第三十六話◆
第三十六話
衣替えも終わって七月。再びテスト期間が近づいてきておりあわただしくなっていた。
「霧之助、お前テスト大丈夫なのか?」
「ま、大丈夫大丈夫」
「そうだよな〜この前このクラスのトップを……というかなぁ、何で一生懸命勉強した私よりもヤマだけを狙った連中のほうが点数がいいんだ?」
このクラスの平均点数は九十三点だった。先生が涙を流していたのに全員驚いていたのだがどうやらこの高校にぎりぎりで入り込んだ、もしくは中学時代に問題を起こした連中でここは固められているらしい。
「今回もまたテストのヤマに頼るつもりみたいだしな、あいつら」
恨めしそうに『お・う・どう!お・う・どう!』と叫んでいる連中をにらんでいる。
「はは……それで百合さんはどのぐらいだった?」
「平均八十五だったよ」
「すげぇ」
「……点数いい奴から言われたら嫌味だぞ、それ」
そんないつものような会話をしているとどっかで見たことのあるごつい人たちが教室に入ってきた。
「おい、間山霧之助ってここにいるだろ?」
百合さんが苦い顔をしているのを見て思い出したのだがあれは雪ちゃんが事件を起こしたときに僕を助けてくれた人たちではないか?悠の言うようなことをためらうこともなく実行した人たちだし。
ともかく、以前僕を助けてくれた人たちが僕を探しているのだからすすんでいったほうがいいだろう。
「え、あ、はい。僕ですよね?」
首をかしげて近づくとその中でも一番体躯がよろしい人が出てきた。きっと三年生なのだろう……というより、近づいてみてわかったのだが横幅が二人分、たてに二メートルは軽く超えている人だった。
「どうしたんですか?」
「実はな、悠ちゃんが学校に来ていないのだ。一週間ほどずっと休み。先生にも聞いたが家庭の事情だとしか教えてくれないし……それで、我がラグビー部の天使である悠ちゃんの教室に行ったのだがそれなら間山霧之助に聞いたほうが言いといわれたのだ」
「はぁ?」
「だが、知らないのならよかった」
よくわからないがそれだけ言って去っていった。そういえば僕も悠に会っていないことに気がついた。いろいろと忙しかったからだ。
―――――――
それからは計画の細部まで練り直し、美月ちゃんがどういったことを成し遂げなくてはいけないのかを伝えたりした。
「じゃあな、猛」
「ああ、また今度な」
そして計画を実行する日が明後日となった日に僕は野々村悠の父親と偶然再会したのだった。
「やぁ、霧之助君」
いや、偶然なんかじゃないはずだ。なぜなら僕のアパートの前に立ってずっと待っているようだったからだ。
何故、この人がここにいるのか僕には簡単に想像がついた。
経緯はわからないが、このおじさんはきっと僕らが邪魔をするというのを知ったのだろう。
今のところ一番人気は百合さんのようですね。今現在、百合さんの話を書いておりますが正直言ってどのようにしてまとめるかなどは考えていないんですよ。百合さんの妹である宮川雪を登場させるか否か……悩んでいたりもします。う〜ん、今回もまた後書きがいまいちな感じですね。ぐだぐだ感が垣間見えてしまいます。