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◆◆第二百六十三話◆◆◆:気になる日記の内容

第二百六十三話

 捲った先にあったものは誰にあてたのかわからない、いや、強いて言うならば自分にあてての日記だろう。捲った部分がちょうど自分のことについて書かれていることのようなのでそれ以上前は見ないと心に決める。日付が書かれていないために日記としては問題があるような気がしてならないが、それほどきっちりとした日記を書く気はないのかもしれない。

「……『今日、悠がやってきた。理由はさっぱりわからないが泊めて欲しいらしい。そんな悠を見て思ったこと。こんなことを書くのはどうかと思うんだけど、悠は可愛い』……」

 徐々ににやけていく表情を一生懸命手で戻す。落ち着け、もしかしたら上げて落とすパターンかもしれない!

 そんなことを考えながらさらにページを彼女は捲る。ちなみに、すでに彼女の顔はにやけて仕方がなかった。路上にそのまま放り出したら妄想にふけっている少女に見えるだろう。

「……『朝、おきてリビングへと向かうとそこには悠が静かに寝息を立てて眠っていた。起こさないように近づいてみると幸せそうな顔で眠っており、ほっぺたをつつくと指に食いついてきた。しっかりと、歯形を残して許してもらえたわけだけどきっとお腹がすいているのだろう。痛みを伴うものだったが寝顔を見れてよかった』……」

 くぅ~寝顔見たんだ~。あたし、見られてたんだ~……などと、そんなことを考えてさらにページを捲り……その手が止まった。

 そこに書かれていることは……

『悠へ、この日記を見ているのはわかっているからね?相変わらず知的探究心が人の何倍も上だね~。まったく、人の日記を勝手に読んじゃったりしちゃ駄目でしょ?僕が帰ってきたときにオシオキだからね?』

「……」

 どうしたものだろうか?いや、よくよく考えてみたら霧之助はここには居ないのである。きちんと同じ場所に戻しておけばばれたりしないのでは?

 まだ文章には続きがあったようで悠はなおも読み進めた。

『ちゃんと元の場所に戻しておけば大丈夫だろう……なんて、考えたりしちゃ駄目だよ?帰ってきて絶対に日記見た?って聞くからね?もし、そこで素直に答えなくて嘘ついて、後でばれたら……悠のことなんて大嫌いっ!それから…』

 大嫌い……大嫌い……大嫌い……

 え、いや、違う、違うの。霧之助がもしかしたら誰かと交換日記をしているかもって……あ、いや、そうじゃなくて!そんな理由で見たんじゃないの!本当、見たくて見たわけじゃなくて、その、引き出しの中に……あったからつい、好奇心で……ちらっと……

 狼狽しながらも、助かる道を探すかのようにそのまま文章の続きを読む。

『それから……まず、人の部屋に無断で入ってる時点で問題あるからね?何かお宝を探そうとしてるのかもしれないけどあまりいいことじゃないんでそのことについてもオシオキします……』

 ああ、自分はこのまま霧之助にオシオキをされてしまうのだろうか……オシオキ?オシオキ……

「どんなオシオキされるんだろ?」

 なんとな~く、気になったためにもしかしたらかかれているかもしれないと思って読み進めてみる。

『……なぁんてね、読んでないよね?つまり、ここでこうやって書いていても結局無駄骨。さっさと支度して朝食作らないと……あ、まぁ、これを読んでいたとしてもオシオキは免除。その代わり、悠の寝顔の写メ撮っているからね?この日記を読まない限り寝顔を撮られたって悠は知らないから大丈夫だよねぇ?』

「……」

 ね、寝顔撮られちゃってるんだ……あたし。

 そんなことを考えながら日記を元の位置に戻す。ま、まぁ……寝顔ぐらいならいいかな?そう思ってなんとなく、身だしなみを気にして鏡を取り出し、覗き込んだ。

「……嘘でしょ?」

 よだれの跡がしっかりと残っているのにいまさら気がつく悠であった。


ちなみに、次回も悠編続いたりします。え?結編が見た……一月十八日、八時五十五分雨月。

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