◆◆第二百六十五話◆◆◆:衝突と白衣
第二百六十五話
漆黒のセーラー服に赤いリボンを身につけて一人の少女が校内を歩いている。彼女の名前は野々村悠。後二ヶ月程度で二年生へと進級する少女である。彼女は頭がいい。そういって敬遠する人が居たりするが、周りとは普通に接している。
いつものように廊下を曲がろうとすると、曲がり角を曲がって不機嫌そうな顔の女子生徒と鉢合わせ。
「……」
「……」
少しだけにらみ合いが続く。ぐるぐるめがねをかけていてとても無愛想。がり勉といわれても仕方がないぐらいのぐるぐる度合いだ。話したことのない相手ではあるが、先生や生徒の中では話に出たりするぐらいの天才少女らしい。自分も天才少女といわれているのでたまに目の前の少女と間違われたりすることがある。相手も天才といわれるほど頭がいいのだろう。事実、この前先生に呼び出されたときはあと一年で卒業までこぎつけるという話を一緒に聞いたのだから。
目の前の少女は何を考えているのだろうか?
「……」
「……」
無言のまま、すれ違う。何か起きるわけではないのにほんの少しだけどきどきとしてしまった。
何もおきずにそのまま角を曲がろうとして事件は起こった。
「ほら!さっさとそれを置きに行くぞ!」
「ちょっと待てよ、猛!そんなに走ると……」
どんっ!!!
「のはっ!」
「きゃああっ!!」
なんだか車に激突したかのような錯覚(実際に激突したことがないのでどの程度かは不明)を覚えながらそのまま廊下に倒れこむ。頭がいいから運動神経までいいとは限らない。まして、野々村悠は運動が苦手だったりする。
「あいたたた……」
「君、大丈夫?」
ぶつかったほうは後ろに控えており、別の男子が声をかけてきた。何故か、その男子生徒は白衣を身にまとっていた。身長が高いためか何とか着こなしている。
「え?だ、大丈夫なわけないでしょっ!!すっごい衝撃だったんだからね?何様よ?」
「とりあえず足を閉じたほうがいいよ。パンツ見えてるから」
親切心でそういったのだろうが、それは逆効果だったりする。
「……変態っ!!……いたた、足が……」
急いで足を閉じようとしたが痛みが走る。
「……猛、またやっちゃったんだな……これで何人目だよ?」
「えっと……次で停学って言われたからな。どうしようもないな」
まるでおっさんのような男子生徒は他人事のように笑う。そして、もう一人の男子生徒は恨めしそうにその生徒を見てため息をついた。
「……猛、今からすぐに何処かに隠れてろよ」
「は?何でだ?」
「今回だけは僕が肩代わりしてやるから」
「……いいのか?」
「ああ、かまわない…よし、じゃあそこの君は……僕の背中に乗って?保健室まで連れて行くからさ」
「はぁ?」
どういった展開になっているのか頭の中で整理していたために突然言われたことに対して動けなかった。
「猛、その子を僕の背中に乗せろよ」
「へいへい、了解」
「え?ちょ、ちょっとあんたたち何するつもりよ?」
「……保健室までつれてくだけだから……よっと、軽いな……」
「達者でな~」
後ろからそんな声が聞こえてくる。
――――――――
「ま、とりあえずベッドで寝ててよ」
「はぁ?何であんたの言うことなんか……」
「あれ?上に着せるシーツがないや……あ、これでいいか……」
そういって身に纏っていた白衣をかける。
「え?ちょ、ちょっと……」
「じゃ、今日のことは黙っておいてね」
そういって男子生徒は保健室の扉を手早く開けて出て行ってしまった。廊下を小走りに駆けていく音も聞こえない。
――――――――
悠が霧之助に出会ったのはこのときが最初であった。何のことはない、稀に起こる出来事なのである。
一週間休みたいなと、思ったわけじゃありませんよ。超強敵たちが雨月を待っていたんです。いえ、もちろん今も戦いの途中ですとも。受験生の皆さん、がんばってください。まぁ、雨月は受験生ではありませんけどね。さて、余談はその程度として……どうしましょうか、この状況?これからの展開を見たところ、やっぱりエンディングはあの子ってことになってしまいます。とほほ、作者の文章能力の無さがうらまれますね。まぁ、嘆いていても仕方がない!これからどうやって軌道修正を行っていくかが腕の見せ所って言うことで!次回もまだまだ悠の話が続きます。悠ってやっぱり影が薄い気がするんでこのぐらいの扱いがちょうどいいのではないでしょうか?一月二十一日木曜、二十一時三分雨月。