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第六話◆

第六話

「おい、ちょっと霧之助」

「ん?何?」

 猛に呼ばれ、昼休み中に彼の席に向かう。

友人になった百合さんは今現在ここにはおらず彼女の居場所は不明である。少なくとも食堂へと足を運んでいないことがわかる理由は机の上におかれているぜんぜん百合さんには似合わないかわいいキャラクターのお弁当堤に包まれたお弁当から推論できる。もっとも、人は見かけによらないのでまるで大食い王みたいにばくばく喰っている可能性も否定はできない。

 そんなどうでもいいことを考えているとずいと近寄ってきた猛がひそひそと話しかけてくる。

「お前があの宮川百合と話しているのはこの際突っ込まないから今朝電話した子を見に行かないか?飛び級した妹をもってるお前の意見を聞きたい」

「何それ?」

 いいから来いと強引に引っ張られて、問題のクラスへと向かいあっさりと飛び級の少女を発見する。

「……何あれ?コスプレ?」

 男子の中では比較的身長の低い僕より頭一つさらに低い一人の少女が机に座って難しそうな本を読んでいた。セーラー服の上に博士が着るような白衣をまとっていてぐるぐる眼鏡ではないが四角い眼鏡をかけている。身長の低いできる秘書……じゃなかった博士?がモチーフとなっているのだろうか?

「あの子をどう見る?」

「どう見るって、かわいい?」

「いや、かわいいとかじゃなくて……」

「……おっ……」

 後ろの扉から悠子が入ってきた。そして、迷うことなく静かに白衣の少女へと近づいていく。その目には友達と話すときのような目の色は浮かんでおらず敵意むき出し。クラスメートたちはそんな二人を遠巻きに見ていた。

「あれはお前の妹さんだろ?」

「そう……だよ」

「知り合いだったのか?」

「さぁ、わからない。けど飛び級同士だから知り合いなんじゃないのかな?」

 野次馬根性丸出しで行方を見守る。この先何がどうなってしまうのか気になってみているとそこに百合さん登場。

「何々?何してるの?」

「あ、ええとですね、飛び級の子を見に来たんです」

 猛は若干百合さんと離れていた。

「飛び級?私だって下に飛び級だぞ」

 そのネタどこかで聞いた……

「笑えよ」

「いえ、その、聞いたんで」

「誰から?」

「そいつから」

 猛がびくっとして愛想笑いをうかべる。だんだん百合さんの目つきが危ない方向へとシフトしていき、気がつけばその右手には竹刀が……

「霧之助、ちょっと俺は用事があるから!」

 そういってさっさと猛は逃げ出す。何て腰抜けだ!あんな目つきでにらまれた程度で逃げるなんて……え?僕?僕は……にらまれても大丈夫だと思うよ?まぁ、追いかけられたらそらぁ、逃げ出すかもしれないけどね。

そんな二人のやり取りを見ていると、百合さんは一つため息をついて今度はこちらをにらみ始めた。

「お前、茶化してるのか?」

「いえ、茶化してませんよ……それより、あの二人がどうなったのか見ないと……」

「そうだったなぁ……」

 何とか百合さんの意識を二人の飛び級した少女へと向けさせる。いまだにらみ合いが続けられていたが悠子がそっぽを向くかのように再び後ろの扉から教室を出て行った。そしてそのまま自分のクラスへと消えていった。

「ちぇ、てっきり殴り合いでも始まるのかと思ったのに」

「百合さん、何を言ってるんですか……」

 もはや当初の目的も忘れ去られているような気がしたが、おとなしく僕たちは自分のクラスへと帰ったのだった。


今回もまた特にしょぼいことしか書かれていない後書きをご覧になっている方、ありがとうございます。前書きで何か言おうにもいちいちワンクリックが必要になるであろうからという勝手な配慮おせっかいなんですけど特に前書きに持ってきても書くことないんですよね〜じゃあ、書くなよっ!って突っ込んでくれた方、ありがとうございます。とにもかくにも今回で第六話。霧之助の義妹である悠子がこれから彼に対して態度を変えることがあるのかどうか……その辺、期待しないで待っていてください!

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