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◆◆第二百四十九話◆◆◆:貴女と話せる今夜の約束

第二百四十九話

 何故、彼らのテンションが異様なのかさっぱり理解できないが(狭い部屋で空中二段宙返りに連続前転、それと開脚前転)順番は僕が一番最初となった。

「まぁ、この時間帯なら大体の女子が目を覚ましているだろうな……で、お前ちゃんと相手にメールしたのか?」

「う、うん……さお…桜にしておいたよ」

 そういうとそれまで遊んでいた連中の動きが止まった。

「「「……桜?」」」

 一瞬だけ、誰の名前か忘れていたようである。全員が同じタイミングで手を打つと恐ろしい顔をして寄ってきた。

「……お前、早乙女さんの下の名前を……」

「…俺らは若干、忘れてたぜ?」

「俺もだ!だが、貴様に早乙女さんは渡さん!」

「絶対にな!!」

 やれやれ、いちいち芝居がかった連中だな……そう思っていると一人が手をあげて言った。この企画を立ち上げた奴である。

「あいにくだが、その発言は自分たちの彼女の耳に入っても尚、言い続けられる言葉なんだろうな?」

「「「……間山、がんばれ!俺たちは一致団結してお前の幸福を前提に行動する!!」」」

 まったく、変わり身が早いんだから……



――――――――



 昨日成功したのだから今日も成功するとは限らない。ちょっと気をぬいた瞬間に死角からの刺客が出たりして。

「……」

 あ、今の駄洒落桜の前で披露したら笑うだろうか?笑うだろうな~……鼻で笑うに違いない。呆れたような視線を僕に送ってため息を一つつきそうだ。

 階段の辺りまでやってきたが、誰も居ない。先生も、他の連中も。まだ、消灯時間からそう経っていないはずなのに、生暖かい風が廊下に入ってきているだけで他におかしいところはない。

 メールでの打ち合わせではさすがに女子の部屋に入れさせてもらえないとのことなので階段あたりで落ち合うことになっていた。階段の踊り場からは三階のベランダへと出ることが出来る。若干狭いような場所だが、夜景を楽しめるために結構人が多い……というのも、一般客がいればの話だ。しかし、完全に学校の生徒たちのために貸しきられているために消灯時間を過ぎている今の時間帯にベランダに居るやつは居ないはずだ。

「……霧之助」

「あ、さく……むぐぅ」

 手で口をふさがれ、そのまま静かに扉を開けて僕を引っ張る。音もなく扉を閉めて設置されていたベンチまでつれてこられた。

「……となり、座れば」

「……う、うん」

 なんだか恐いような……気がしてならないが、気のせいってことで。

「ごめんね、なんだか急にメールしちゃってさ」

「ううん、気にしないで……私どうせ昼間眠っていたから……それに、その……」

「その……どうかしたの?」

 しっかりと前を見据えたまま、だんだん消えいく声でしゃべる。しかし、いきなりこっちを見て形容しがたい表情でこんなことを言った。

「……も、もしもの話なんだけど……私が、そ、その…おおおおおおお化け関係、駄目って言ったら……笑う?」

「え?何で笑うの?」

「……何でって……高校三年生にもなっておおおおおおお化けが怖いってありえないじゃない!」

「ありえないかな……?僕の妹もお化け、苦手だよ?」

 由美子は不明であるが、悠子は駄目である。

「……まぁ、誰にだって苦手なものがあるんだからいいんじゃない?逆に完璧人間過ぎたらちょっと引くし……」

「……そ、そう?」

「うん」

「そう……あのね、信じてもらえないかもしれないけど……昨日の夜、トイレで幽霊を見たの……」

 急にそんなことを言われても……しかも、顔が完全に真剣なんですけど?

「え、あ、そ、そうなんだ……」

「ええ、掃除用具がいきなりあいたかと思うとす~っと、閉じて……近づいて開けてみようとしたら……いきなり何かが顔に…ぺたって!ぺたってはりついてきたのよぉぉっ!!!」

 そんなに怖かったのだろうか?そして、いまだに怖さが残っているんだろうな……震えている。正直言って、罪悪感が残りっぱなしなんだけど……どうしたらいいのだろうか?

「あ、あのさ……やっぱり早く部屋に戻ったほうがいいんじゃないかな?」

「無理よ……もう全員眠っていたから……一人だけ起きているって絶対に……絶対に恐怖体験するパターンじゃないっ!」

 頭を押さえている……でも、そろそろ部屋に戻らないと先生たちの見回りが来る時間帯だ。しかし、部屋に戻ってくれなさそうだし……それに、この元凶は完全に僕である。無責任な行動はとりたくないし……



―――――――――



「で、お前は……早乙女さんを連れてきたと?」

「ご、ごめん……まぁ、いろいろと事情がね」

「……お邪魔するわ」

 ふざけていた男子共は静かになってすごすごと布団の中に入って狸寝入りをはじめる。

「うん、落ち着いて眠くなるまでここにいていいよ」

「でも、戻るときにばれたらどうするのよ?」

「まぁ、その問題は大丈夫だよ……一応、先生の見回り時間がわかるからさ」

「ふ~ん?」

 その後、結局早乙女さんは朝が明けるまで僕らを話し相手に、勉強の方法から復習まで夜通し(冗談抜きで)付き合ってくれたのだった。


想像してみてください、辛い……みかんというものを。はい、想像できましたか?間違って創造はしないように。最初に言っておきますが…雨月は下の右奥歯が虫歯に蝕まれていて非常に虫の居所が悪いです。突き方を間違えると自爆しますので、気をつけてください。まぁ、そんなわけで次回で第二百五十話です。ついでに、第三回目(何回目だったかな)アンケートを実施したいと思います。あなたの好きなメンバーは次のうち、どれですか?1、第一期メンバー(悠子、悠、百合、雪、結)。2、第二期メンバー(由美子、百合、雪、結、時羽)。3、第三期メンバー(里香、桜、一二三、夏帆、補欠で吉野先生)。最後に、霧之助が学校で最初に話しかけようとした女子のもう一人に話しかけた話が読みたかったor成長した霧之助の話を読んでみたい…お暇なときにどうぞ、よろしくお願いしたいと思います。それではまた次回……。一月九日土曜、八時十五分雨月。

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