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第五十話◇

第五十話

 約束の時間よりも少し早めに来る、それが僕のポリシーでもある。それはどうやら、東結さんも同じことらしい。

「また会いましたね、間山霧之助さん」

「あ……どうも」

 ちなみに、宮川姉妹は少し遅れてくる(姉のほうは妹よりさらに遅い)のがポリシーだそうだ。相手の出鼻をくじくのが好きらしいが、その意味がよくわからなかった。宮元武蔵じゃあるまいし。

 気まずいまま校門前で待っていると僕と東結さんの隣をおそらく部活に来たと思われる人たちがひそひそと話しながら通過していく。そんな視線をものともせず、微笑をたたえてこっちを見てくる東結さん。後で何か変な噂たてられたらどうしよ……

「間山霧之助さん……見ましたよ、あの時」

「あの時?」

「先月の洋一郎と野々村悠の式のときです。東家の結婚前式に乗り込んできたのはあれで二組目。どうやら兄さんが首をつっこんでいたようですね」

「え?お兄さん?」

 ふふっ、とわらってこっちを上目遣いで見てくる。へんな色気がある気がして少しだけどきっとした。東で力を貸してくれたのは一人だけだったのをあっさりと思い出す。

「あ、ああ……東公彦先生のことですね」

 東公彦先生。我が学校の教師で確か教えている科目は体育だったかな?ちなみに、本人は体育が嫌いだそうだ。じゃ、何でそんなものの教師になったのかよくわからない。まだ若く、女子生徒たちの間でその容姿もあいまって人気だ。

「そう、公彦兄さんには本当にこまったものだわ」

 どこか芝居がかったような仕草で頬に手を添える。

「話は変わるけど、貴方は百合の何かしら?」

 ふっと淡く笑いながらそんなことを言ってきた。

「僕は……」

「百合の彼氏……いや、違うわね。何かしら?友達、いや、それ以上……親友ってところかしら?」

「親友……多分、そんなところかと思います」

 そしてまた、頬に手を軽く添えて首をかしげる。きっと男子高校生だったらきっと一発で心射止められていたに違いない……だが、なんだかその仕草には違和感を感じる。それに、この人がここで不良を束ねていたのは本当なのだろうか?

 そのことに対してたずねてみようかなんて考えたがそれが本当だったら面倒なことになりそうである。

「えーと、そういえば結さんは……」

「……間山霧之助さん」

 途中でフルネームを呼ばれる。彼女は竹刀袋から竹刀を取り出しており、それをこちらへと向けていた。

「……貴方とわたくしはまだ知り合ったばかりの関係です。そのように気安く下の名前を呼ぶのは失礼だと感じたりはしないのでしょうか?」

 今すぐ苗字で呼べとばかりの視線をこちらに送ってくる。優しそうな目だったが所詮は外面だ。人は心で何を考えているのか他人に知られたりはしない。

 それと、これはあくまで感だがこの人の竹刀の中には鉄の棒が仕込まれているような気がしてならない。

「すいません……東さんは百合さんとはどういった関係なんですか?」

 ある程度までは知っているのだがそれ以前に先輩と後輩という関係だけなのだろうか?そんな感じがしてしまってならない。

 そして、その質問に対しても待ったがかけられた。

「……間山霧之助さん、知り合ったばかりで相手のことを詮索するのは相手の方にとって失礼に値すると思いませんか?」

 思いませんよ♪なんていったら竹刀が光を放って襲い掛かってくるかもしれない。

「すみません」

「当たり障りのないところから友好を広める。それが仲良くなる最善の方法だとわたくしは思います」

 いや、そりゃあ、ないでしょと突っ込みたくなったがそれより先になんて面倒な人なんだ!と心の中で叫ぶしかなかった。

 しかし、そのまま黙っておくのも気まずいので何から話すべきなのかと考えていると一人の男がへらへら笑いながらこっちへやってきた。その男を確かどこかで見たことがあるような気がしてならなかった。向こうは僕に目もくれずに隣の東結さんに話しかける。

「お、君かわいいじゃん♪そんな男とこんなところでボーっとしてないで一緒に遊びにいかない?同じ高校なんだし」

「……ああ、あのような屑みたいな高校の生徒さん……まったく、気がつきませんでした。貴方のような方を不良というのでしょうね?」

 問答無用だとばかりに校門前で竹刀を振り落とす。男の頭がへしゃげてしまう幻覚を見てしまった気がしたが、それはやっぱり幻覚で一瞬だけぼけっとした男は苛立ちを隠さずに東結さんの胸倉をつかんだ。

「お前、何で叩くんだよ!?」

「……わたくしに触らないで欲しいのですが?」

「あぁん?なめられたまま下がれるかよっ!!」

 仕方ないので割ってはいることにした。そこでようやく思い出したのだがこいつ、洋一郎を囲んでいた数人の男の一人だ。どうやらまだ懲りていないようだ。

「まぁまぁ、落ち着いて」

「お前は黙ってろ!!」

 彼女の胸倉をつかんでいる手とは違う手で僕を押し飛ばそうとするが、逆にその手をつかんで関節技を決める。

「ぐがっ!!」

 そのまま無慈悲に一気に力をこめる。護身術である。けっして、暴力が好きだというわけではないので誤解しないで欲しい。

「東つながり……か、どうか知らないけどあの時もうこんなことしないって約束させたよね?……二回目なんてないから」


特にやることのない五十話。どうせいつもの通りでしょ?な〜んて思ったそこのあなた!目に見えて違う何かがわかったに違いありません!え?しょぼい?まぁ、しょぼいのは認めますが仕方ないですよ。話は変わりますがこの小説はバトル系ラブコメではありません。そういうわけで、登場人物がひめたる力を発揮するとか、他の人よりも頭一つ分戦闘能力があるとかそういうのは一切ありません。まぁ、霧之助の場合は悠子の食事を作るために発揮されていたりしますけどね。乱暴な描写はできるだけ避けたいので、避けれるだけ避けています。避ける道があるのなら、雨月は避けますよ?嫌なことは全部避けて通って生きてきましたから。終着点がどこなのかはいまだわかりませんが、とりあえず五十話目!これが折り返し地点だったらこの小説百話いっちゃいますね。そんなに続くか?と思うかもしれませんが評価とか感想があればいっちゃうかもしれません。別にあれですよ?感想が聞きたいなぁなんて思ってはいません。ちょっとだけ、思いましたけど。いつもいつも、後書き読んでくれている方がいるかはわかりませんが、結構長いことでしょう。お疲れ様です。この前の後書きなんて入力できないほどまで文を打ってやりましたよ!そしてまた、今回もそれを目指して埋めています。漫画とかってやっぱり才能があると思うんですけど、小説は少し違う気がします。文章、よく使…次回に持ち越し!

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