◆◆第二百三十三話◆◆◆:近くて遠い、僕と君。
第二百三十三話
どうせさ、わかっていたことなんだよ……お店を前にした名古ちゃんは僕を置いて入っていってしまった。もう、いろいろな人に見せたかった。ぱっと、ぱっとね?すぐ隣にいたはずなんだけど、密着してた状態だったはずなんだけど……
近くて遠い距離って……このことを言うんだろうね。
「うわっ!!すごい!すごいっ!!」
「……」
けどまぁ、隣でしおらしくしているよりもこうやってらんらんと目を光らせているほうが名古ちゃんらしいといえばらしいかな……それが彼女の魅力(非常に疑問が残るわけだが)だということなのだろう。
「先輩先輩っ!!」
「ん?どうかした?」
「あれと……」
彼女の指差すほうには蒼い服を来た美少年のフィギュアがあった。
「あっち……」
彼女の指差すほうには紅い服を来た美少年のフィギュアがあった。
「……どっちがいいですか?」
「どっちって……色が違うだけじゃん」
「そこが重要なんですよ、細やかな違いもまた、気をつけなくてはいけないことなんです」
「そ、そうなんだ……」
ずずいと近寄ってくる。顔はもう、すぐそこ。
「ど・っ・ち・ですか?」
「えっと……」
近くて遠い、僕と名古ちゃんの距離……
――――――――
「いやぁ、先輩本当にいい人ですね!一生大切にしますよ」
「は、ははは……そうしてもらえるとうれしいよ」
ああいうのって意外と高いんだね……買ってあげるといって値段を見てやっぱりやめたなんてことを……僕は出来なかった。
「そろそろお昼だけどどこで食べようか?」
「あ、外食もいいんですけどその……あたし、先輩の手料理が食べたいです」
「そっか……まぁ、そっちのほうが安上がりだしそうしようか」
「はいっ!!」
「う~んだけど材料がないからなぁ……これから買出しに行かないと」
「じゃ、一緒にいきましょう!」
「そうだね、行こうか」
スーパーへとついた後に二人で材料を選んでいる間、やたら笑っている名古ちゃんだが、何か悪いものでも喰ったのだろうか?そう思って訊ねてみると心外だという表情をする。
「……また、こうして先輩と一緒にスーパーで一緒にいることが出来るなんて想像もできませんでした」
「……まぁ、確かにそうだね」
「スーパー自体は同じ場所じゃないんですけど……ね」
しみじみとした調子でそういう名古ちゃん。
「先輩は……先輩はもう、あのアパートには戻らないんですか?」
「僕は……どうだろう?わからないよ」
「今年で卒業ですよね?もう進路とか決まっているんですか?」
「僕の進路?」
「はい、参考にしたいって言うか、あいかわらずあたし、先輩ぐらいしか話せる先輩がいませんから聞いておきたいんです」
「僕の進路は……進学かな。僕、教師になりたいんだ。だから、大学に入って勉強して、教師を目指したい…そう思ってる」
「……なるほど、そうなんですか」
ニンジンを眺めながらそういう。
「先輩、今日はカレーが食べたいです」
「カレー……わかった」
「あたし、応援してますから……」
ニンジンを手渡されるときにそんなことを言われた。
「……ありがと、名古ちゃんのためにもがんばって見せるよ」
応援してくれる人がいるのなら、がんばろうという気がしてくるのは……僕が現金な人間だからだろうか?
―――――――
「今日は楽しかったですよ、先輩」
「うん、またおいでよ」
電車の中と外、近くていずれは遠い距離となる。
扉が閉まり、目の前にいたはずの少女は瞬きの間に消え去っていた。
「そういえば、結さんだけが来てくれなかったんだな……」
卒業後、どうなったかは聞いていない。悠子に聞いてみたら実家に帰ったとのことだったが……電話もメールも駄目、洋一郎に聞いても行方知れず……でもまぁ、いつかまた、会うことだって出来るだろう。
勝手にライバル視していた小説(個人的に一部を除いて負け越し)が終わってしまいました。何か目標にしてそれをおいかけながら小説を書くのが好きだったのですが……しかしまぁ、終わっちゃったものは仕方ありません。さて、新たに感想を頂きまして雨月に火がつきました。どっちかというと、お尻に……そんなわけで、悠子、桜、百合、結がただいま見事に人気投票?で横ばいに並びました。早乙女桜は見事にダークホースでしたね。今後の展開にも勝手に期待をしてしまいます。さて、知っている人は知っている、知らない人は知らないでしょうけど自転車の鍵が発見されました。紛失したのはいつかぐらい前だったでしょうか?県道を爆走しているときにどっかに吹き飛んでしまったのです。それを探して合計五時間ぐらい消費したと思います。最後は家の門に置かれていました。よそ様の家の前で鍵を使ってみると……ぴったり!そういうわけでお持ち帰りです。チャイムを鳴らしてお礼を言いに行こうとしましたがそれもどうかとおもい無言で立ち去りました……よくよく考えてみたら人生、分岐点ばっかりですね。もし、あそこで鍵を探そうとしなかったら、もし、今日もまた鍵を探しにいこうとしなかったら……どうなったのでしょうか?すごく、気になります。そんなわけで、この小説も分岐点があるような仕様にしたのですが作者の作文能力がしょぼいために合えなく没です。まぁ、でも最低一日一回は投稿したいんですけどねぇ……。あ、勿論いまだにアンケート、待ってますよ?十二月二十七日日曜、十五時四十二分雨月。




