◆◆第二百七十九話◆◆◆:特別編、保健の先生の授業
次回、里香エンド予定です。
運動に関係する病気や怪我
霧之助「はい、じゃあ今回はタイトル通り運動に関係する病気や怪我について授業を始めていきたいと思います。そうですね、まずは予定通りア行代表である飯塚義美さんから言ってみましょうか」
義美「よ、よろしくお願いします!」
霧之助「はい、それでは教科書を開いて……まずは暑い日によく起こる熱中症から行ってみましょうか?この熱中症は特に夏にテレビなんかでも、この学校でもよくあるそうなので部活生もきちんと聞いておくように……義美さんはテニス部でしたね?」
義美「え?あ、はい。私も一度熱中症で倒れたことがあります」
霧之助「そうですか、それならちゃんと聞いておいてくださいね?要所要所で質問していきますから」
義美「はい!」
霧之助「では、まずは熱中症について説明してください。あ、何かに熱中するほうの熱中症とは別物ですからね」
義美「え?えーっと……とりあえず、身体が熱くなって駄目になる症状ですか?」
霧之助「まぁ、一応伝わるかもしれませんが正確に言うならば暑熱環境化において激しい運動を行った時などに起こる障害の総称ですね。もちろん、運動以外でも起こりますので気をつけてくださいね」
義美「もうちょっと大まかに分けたり出来ないんですか?」
霧之助「ああ、四種類ぐらいありますね。熱失神、熱疲労、熱痙攣に熱射病の四つの型があります。先生のことですが、若いころは熱射病のことを……いえ、なんでもありません」
義美「?」
霧之助「じゃあ、四つの型の説明からしていきましょう。熱失神とは一般的に言って皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、脳血流が減少して起こるものでして、眩暈、失神などがみられます。顔面が蒼白になり、脈が弱くなりますね」
義美「恐いですね」
霧之助「ええ、非常に恐いというか、この症状に陥ってしまうと地獄を見ると先生は思いますよ……では、次に熱疲労。これは脱水による症状でして、脱力感に倦怠感、眩暈、頭痛、吐き気などが見られます。倦怠感というのはわかっているかと思いますが疲れてだるくなることですね」
義美「男女の倦怠期などとかですか?」
霧之助「出来れば倦怠のほうではなく、熱疲労について食いついて欲しかったですね。まぁ、次に行って見ましょうか……さて、三つ目は熱痙攣でしたね。ちょっと、痙攣の漢字が難しいので大体、けいれんと平仮名で書かれていることが多いかなと先生は思います。さて、気になる症状のほうですがこれは熱中症にかかったときにやってしまう人がいるかもしれませんね」
義美「それってどういうことですか?」
霧之助「脱水症状に陥らないように運動中に水のみを摂ったりすると起こります。血液の塩分濃度が低下した時に、足、腕、腰部の筋肉に痛みを伴った痙攣が起こるのです」
義美「えっと、つまり水だけではなく塩分なども摂ったほうが良いということですか?」
霧之助「そうです。そこが重要です。さて、熱中症の最後が熱射病ですね。熱射病とは体温の上昇のため中枢機能(脳や脊髄など)に異常をきたした状態で、意識障害(応答が鈍い、言動がおかしい、意識が無い)が起こってしまい死亡率が高いものです」
義美「そんなに危険なものなんですか?」
霧之助「ええ、危険ですよ。毎年死者が出ますからね……この以上四種の熱中症に関連することを挙げましょう。高温環境下で運動などをすると体温が当然上昇しますね?そして、発汗してさらに環境温度が上昇してしまいます。そして、そのせいもあって更に体温が上昇して脱水が起こり、湿度の上昇、そして発汗機能の停止、うつ熱(体温が体外に熱を放出できない状態)状態となり、異常高温となってしまうのです」
義美「部活生は本当に気をつけないといけないんですね」
霧之助「そのとおりです。運動をするときは出来るだけ帽子をかぶり、こまめに休息や水分補給を行いましょう。無理をすると冗談抜きで死にます……環境因子としては気温が高い、湿度が高い、風が弱く、日差しが強い、照り返しが強い、輻射熱が強い、急に暑くなったといったときに起こったりしますね。あ、輻射熱がわからない方はしっかりと勉強しておいてくださいね。面白いですから」
義美「はぁ、わかりました……で、こういったものを予防するにはどうしたらいいんですか?」
