第四十五話◆
第四十五話
「夏休みももう半分を切りましたね♪そういうわけで今日はこのお堂にみんなでお泊まりします♪」
そういって集まったメンバー(僕、猛、悠子、悠、百合さん)をぐる〜りと見渡す猛。悠子は心なしかいつもより僕のほうへと近づいていたりする。
「ちょいまった、猛。僕は百物語をすると聞いたんだけど?」
そのように抗議すると猛が鷹揚にうなずいた。
「いや、人数少なすぎ。そんなことしたら一人二十話以上はなさないといけないだろ?一話ごとにいちいち次回に持ち越し、そういうわけで続く〜とかしちまったらそれだけで一つの物語ができちまうからな。それに、ろうそく代だって馬鹿にならねぇ。よく考えてみたら俺の知っている怖い話は少しだけだ。ほら、九州の有名なトンネルねたぐらいだ。ネタ切れたら空の鍋をかき回す話とか船の上で好きな男の頭を抱きしめるといった病んだ話をするしかねぇ、それもだるい」
結果として猛が言ったとおり経費がかかりすぎるということなのだろう。しかし、ここに泊まるという考えが理解できなかった。
「おい、猛。私、蚊とか嫌いなんだけど?」
蚊が好きな人なんてあまりいないと思うんだけど、百合さん。この問題に対しても用意されたあの夏の風物詩の一つである緑のぐるぐるが用意されていた。
「これをたくさん買ってきましたから部屋の四方に置きましょう」
「何かの結界みたいだな」
みどりのぐるぐるから巻き上がる煙。それが何に対しての結界として作用するのだろうか?煙に巻かれて僕らが駄目になるのではないだろうか?
「それ使って百物語でも千物語でもすればいいじゃない!」
悠がそういうが、それはそれで何か間違っている気がする。趣がないというか、なんというか……
それに対しても猛が説明をしているとそれまで黙っていた悠子が両手を振り回しながら声を出す。子どもみたい。
「あ〜もうっ!!何で私がこんなところに来て寝なきゃいけないのよっ!!」
ぐるぐる眼鏡の奥は怒りの炎で燃えている。そして、ライバルであるあの子はどうやらこういったことは大好きらしい。
「何よ!あんた、ただ怖いだけでしょ?」
ええ、怖いわよ!なんていえない素直じゃない悠子は若干引きつりつつもあまりない胸をそらす。
「こ、怖い?そんなのあるわけないじゃないっ!!」
言い切ったのは見事ですけど、足が震えてますよ、悠子さん。そして、ライバルの弱みを知った悪い子はにやっと笑ってこういった。
「……あんたの後ろ、透けてる誰かがいるわよ」
「ひいっ!?」
ほぼ同時の反応。言った瞬間僕に飛びつく悠子を僕はよしよしとなだめてやる。もはや家ではこれが恒例となっていたりする。
「よしよし、大丈夫か悠子?」
「べ、別になんともないから!」
「うんうん、わかったから。ね、落ち着いて?」
「う、うん……」
いつもの様子を他の三人がぼけーっと見ていた。
「シスコンだな」
「シスコンだ…」
「あ、あんた……何、ブラコンキャラになってるのよっ!!」
百合さん、猛、(特に)悠が大声を出していた。
「別にブラコンなんかじゃないわよ!この愚図愚図女!あんたがもっとはっきりしてないからいっつもお兄さんに迷惑かけてるのよっ!!」
「そこがブラコンなのよっ!」
「そうだ、わかった!きっと霧之助の奴がたらし込んだんだ!」
「ええっ!そんなことするわけないでしょ!?」
「いいや、わからねぇぞ……確かにその可能性はすてきれねぇ!」
そして、そんなこんなやっていたら予想だにしないことが……
「あ〜……朝日が目にしみるな」
「うん、そうだね……」
「……のどがつぶれるかと思った」
「……あたしも」
「ZZZZZzzzzz……」
一人、おなか出したまま眠っている気がするが放っておくことにしよう。きっと満身創痍であろう自分に鞭を打って帰宅し、何とか布団出しっぱなしのリビングまでたどり着いた。隣で悠子が倒れこみ、それについで僕も倒れこむ。ぐだぐだ〜……いつものように次回に持ち越し、続く〜。
わかっているとは思いますが、更新スピードだけが取柄の小説です。卑下しなくたっていいじゃないか!なんていってくれるお人よしの方、お待ちしております。さて、怖い話ですね。夏といったら怖い話、怖い話といったらネットで探すのが一番です。一年以上、雨月の場合はケータイを手に入れてからなので三年以上ネットで怖い話を探していますとぱくったのか知りませんがよく似た話を十回以上読んだりもします。そして、投稿するときに間違えたのか、もとから作り話だったのかはわかりませんが『本当の話〜』などとついている話の中には突っ込みどころ満載の話が多々あったりします。怖い話が嫌いな方も、たまには相手の揚げ足を取るような読み方をするのも面白いですよ。もちろん、この小説のつじつま合わない部分も指摘してください。へこみながらも修正したりします。しかし、微妙にリアルに作っているところとかあるので、その部分だけわかりづらくなったりもしますのでご了承ください。そろそろ宮川百合編その二が始まる予定ですので前回の宮川編、図書館部分(霧之助がぼこぼこにされたとき)を読み直していただけると話がよくわかるかもしれないと思います。ちなみに、第十三話です。突っ込みどころ満載かもしれません。