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◆◆第二百四十話◆◆◆:メール。

第二百四十話

 その日、偶然だったのかもしれないけど早乙女さんが欠席した。まぁ、欠席といってもインフルエンザだったために扱いが公欠らしい。噂によると土曜からかかり、日曜、月曜まで引きずったそうだ。

 とても珍しいことだったのだろう……朝のHRが終わると僕の隣、早乙女さんの机に人だかりが出来ていた。

「まさか早乙女さんがなぁ……」

「きっと間山がえり好みするからだろうな」

「夜も間山のことだけ思って夜風を浴びすぎたに違いない」

 クラスメートたちがこっちをじろっと見ていた。

「……は?」

 何故、僕が見られるのかさっぱりわからないために首を傾げてみると全員が一つ、ため息をついていた。おい、野中君……君までやれやれだぜ~とか何言っちゃってるんだ?

「わけがわからないよ」

「嘘つくなよ、俺は見たんだ……お前のアップァートから結構な数の女の子が出て行くところをな!」

「……ああ、体育祭の次の日だよね?」

 そりゃあれだな。多分、というか絶対、僕が駅まで送るって話になったときだ。

「体育祭のときも来ていたな……」

「ううむ、やっぱり謎の転校生、いや、ハーレム転校生だったのか……」

「……」

 なんとまぁ、幸せな連中なのだろうか?僕がハーレム状態ならば休日全てがばら色のはずである。

「転校してきたときは不良だ不良だ言われていたけど意外と女の子をたぶらかす奴だったのかもな」

「勝手なこと言って……あのね、僕の何処が……」



き~んこ~んか~んこ~ん……



「っと、授業が始まっちまったな」

「……」

 好き勝手騒いだ後に各自ばらばらに移動していってしまった。まったく、何を考えているんだか……

「……ハーレムか」

 そういえば、ハーレムって何人以上がハーレムなのだろうか?一人以上……は、違うか。二人?二人以上ならハーレム……いや、二人だったら両手に花ってやつだな。じゃ、三人以上……かな?



―――――――



「あなたを殺して私も死ぬわっ!!」

「まちなさいっ!!あの人を殺してあたしが死ぬのよっ!!」

「あんたたちなんかに渡さないわっ!!一緒に死んで、時雨っ!!」

 適当につけたテレビではそんなやり取りが行われている。早乙女桜は学校に行きたかったのだが医者と両親に止められていけなかった。

「……こういった愛情もあるのね」

 一人の男性が崖先まで追い詰められ、三人の女性がそれにじりじりと近づいていく。場面は移り変わって一つのお墓の前になっていた。

「結婚詐欺には気をつけましょう……」

 どんなCMよ……早乙女桜はそう思いながらチャンネルを切り替える。ちょうど、ドラマが始まるところだった。

『愛憎渦巻く温泉旅行!?気をつけろ、そっちは女風呂だ!』

 どんなタイトルよ……そう思いながらもそのままにしておく。どうせ、暇なのだ。広い部屋にはベッドと机しかなく、娯楽用のものはこのテレビぐらいしかない。手を伸ばせば何か時間をつぶしてしまうようなものを部屋においておきたくないのだ。勉強のときは集中したいし、両親の期待を背負っている手前、部屋に何か別のものがあればそちらのほうに親が興味を抱いてしまうだろう。

「……」

 ぼーっとテレビを見ながら質素な机の上におかれた写真立てに手を伸ばした。そこには高校最後の体育祭での一つの場面が閉じ込められている。

「……」

 ぴったりと肩を寄せ合ったまま、苦笑している男子生徒と写真を写るときはピースサインしかしたことがない自分が写っている。思えば、高校生活での思い出などこの一枚しか……

「ん?」

 いや、そういえばまだ他にあった気がする……そう思ってテレビをつけっぱなしのまま廊下の一番奥にある物置部屋から一冊のアルバムをとってくる。高校生になったときに両親から渡されたものだった。高校生活で撮った写真をこのアルバムに自分で入れなさいといわれたものだ。鍵などつけられていないが、両親は絶対見ないと約束したし、今現在もその誓いは破られていないらしい……