霧之助「すばらしい予防策があります。インターネットなどで熱中症予防八か条などと入力すれば確認することが出来ますが一、知って防ごう熱中症。二、暑いとき、無理な運動は事故のもと。三、急な暑さは要注意。四、失った水と塩分取り戻そう。五、体重で知ろう健康と汗の量。六、薄着ルックでさわやかに(出来れば帽子着用希望)。七、体調不良は事故のもと。八、慌てるな、されど急ごう救急処置……といった具合ですね。紙に書いて部室などに張っていただけるといいかな、そう思います」
義美「じゃ、後で書いて張っておきますね」
霧之助「ええ、お願いします。これで少しは先生の手間が省けるというものですからね……では、授業を続けましょう。熱中症では欠かせない水分補給について少し語っておいたほうがいいかなそう思いますのでそのことについて今から話します。ノートにちゃんと書き込んでいますね?」
義美「はい、大丈夫です」
霧之助「水分補給には三つのポイントがあります。一、五度から十五度に冷やした水を用います。冷えている水は、深部体温を下げる効果があります。胃に留まる時間が短いので水分を吸収する象徴に速やかに移動します。そして二、飲みやすい組成にする。三、胃にたまらない組成および量にしましょう。水だけをがぶ飲みしていても意味が無いですからね。熱痙攣を引き起こしたりしますので気をつけましょう」
義美「あ、さっき言っていた奴ですね?」
霧之助「そうです。もしかしたらテストに出すかもしれませんので覚えておいてください…さて、水分減少のサインというか、体調の悪化についてお教えしましょう。体重の二パーセント減少で強いのどの渇きを訴えます」
義美「たった二パーセントで、ですか?」
霧之助「ええ、人間にとって水分は必要不可欠ですからね。四パーセントではだるさ、めま、頭痛、汗が止まったり体温上昇が起こりますね。寝ているときにも水分はどんどん抜けていきますので起床時、運動前後に体重を計っておくのがいいでしょう。そして、水分補給についてですがのどの渇きが酷くなる前に必ず飲んでください。飲むときはゆっくりと飲むようにしてくださいね?それと、十分から十五分の間隔をあけて飲むように。休憩も必要ですよ?」
義美「そっちのほうが効率がよさそうですからね」
霧之助「体調が悪くなって結局練習できなくなった、病院に搬送された、死んでしまったなどは本当に冗談では済まされなくなりますから生きているうちに手を打ちましょう。水分のときに説明しておきますが熱失神、熱疲労、熱痙攣には重症度というものがあり、重症度一度では眩暈、立ちくらみがある。汗が拭いても拭いても後から出てくる。筋肉のこむら返り(すねの後方の膨れたところ)が痛いなどです。対処方法としては涼しい場所へと運んで水分と塩分を摂らせます。軽快するまで一人にしてはいけませんよ?事態を甘く見ると酷い目を見ますからね」
義美「気をつけます」
霧之助「次に重症度二度です。どのような感じになるか、頭ががんがんする。吐き気がする、吐いてしまう。身体がだるい。判断力や集中力が低下するなどですね。やはり、涼しい場所へと連れて行き、足を高く上げて水分、塩分を摂りましょう。自分で塩分や水分を摂ることができないならば迷うことなくすぐに病院へ連れて行ってください」
義美「本当に近くにあるものなので恐いですね、熱中症って」
霧之助「すごく恐いですよ?さて、最後となる重症度三度です。これはもうみれば危険であるということがわかるほどです。まず、意識がありません。身体が痙攣する。高い体温に呼びかけに対して反応がおかしい。まっすぐに歩けないといった状態です。すぐさま救急隊に、119に電話してください。そして、くるまで水や氷で冷やしてあげましょう。間接部、つまりは首やひざの下、足の付け根などに当てましょうね」
義美「今度見かけたら習ったことを実践してみます!」
霧之助「一番いいのはそこまで無理をしないことですけどね。おっと、筆記具などをもうなおしている方がいるようですがまだまだ、終わりませんよ?楽して覚えたものよりもやっぱり苦労をして手に入れたものの方が価値があるのではないかと思いますのでちゃんと聞いておいてください……さて、こういったものにどういった人がなりやすいのか?当てはまる人は高温化での運動などには充分気をつけておいてください。次の三つが特に重要です。脱水症状のある人、暑さに慣れていない人、体調の悪い人ですね。絶対に無理をしないように。あとは高齢者、肥満気味の人、過度の着衣をしている、普段から運動をしていない人、病気の人です」
義美「先生、体調が悪い人などは運動しないと思いますけど?」
