◆◆第二百四十一話◆◆◆:図書館で朱に染まる君
第二百四十一話
七月に入る前に一度だけ、模試があった。クラス全体の雰囲気が一応、受けておくか~といった感じだったために欠席する人などひとりもおらず、早乙女さんも例外ではなかった。まぁ、彼女が休んだ場合、風邪か事故かのどちらかに当てはまると僕は思う。
国語、英語、数学だけの三教科だったために半ドン。そろそろ期末のために勉強し始めたほうがいいんじゃないかな~、そんな話をしながら僕と早乙女さんは図書館へと向かうのだった。
一応、図書館は開いているのだが土曜の昼過ぎから使用しようとする生徒などいないらしい。二人(司書さん入れて三人だけど)しか居ないためにとても静か……適当な椅子に座って持ってきていた勉強道具を広げる。
「じゃあ、気合入れて勉強するわよ、間山」
「うん……ああ、そういえばさ」
授業中、または早乙女さんが自習をしているときに話しかけると非常に恐い。まぁ、いつも恐いんだけどそれよりも恐くなる。前世は多分、活火山か何かだったんじゃないかな、そんな風に考えていたりする。
「何よ?」
「進路どうするの?」
「……」
あれ?聞いちゃまずかったかな……そう思って恐る恐る様子を伺ってみるとなにやら考えているようであった。ちょっとの間だけ、僕の顔を見て一つ、ため息をついた。
「いいわ、教えてあげる……大学進学よ」
「そっか、まぁ……」
予想はしてたよ……といったら、とりあえず彼女は怒ることだろう。なんだかよくわからないが僕がいろいろと当てたりすると怒るのである。いや、しかしよくよく考えてみたら頭がいい、お金持ち……ということは基本的に大学に進学するんだから予想はしていたよっていっても怒らないかもしれない。
「予想はしてたよ」
「……ふん、で、間山は?」
ちょっと不機嫌になってしまったようだ。
「僕?僕は……多分、進学」
「まだ決めてなかったの?」
「うん、まだ……ね。けど、出来れば教師になりたいんだ」
「教師ぃ?」
すごい顔をして僕のほうを見る。
「あれ?おかしいかな?結構、真面目なんだよ」
「……いや、そうじゃなくて……てっきり、主夫になるとでも思ったから」
「……専業主夫に?」
「うん」
てっきり、冗談を言っているものとばかり思っていたけれども、早乙女さんの瞳には真剣一色しか浮かんでおらず、嘘をつくような人でもない。
「え、えーっとね、僕なんかが専業主夫になれるわけないよ」
「……私は、出来ると思うな……」
気のせいか、僕の視力が悪くなってしまったのか……何故だか彼女の顔は朱に染まっていたりする。どうしたのだろうか?
あけましておめでとうございますとはよく言ったもので、あけおめ、ことよろも時代が移ろい変わり行くものです。そういうわけで、今年もよろしくお願いいたします。っとまぁ、堅苦しい挨拶はこの程度にして、今年もがんばっていかせてもらいます。ハッピーエンドになるのか、ならないのかは……あなたの手にかかっていますよ?それでは、新年最初の一発目は早乙女さんでした。アンケートのほうも待っていますのでじゃんじゃんお願いいたします!二千十年一月一日、金曜零時四十三分雨月。