?」
『……あ、霧之助か?体調はどうだ?倒れたんだろ?倒れたって聞いたときは驚いたぞ……というより、クラス全員が驚いてたぐらいだからな』
「あ、そうなんだ……身体のほうは大丈夫と思うよ」
『そっか、それならよかった。私なんて霧之助が倒れたなんて聞いて醜態さらしちゃったし……』
「え?」
『いや、なんでもない、何でも。まぁ、元気ならいいんだ……それと、これは先生からの伝言で先生のところに来て欲しいって』
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「ごめんね、あたし好きな人がいるんだ」
「え?本当?」
「……本当。他の人がどう思うか知らないけど、あたしにとって……なんだろ?堂々とわたりあいたいなって人。そんなあの人をおせっかいだって思う人だっているかもしれない、首を突っ込みすぎるって言うかもしれない……おせっかいなこと、しないでよっていいそうにもなったこともあったけどさ、あの人にとってはそれが当然のこと。だからさ、ごめんね?あたしはあなたの彼女になれない」
「……そっか、それなら仕方ないよ……わざわざ今日はきてくれてありがとう」
「ううん、気にしないで」
―――――――――
「百合さん、電話ありがとう」
『気にしない気にしない。暇なときと寂しいときは私に電話したら通話料と別途料金をいただいてその悩みを解決させてあげましょう♪今ならなんと三割り……』
「……じゃあね!」
最後のほうがなんとなくだが宗教じみた感じになったのでさっさと切る。悠がいた場所を見てみたのだが二人はすでに姿を消していた。どうやら遅かったようである。
「……」
「霧之助っ!!」
後ろから声が聞こえていて慌てて振り返るとそこにはいつもの悠の姿が……
「悠……で、どうだった?」
「何言ってるの、当然断ったわよ……あたしはまだあきらめないんだから」
「その意気だよ、がんばって」
そういったのだが途端に悠の元気がなくなる。何かあったのだろうか?心配して顔を覗き込むとばっと顔を上げる。
「……今日はさ、本当にありがとう。わがままなあたしに付き合ってくれて」
「気にしないでよ」
「ううん、さすがに倒れるまで……付き合ってくれたんだからさ」
「倒れたのは悠だよ」
「……霧之助も倒れたでしょ」
「あれはまぁ……セーフだよ」
「いや、アウトでしょ」
「けどさ、気にしなくていいよ……僕がやりたいって思ったのも確かだし。じゃ、悪いけど今日はこれ以上遅れると悠子が怒りそうだから先に帰るよ」
「うん、またね」
手を振る悠に手をふりかえし、僕は裏門から出ることにした。
今回で六十話突破。懲りずによくやるよなぁ、この十回目の記念日……なんて思っている方も思っていない方も心の底で祝ってあげてください。小説投稿一年目のときはうれしくてやりっぱなしでしたけどね。さて、選挙も終わって夏休みも大体今日が終わりでしょう。別に何かあるわけじゃありませんが……。では、今後ともまたよろしくお願いします。八月三十一日月曜日八時三十三分雨月。言い忘れました、感想、評価ありましたらよろしくお願いします。