霧之助「我慢強い人などが要注意です。この程度なら我慢できるだろうと思っていると、ころりですからね。さて、関連してこれらの危険信号についてです。異常に早く気がついてくださいね?高い体温、赤い、熱い、乾いた皮膚、そうですね、全く汗をかかない、触ると熱いと要注意です。ズキンズキンとしている頭痛は危険です。あとは眩暈、吐き気、意識の障害などです。最後のものは周りの人が気をつけてあげる必要がありますね。応答が奇妙だったり呼びかけにぼーっとして反応が無い場合は注意してあげておいて欲しいです」
義美「部活仲間でそういったことが無いように努力しますね」
霧之助「あなたががんばりすぎて倒れてはいけませんからね?さてと、熱中症関係については基本的なことはお教えしました。復習をちゃんとしておいてください」
義美「はい、わかりました!」
霧之助「でも、まだ終わりじゃありません。次は運動中に起こってしまう怪我についてです。やはり、骨折が一番多く、次に捻挫、ねんざですよ?漢字が難しいのでちゃんと覚えておいてくださいね?一時期、インフルねんざ……いえ、なんでもありません。第三位が打撲、挫傷です。とても大切ですから覚えておいてくださいね」
義美「私も部活していると捻挫とかたまにやりますよ?骨折はまだですけど」
霧之助「骨折してしまったかな?そう思ったときはすぐに病院へ。タンスの角に小指をぶつけるだけで骨折してしまうという人もいますからね。さて、捻挫については知っている方もいるかとは思いますがRICEという方法がありますね?飯塚さん、知っていますか?」
義美「えっと、RICEですよね?米?」
霧之助「……違います。RICEとはR:Rest、安静・固定。I:Ice、Icing、アイシング(冷却)。C:Compression、圧迫。Elevation、挙上……の頭文字をとったものです」
義美「……知りませんでした」
霧之助「知らないのなら覚えておいてください。冷却するときは砕いた氷にしておくと捻挫した部分を均等に冷やすことが出来ます。それが無理ならば氷水にしてあげるとよいでしょう。さて、運動していると怪我をしてしまうことがありますからね。出血を伴った場合はまず、自分の手を洗浄をして下さい。出血箇所、傷の部分を流水で洗い流して異物を除去、損傷部を高く維持して滅菌ガーゼを当てて上げましょう。あくまでこれは基本のものなのですが一応覚えておくように」
義美「あ、それは知っています」
霧之助「言うのが少し遅かったですね。本番時にそのようなことが起こらないことを先生は願っていますよ?さて、そろそろ終わりも近づいてきてしまいましたが心配蘇生法についてです。救急患者が意識障害、呼吸停止、心停止、もしくはこれに近い状態に陥ったとき、呼吸及び循環を補助し、救命する為に行われる処置・治療を言います。大切なことは何でしょう?」
義美「気道の確保ですか?」
霧之助「それも一つですね。Airway(気道の確保)、Breathing(人工呼吸)、Circulation(心臓マッサージ)、Defibrillator(電気的除細動→AED)です。心臓マッサージについては教えてあげたほうがいいのでしょうがこればかりは慣れというかそういったものが重要ですので調べた後に人形などを使って練習しておいてください。あ、生きている人にやってはいけませんよ?非常に危険ですので。飯塚さん、わかりました?」
義美「やりませんよ!子どもじゃないんですから!」
霧之助「それは一安心です。では、心臓突然死について教えておきましょう。発病してから二十四時間以内の内因性死亡のことをいいます」
義美「ないいんせいしぼう?」
霧之助「内因性死亡とは、殺人、自殺、事故死、毒物死などを除いた病死、または自然史のことをいいます。日本では年間約八万人が突然死しています。最後になってしまいましたが、紫外線についてです。オゾン層の破壊とともに紫外線が強くなっている~とのことなので一応、話しておきます。市販されているクリームなどのSPFが十前後でPAが+のものは散歩や買い物に使うとよいでしょう。二十前後、++だったらお庭の草取り、スポーツ観戦などに。三十以上、+++ならば海水浴や登山に使用してください。塗り方のコツは充分な量をむらなく塗ることです」
義美「普通ですね?」
霧之助「まぁ、女性の方が多くは使用しているでしょうが男性の方も気をつけておくように……これで今回の授業は終わりですよ」
義美「ありがとうございました」
霧之助「次回は飲酒、タバコと健康に関係することについて授業を行います」
これはあれですね、あくまで霧之助の将来ですよ。ええ、そうです、一つの可能性ということで。おもしろいかどうかは……う、うんっ。一月三十日土曜、十時二十九分雨月。