第二十六話◆
第二十六話
家に帰ってさて、どのように切り出そうかなぁって考えていると悠子が帰ってきた。
「悠子……」
「嫌よ。そのぐらい自分でやってよ、お兄さん」
「……まだ何も言ってないじゃないか!」
「……言ってないけど、わかるわよ。お兄さんが言いそうなことなんて」
「じゃあさ、どんなことか当ててみてよ」
「……私に勉強教えて?でしょ。そんなの考えなくてもお兄さんの顔をみればわかるわよ」
そういっていつものように自室に引っ込んだ。わざわざ着替えてくるつもりなのだろう。むぅ、やはり自分で勉強するしかないのか……しょうがなくテレビでもつけて料理を作るかと考える。いや、この間に勉強でもしたほうがいいんだろうけどね。
テレビをつけるとちょうど何かのインタビューがあっているようだった。そして、テレビに映っているその姿に驚いた。
「……!?悠子!ちょっと来て!」
「何々?どうしたの?」
上は普段着、下は学生服のスカートというある意味最先端?な格好で現れてテレビを見る。すると鼻を鳴らして自室に帰っていった。
「あ……そうだった……」
僕は一つのことを思い出したのだった。
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「霧之助、今度お前のお父さんになる人には双子の連れ子がいてね」
「ああ、そう」
「双子といってもあまり似てないんだけど……」
「そこ、あまり関係ないよね?」
「あまり仲がいいってわけじゃないのよ」
「へぇ、そりゃ大変だね」
「一人はものすごく頭がよくて、もう一人は将来の夢がモデルだそうでたまにテレビにも出ているそうよ」
「……僕、確実にそんな妹たちをもったら馬鹿にされるよね?平凡だし」
「ま、よく姉妹でけんかをしていたそうよ」
「僕にどうしろと?」
「がんばって」
―――――――――
「最後のがんばってがいまだに理解できない」
「……一人で何言ってるのよ」
夕飯はさばの味噌煮である。さばとか青魚系はものすごく嫌いなのだが日々の栄養面について考えなくてはならず、しかも母さんからレシピ表も貰っていてたまたま今日目に付いた料理がこれだったのである。若気の至りである。
「ん?いいや……別に。独り言」
「怖いからやめてくれる?」
「ご、ごめん……それより、悠子は中間テストの勉強しなくていいの?」
他にこれといって提供する話題がないために必然的にテストの話をしてみる。すると、予想通りというか、ものすごい答えが返ってきた。
「する必要なんてないでしょ。あの程度授業してもらわなくても自分でしたほうが早いし」
「………」
ああ、やっぱり悠子と僕の間には越えられない一線があるんだな。そう実感してしまう瞬間でもあった。
「ん?どうしたの?黙り込んじゃって」
「え?あぁ、いや……別に。それより明日は何が食べたい?」
「別に……私はお兄さんが作ってくれるものなら何でもいいから」
よし、それなら悠子の嫌いな食材をチョイスして何かこしらえようかな…そんないたずら心も少なからず心の中に存在したがさすがにやめておこう。
「よかったね、悠子。僕がへたれで」
「そんなこと知っているわ」
「……」
なんだかものすごく馬鹿にされた気分だ。
そろそろ食事も終わろうとしている途中で悠子の携帯電話が着信音を奏で始める。ちなみに、悠子の着信音は至ってシンプルなプルルルル……であり、あまり流行の曲とか知らないようだ。
ディスプレイに表示された相手が誰だったか見えなかったが、どうやらあまりうれしい相手ではなかったようで、ものすごくしかめっ面をしながらも対応をして途中で切った。
「え?よかったの?」
「別に……お兄さんには関係な……くはないけど……いや、むしろ関係あるわね」
ぐるぐる眼鏡の奥底でなにやら輝きが増しているようだが……どうかしたのだろうか?首をかしげていると悠子はすごいことを言ってのけた。
「……あのね、由美子がこっちに一週間ほど滞在するんだって」
「由美子……って」
間山由美子。今では僕の妹だが正直言って話したことは皆無だ。見たことは一回あったが、モデルをやっているのでスタイルは抜群。その由美子がここにやってくるという。
中間テスト、高校に行かなかった人でも中学校で経験していることでしょう。ちなみに、作者雨月はあまり勉学に対して励みを見せておらず明日テストだというのに深夜までゲームを一生懸命やっていました。もちろん、結果は惨敗に終わり二日ほど失意の中にいましたとさ。まぁ、かといってそれから勉強しなおしたかというとそうでもなくおろかなことにまたもやその後に(悪いほうで)すごい点数をとったりもしました。今ではいい?思い出ですね。