◆◆第二百五十九話◆◆◆:夢のない道
第二百五十九話
朝は時間がないのでシンプルイズザベストと行こうか……そう思ったのだけれども、人間とは懐かしい感覚に弱いらしい。
「……あの、お兄さんっていつもこんなにたくさんの量を作って一人で食べてるの?」
「……いや、まぁ、そのねぇ……ちょっとやりすぎちゃったんだよ。普段は勿論、バランスの取れている食事しかしていないからね?」
コーンスープに味噌汁、おにぎりにトースト(おにぎりは三種類、トーストも三種類)、普通のご飯にフランスパンもある。ついでに、出汁巻き玉子にスクランブルエッグ、ベーコンエッグもありますよ?……いや、これを二人で食べ終えることが可能なのだろうか?
―――――――
結論、僕は駄目だが悠子はいけました。
「……すごいね」
「……すごいねって……お兄さんが作ったものを私が残したこと、ある?」
答えはノーである。全てをその小さな身体に取り込んでいるのだ。意外と大食漢だったりしますか?
「……あのね、私はちょっと頭がいいだけの普通の女の子ですけど?」
「…普通ねぇ?」
飛び級しているので普通とはいえないのではないのだろうか?まぁ、思っても口にはしないさ。
「あ、それで僕に聞きたいことがあってきたんだったよね?」
食後のコーヒーを悠子の前に置く。僕の前には緑茶を置いておくとしよう。
「……進路のこと」
「え?」
「私の進路のこと。どうすればいいかさっぱりわからない」
それはおかしなことだ。悠子ほどの学力を持っていればそれこそどんな大学にでも通りそうなもの……自分の望んだ全ての道を開拓する力を悠子は持っているのである。僕は悠子のお母さんのことは知らないが……きっと、悠子はお母さんのほうに似たのであろう。今現在、僕の父親であるあの人と悠子は似ていない。
おっと、今は悠子の母親について考え込んでいる場合じゃないな。
「……悠子はどうしたいと思っているの?」
「私?私は……だから、さっきも言ったじゃない。私は自分の進路を決めることが出来ないのよっ!!それを……」
声を荒げているところを見ると相当この進路のことで悩んでいるようだ。それに比べて僕は……まぁ、悠子よりは悩んでいない。もう、進路は決めている。
「まった、それは十分わかっているから。悠子がここにいる理由はどうしたらいいのかを聞きに来たんだよね?」
「そうよ……」
ここで一つ、ちょっとした疑問が浮かんだ。何故、悠子は母さんや父さん、そして学校の先生などではなく僕に進路の相談にやってきたのだろうか?妹が兄に進路を相談するというのはあることかもしれない。まぁ、悠子と血は繋がっていないがそれ並みの絆があるということは自負しているつもりだ。ただ、信頼するに値はするのだが実力が伴っていない。僕だって進路相談をもう少しで受けなくてはいけないわけなのだがあいにく、自分の意思をまだ先生に伝えてはいない状態なのである。
そんな僕が何かを言ってもしも、もしも悠子の将来に何か影響を及ぼしてしまってもいいのだろうか?
「お兄さん……どうかしたの?」
心配そうに見つめてくる悠子。そんな悠子に対してその場限りの提案をしたくはないのだ。だが、悠子にどんなことを言えばいいのだろう?
悩んだ末に僕は……
まぁ、どうしても進路の話題でコメディーなんて無理です。進路でコメディーやったら確実におふざけ万々歳読者皆様の批判を受けること間違い無しですね。しかも、今日からセンター試験。きっと今頃受けている人たちがいるんでしょうねぇ。ああ、あのころを思い出す……と、いうことで次回もまだ悠子の話。正統第一期ヒロイン間山悠子……次回も登場です。一月十六日土曜、九時四十九分雨月。