「そういえば……」

 机の引き出しの中に一度も見ていなかった写真がたくさん残されている。それは二年生の最後に行った修学旅行のものだ。

「……」

 テレビからは女湯に覗きに行こうとしていた主人公たちがヒロインたちと出会う場面だった。

 女湯……ふと、思い出して携帯電話を手に取った。

 そして、父親を除いて唯一の男のアドレスへととあるメールを送ったのだった。



――――――――



「ん?」

 授業がちょうど終わったときにケータイが振動する。それをとって確認するとどうやら早乙女さんからメールが来たようだ。

「なになに……『間山、あんたそういえば女湯を覗きに行こうとしていたわね?』そうだったのか、間山?」

「ええっ?って、勝手に見ないでよっ!」

「一体全体、このメールは何なんだ?俺にはちょっと理解できない……」

 クラスの数人がなにやらぶるぶる震えていることに気がついた。それは全員、男子生徒だ。

 その一人である野中君がこっちにやってきた。

「ま、間山君……これって修学旅行のときのことじゃないか?」

「……修学……ああ、なるほどね」

「きっと、誤解しているんだよ」

 まぁ、なんやかんやあって(簡単に言うならば屋根から落ちた)女風呂の脱衣所付近に着陸し、慌てて逃げ出したのである。そのときに早乙女さんを見かけたような気がしないでもない。

「と、とりあえずあれは誤解だったってことを……」



ぶるるるる……



「待って、またメールが着たみたい」

 急いで確認すると……

「『今度ある勉強合宿のときにまたやったら次は許さないわよ』だってさ」

「……」

「何か返さないと……」

 そうだった……さて、何と返そうか……とりあえず、覗くつもりなどなかったことを証明しよう。



―――――――



「……『安心して、早乙女さんの身体なんかに興味ないから』……」



―――――――



「ほら、見て、かえって来たよ……」

「どれどれ……『間山、覚悟しておきなさいよ』だって……五愁傷様」

 クラスメート全員が僕に向けて手を合わせている。お手手のしわとしわを合わせて……死合わせってか?

 野中君だけが僕に怒っていたりする。

「な、何しているんだよ、間山君っ!!ここは『嘘だよ、見てみたいのは早乙女さんだけ(汗)』って送ってあげないと!」

「……え?それってなおさら問題ありそうじゃない?」

「いいから、これ以上酷い状況にはならないとおもうからさ!」

「……」

 救済処置として野中君の案を受け入れて送ってみようとして、その手が止められた。

「おいおい、それだけじゃぜってぇ、足りねぇよ……俺らが手伝ってやる!」

「はぁ?」


―――――――



「……『僕が興味があるのは早乙女さんだけ……今度の勉強合宿、君の部屋に忍び込むから』……」



―――――――



「あ、返ってきたみたいだよ?」

 男子のクラスメートたちがにやにやしながら全員でディスプレイを覗き込み……顔が青ざめた。

「……『間山、あんたクラスの男子たちから入れ知恵されたわね?全員、覚悟しておくこと』……だってさ」

 はっはっは、ざま~みろよといいたかったけど、ずっと下のほうにまだ続きがあった。

「……『今日の夜、気をつけときなさいよ』……ど、どういうことだろ、これ?」

 誰かに助けを求めようにも、全員びくついて席に戻ってしまった。しかし、このままではクラス全体の雰囲気が悪くなってしまうので、僕は一つの提案をすることにしたのだった。

「……よし、明日から一週間ぐらいは全員で風邪を引こうっ!!」

「「「「おーっ!!」」」」



―――――――



 だけどまぁ、人生ってそんなにうまくいかないね。次の日、風邪で休んだ人は零だった。ああ、でもみんな病気にかかって休んだんだよ、仮病って言う、最高の病気にね……。


嘘じゃないですよ、本当です。あれから色違いのラッキーが出てきたんです。薄碧でした……いえ、本当なんですって!嘘ついてません!けど、けど、逃げられちまって……もう、子どもじゃないのに一生懸命ポケモ○やってる自分が悲しいっ!!さて、今回で二百四十話。後十話で五十話ですね。しかしまぁ、今年も本当にいろいろとありました。うらみ、つらみがこもった今年(小説のデータが飛んだ、作成中のレポートのデータもとんだ……)、さようなら……。そして、明日になれば不安と希望に満ち溢れた来年がやってくるわけですよ。年賀状の準備はよろしいですか?雨月は気になるあの子に送り続けて、ある日を堺に一月一日に来なくなりました。何か用事があって出せなかったわけじゃないようで、友人であるいとこのほうにはちゃんときていましたから……ああ、自分は彼女にとって単なる迷惑でしかないのか……と、そんな気持ちになってその年からは作らないようにしました。ま、酸っぱかろうが甘かろうが、もはや雨月には関係ない!今年遣り残したこともたくさんありますがまだ、猶予はありますっ!!そしてまだ、アンケートなど受け付けておりますのでお気軽にご連絡ください。え、えーと、See you next year!これ、間違っていたらすっごく、恥ずかしいですね。2009年十二月三十一日木曜、八時三十八分雨月。

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