◆◆第二百五十八話◆◆◆:進路と妹
第二百五十八話
勉強合宿が終わった……ということは三者面談が行われるというわけである……そう、三者面談。基本的に全ての生徒が三者面談を経験するわけで、それは飛び級である悠子も例外ではない。飛び級という例外ながら三者面談を受けているというのが少しおかしいと思ったのだが、僕はそのことで連絡を受けていた。
―――――――
『あのね、明日お兄さんのところに行くから』
「え?いきなりどうしたの?」
『じゃあね』
「え?ちょ、ちょっと!!」
勉強合宿があさってから始まるという日……僕はしおり記載されている所持品をチェックしていた何が足りないかを確認しながら電話をしているという片手まで行っていたのだ。
現在時刻が午後十一時五十八分。あ、今、一分経過したから後一分で日をまたいでしまう。まさか……ね、意外と時間きっかりに来ちゃったりして。
チッ……チッ……チッ……ボーンボーン……
ピンポ~ン
「……ま、まさかね……」
扉の覗き穴から確認してみるが……そこには誰もいなかった。
「……悪戯?」
「誰か来てたの?」
「……」
そんな声が後ろから聞こえてきた。後ろを振り向くとそこにはやっぱり……
「悠子!?いつからマジシャンになったんだ?」
「……別にマジシャンになったわけじゃないわよ。私はいつまで経っても……お兄さんの義妹のままだから安心して」
ほっ、それはよかった……じゃない。いいけど、よくない。
「で、いつからこの家にいたの?まったく気がつかなかったんだけど?」
「お兄さんがお風呂に入ったときかな?」
一時間ほど前にお風呂に入ったのだがまったく異常はなかった……はず。
「うん、将来はいい泥棒になれると思うよ」
「……冗談はやめてよ。ともかく、今日はもう私寝るからね」
おやすみ、そういって僕の部屋へと向かっている。
「はい、ちょっとまった」
「……何?ちゃんと歯磨きとか済ませているんだけど?あ、ちゃんとお兄さん歯磨きとかしているの?放っておくといろいろとサボってそうなイメージあるし」
「……悠子、それお節介!」
「……お兄さんに似たのよ。どうしてくれるの?」
いや、ね、どうしてくれるのって言われましても困るだけなんですけども?しかも、さっさとドアノブに手をかけている。しっかしまぁ、相変わらず行動が早い素直でいい子だ。
「あ、安心していいけどもう布団は準備しているから」
「い、いつの間に……じゃなくて!別の場所で寝てくれない?僕が眠れないよっ!」
「……?別にお兄さんも私の隣で寝ればいいじゃない?」
流石に……うん?いや、ちょっと待った……前まで何度か悠子の隣で寝ていたはずだよなぁ?
「まぁ、そっか…そうだね、隣で寝ればいいか」
「そうそう、さっさと寝よう?朝になったらちょっと話したいことがあるから」
そういえば今回の悠子からはいつものゆったりさが感じられないんだけど……どうかしたのだろうか?ぐるぐるメガネもびしっとオーラをぷんぷん匂わせている。
「……何じーっと見てるのよ?」
「んにゃ、えっと……気にしないで」
「変なの」
へぇへぇ、どうせ僕は変人ですよ……。この前布団は買ってきているのを知っていたのかすでに二つ準備されていた。
―――――――
なんだか石臼に踏み潰される夢を見ていた気がする。身体を起こそうとしたが身体が動いてくれない……人生初めての金縛り?
まぁ、現実なんて違うもので目覚めてみれば悠子が僕の腹の上に乗っていた。
「ぐぅ……」
「ぐぐぐ……重い……」
どかして立ち上がる。
「……ぐぅ……ぬがっ?」
途中、棚に当たって半目を上げる。そして、棚と壁の間に隠してあった。禁断の書が全体の約三分の一を現す。
「っと……やばっ」
それを急いで押し込み、僕は朝食を作るために自室を後にするのだった。
んまぁ、人生いろいろって言うことはわかっているつもりなんですよ。出来れば楽して人生送りたいものですがそうも言っていられないのです。日比、勉強あるのみ。いつか自分の小説に挿絵を入れてみたい……まぁ、また彼方のまた夢なんですけど。どうすれば絵がうまくなるんでしょうねぇ?これからさきも日々努力して描き続けるしかないのはわかっていますが先は果てなく遠く、みえないです。一月十五日金曜、二十二時十一分雨月。