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第五話◆

第五話

 猛が話したことをまとめると次のうちである。

 飛び級という珍しい肩書きがあったために猛が早速話しかけようと(どのクラスか知らなかったために人から聞いたらしい)悠子がいるはずのクラスにいったそうだ。だが、そこには悠子の姿はなく飛び級だといわれていた少女は別人だったのだ。

「つまり、飛び級は二人いると?」

『いや、下に飛び級している生徒は俺らのクラスにもいるぞ』

「誰だよ?お前か?」

 ぶった叩くぞといわれたがあいにく言葉での暴力はあの悠子のほうが上である。その後に続いたへへへ、誰だと思う?という言葉にいらいらしながら待っていると答えが返ってきた。

『お前が昨日ちょっかいを出してたあの人、一つ年上だぜ?』

「え、マジで?それって落第って言うじゃんよ」

『ま、落第しちゃったら部活なんてできないからな……去年は剣道部の部長をしていたそうだぜ?おっと、こんな話は学校でもできたな。俺がどうしても聞きたかったことはそれだけだからじゃあな』

 いちいち朝に電話をかけてこなくてもよかっただろうに……とっくに五分を過ぎていたのでさっさと悠子を起こしに行くことにした。



――――――――



「一日たてばほとぼりが冷めるとでも思ったのが大間違い。そこに座れ」

 廊下に正座させられてしまった……

「……昨日のあれは本当に間違いなんですよ、先輩!」

 一瞬にして鬼のような形相になる隣人さん。そういえば名前を聞くのも忘れていた。

「あのぅ、先輩の名前は何ですか?」

「……宮川百合みやかわゆりだ」

 似ても似つかないような名前だが、ここで笑ったらどうなるか……想像するのもおそろしいので名前に対しては何も言わないでおこうと胸に誓うことにする。まだまだ命は惜しい十六歳の春である。

「えーと、百合先輩、だから昨日のあれは誤解なんです」

「何が誤解なんだ?怒らないからいってみろ、こら」

 恐い……

「友人を作ろうかと……ちょうど暇そうだったので」

「暇そうだった……ほぉ、起こすなって言わなかったか?」

「言いましたね」

「じゃあお前が悪いな」

「……そ、そうですかね?」

 え、えーと、何か助かるような言い訳はないのか!?今目の前では竹刀をぽんぽんと叩いている百合先輩が迫ってきている!

「一発で、一発でお願いします」

 目をつぶって頭を差し向ける。無駄にあがくのは性分ではないのだから仕方がない。今度生まれ変わってくるときは王様か銀河帝王にしてもらおう、神様に。

「…………」

 いつまでたっても何もおきないので目を開けてみるとデコに軽く竹刀の切っ先が当てられる。

「そうそう、おとなしく天罰食らえば何も言わない。友達なら天罰といってもこの程度でしょ」

「ゆ、許してくれるんですか!百合先輩!」

「その先輩つけるのやめてくれない?同年齢として扱って欲しい」

「わかりました百合さん」

「さん付けも…まぁ、いいか。んじゃまぁ、アドレスと番号教えとくわ」

 取り出したケータイをとられ、いくつか操作した後にぽんと返される。

「暇なときとかメールしてやるからいつでもかけてきなさいな」

「ありがとうございます」

「いいってことよ」

 いやぁ、目つきは完璧に悪役だがいい人だった……昨日わざわざ女子トイレに逃げ込まなくてもよかったかもしれない。

 ほっとしながらその後は政治のことについて永遠と聞かされ(もちろん詳しくない僕は黙って相槌を打つしかなかったが)HRを始める鐘が僕を救ったのだった。


さてさて、三人目?の少女が出てきました。飛び級……使い古されてるけど実際にはなさそうな制度ですよね。逆(落第)はよく聞きますけどね。感想なんかいただけると更新スピードが上がります。よろしければお願いしたいと思います。

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