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◆◆第二百四十六話◆◆◆:肝試しは心臓に悪い

第二百四十六話

 三階の階段から一番遠い部屋が僕たちの止まっている場所である。

「次は間山か……じゃ、健闘を祈るぜ」

 三人目が僕だったわけだが、二人目が遂には帰ってこなかった。女子と仲良くやっているのかそれとも……

 考えるだけ恐ろしいので無心になって五感を研ぎ澄ませる。クーラーの効いていた部屋とは違って廊下は生ぬるい。そんな廊下の床には絨毯が敷き詰められているために音が消え、巡回していると思われる先生の足音が聞こえることはない……もっとも、こちらの足音も聞こえないだろうけど。

「……」

 消灯されている為に足元を少しだけ照らしている光だけで確認する。この廊下を先生が通るのは後十分程度時間があるはずだ……しかし、四階の廊下を専制の誰かが巡回するのは五分後のために急いで四階の廊下に向かわねばならない。計画では間に合わないと思われるために階段を上がったすぐ近くにある女子トイレに忍び込み、先生が行ったのを確認し、肝試し続行の手はずとなっている。

 階段を駆け上がり、女子トイレへと滑り込む。どうせ、誰も居ないはず……



かたん……



「!?」

 一瞬だけ、心臓が厚い胸板を突き破って出てくるかと思ってしまった……そして、徐々に二つ目のトイレの個室の扉が開け放たれていっている……まるで、ホラー映画の一場面のようだ。まぁ、違うのは電灯が切れかかっていなかったり、鏡が新品同然で汚れも何もないってところが残念だったりする。やっぱり、こういった所は汚れがあったりしたらクレームつけられてしまうからきっちりしているようだ。肝試しの雰囲気はまったく出ていなかったが(どちらかというとスパイ映画とかの舞台にちょうどよさそうだったりする)そんなことはどうでもいいだろう。

「……っと!!」

 そんなことを考えている場合でもなく、急いで掃除箱の中に隠れることにした。ここからでは外の様子がわからないが、扉が完全に開け放たれる前にまるで忍者のように(小さいころはスパイか忍者になりたかった)静かに忍び込んだためにばれることもなかったようで……意外と僕、忍者かスパイを目指せるかもしれないな。



こつ、こつ、こつ………



 そう思いたかったのだけれども、どうやらにわか忍者もしくはスパイには所詮無理なミッションだったようでトイレの中に居た相手は掃除用具に多大なる興味をお持ちのようである。なんと、目の前で足音が止まってしまった。一瞬だけ、心臓が止まっちまうかもしれないと本当に思った自分がどれだけ追い詰められているか実感する。

「……」

 ああ、心臓の音が相手に聞こえないかどうか不安になるとはこのことか……というより、ばれちゃっているのではないでしょうか?ばれているかどうかはわからないけれども、疑っているのは間違いな……



コンコン……



「……はいってまーす……」

 って、僕は何をいっているんだぁぁぁぁぁぁっっ!!律儀すぎるぞ、間山霧之助ぇぇえ!!

 あたふたと、暗闇の中でもだえている僕とは関係なく、無情にもがちゃりと扉が開けられる。僕は僕を見つけてしまった鬼さんの確認をして、刑務所内での生活に思いをはせようとしたところで……涙が出てきそうになった。



「り、里香かぁ……」



「なぁんだ、やっぱり霧之助だったんだ?びっくりした?」

 意地悪そうに微笑んでいるところを見るとどうやら僕が中に入っていると踏んでいたらしい……



 まったく、肝試しってこんなに気苦労するイベントだったっけ?女子と一緒に女子トイレでどきどきって言ってもいいけど、こんなどきどきイベント、正直要らないよっ!!


前回以後に感想を頂き、雨月の尻に火がつきました。まだまだ早いですが高校生間山クンのエンディングはどうしたものでしょうかね〜。まだまだ、肝試しは続きます!一月六日水曜、十時五十二分雨月。

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