◆◆第二百四十八話◆◆◆:早乙女→桜
第二百四十八話
幽霊騒ぎ、四階のトイレにお化けが出たとの話である。二日目の朝偶然であった一二三ちゃんからその話は聞いた。ちなみに、夏帆も居たのだが寝起きが悪いタイプなのか長い髪が下ろされていて髪の間から覗く瞳が僕をじっと見ていてとても恐い。
「へ、へぇ、お、お化けねぇ……」
「はい!そうなんですよ!被害にあったのは三年生の女子だって聞きました」
「間山~さっさと集合しろよ」
「あ、じゃ、じゃあ……僕、急いで集まらないといけないから……じゃあね」
逃げるようにしてその場所を後にする。
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まるで料亭に出てきそうな和食の朝食に手をつけながら、ひそひそと話をする。
「まったく、危なかったな?」
「うん、まさかこんなに噂が広まるのが早いなんて思わなかったよ」
「そりゃそうだ、今回お化けを見たって言ったのは早乙女さんだからな」
「………うぇっ?」
「お前、見たんだろ?」
「いや、見てない……」
「しかしまぁ、どうしたものか……お化けがいないっていうのはわかってるけどよ、こりゃ馬鹿な連中がお化けを探す!とか言い出さないか心配だな……」
そんな話をしながら朝食を食べ終える。
「ま、俺らのやることはかわらねぇからな」
「……って、まだみんなやる気なの?」
「「「当然だろ?」」」
何が目的なのかわからないけど、みんなかなりいい笑顔をしていた。
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勉強中にトイレに立つのは別にかまわないわけだが……その途中で顔色の悪い早乙女さんに出会った。
「間山……」
「あ、や、やぁ、早乙女さん?なんだか体調悪そうだね?」
さわやか~に、挨拶をしてみるも不機嫌そうな視線を返されただけだった。
「……別に、ちょっと寝不足なだけよ」
そういって壁に手でもつけようとしたのか右手を伸ばす……が、距離が足りなかったためにバランスを崩した。本当に体調が悪いのだろう、そのまま崩れ落ちそうになったので支える。
「だ、大丈夫?早乙女さ……」
「……桜」
「え?」
「……苗字で呼ばないで。なんだか友達じゃないみたいだわ。やり直してよ」
「……え、え~と、大丈夫?桜?」
「…………大丈夫だったら倒れたりしないわ……今日はちょっと休ませてもらう。先生に言っておいて」
フラフラと立ち上がり、背中を見せる。どうやら、部屋に戻るつもりらしい。
「送っていったほうがよくないかな?」
「……大丈夫よ」
そういって階段をあがっていってしまった。
「…まったく、相変わらず意地っ張りなんだから」
一回でいいからさおと……桜の頭の中を見てみたい気がする。きっと、僕には理解できないパンドラの箱なんだろうな……
―――――――
「さぁて、今晩もやってきましたこの時間っ!!女湯覗きに行った馬鹿はいないかい?」
「「「いないぜっ!!!」」」
「よっしゃ!じゃ、今日も今日とて肝試しっ!!今回の順番を決めようかっ!!」
相変わらず、テンションの高い連中である。とまぁ、僕自身、その中の一人として周りから認識されているのだろうけど。
「じゃあ、今日もこれから女子にメールを送れ!さっさと送れよ?」
「それなんだよなぁ……」
「何だよ?間山は高畑が居るからいいだろ?」
「う~ん、だってまた里香にお願いするのはちょっとねぇ……」
トラブルメーカーといって差し支えないかもしれない。
「まぁ、お前が誰にメールを送るのかは興味ないけど……やっぱりやらないとかは無しだからな」
「わかってるよ、僕も参加するって言ったんだからとりあえず最後まで付き合うって」
さって、誰にしたほうがいいだろう?う~ん、悩むって言うより、僕の女子の知り合いって結構少ないからな……
さて、満月の騎士がおわっちゃいました。最終的には無念な結果ですね。いずれまた、挑戦しようと考えています。次回は……読んでからの秘密です。1月八日八時五十四分雨月。