◆◆第二百三十一話◆◆◆:アルコールに強い戦士?たち
第二百三十一話
どうにかしないとな……確かに、そうつぶやいたわけだがどうしようもないことは存在するのである。
「んじゃまぁ、かんぱ~い!!」
謎の炭酸水(麦ジュースではなかろうな?)を右手で掲げ、百合ちゃんはそう宣言する。
「かんぱ~い!!」
結局、悠子、由美子、悠、百合ちゃん、雪ちゃん、里香、一二三ちゃん、夏帆は……僕の家に来て大騒ぎ(早乙女さんはすでに他にお呼びがかかっていた)だったりする。よかった、隣の人がおととい引っ越していってさ……
「さぁさ、お兄ちゃん……ぐいぐい飲んで!」
由美子が上機嫌で首に右手を絡めてくる。もはや酔っ払ったおっさんのようだ。
「え?ちょっと、これ……怪しいにおいがするけど?」
百合ちゃんの頬が心なしかピンク色に染まっている気がしないでもない。やたら陽気に一二三ちゃんに絡んでいたりする。
「気にしない気にしない!別に飲んでも死にはしないっ!!乗るならそるか?そるなら飲むなってねぇ……」
「……」
酔っ払いめ。
「なんだかお兄ちゃん、いや~な、ことを心に抱えてるってす~ぐっ、わかっちゃ……げふっ!!」
後頭部に悠子の右手が刺さっている……。
「……由美子、あなたはちょっと飲みすぎね」
悠子がそのまま由美子を引っ張っていってぽんと床に放置。すぴ~という寝息が聞こえてきて寝てしまったようだ。
僕の手からグラスを取り上げて、悠子はそれをぐぐっと飲んだ。
「……え?」
「……大丈夫、私はこの程度であんな風にはならないから」
そっちの心配じゃなくて、飲んでいいかどうかのほうで……その、ね?
「……何か悩みでもあるの?」
「え?悩みってわけじゃないけど……大丈夫だよ」
「そう、それならいいわ。何か心配事があったら私に出来るだけ……言ってね?」
そっぽを向いたままそんなことを言う。
「うん、ありがとう」
「なぁんだ、霧之助?悩み事でもあるのかよっ?」
「うわっ!?」
「水臭いですよ~」
酒臭い連中がやってきた……
「あのね、ちょっとは静かに……」
「よし!それなら霧之助の口をふさいでしまえ~」
「ええっ!?何で!?」
「お前が一番うるさいんじゃぁっ!!」
―――――――
「えっと、じゃあ先輩、一二三はこれで帰りますね」
「……わたしも」
「うん、二人とも気をつけて帰ってね」
もはや一般人には見せられないような感じになってしまったパーティー会場(僕の王国)から二人をはずすことにした。心苦しいが、一斉検挙の可能性が高いのでここは巻き添えを食らわないように逃がしておいたほうがいいだろう。里香は残ると宣言し、いまだに飲んでいるはずだが……もう無理~という声とともに倒れる音が聞こえてきた。
「先輩のお知り合いの方って結構、変わった人たちが多いんですね」
「……変な人たち」
失礼だけども、しっくり来る。夏帆、君も十分変な子だから安心していいよ。
「じゃ、ばいばい」
「お邪魔しました」
「……おじゃまーした」
鉄製の扉がバタンと閉まり、静寂が戻ってくることは……なかった。
「きりのすけ~早くこっちこいって!」
「あ~はいはい、今行くよ!」
「むっ、間山さんのその返事、なんですか?ちょっと失礼ですよっ?」
「え?ごめん」
「あんたは謝らなくていいわよ。宮川姉妹に頭を下げなくっても…」
「悠、それはさすがに言いすぎ…」
「さすがに?んじゃあ、霧之助はちょっとは言っていって思ってるのかよぅ?」
「……仕方ないわ、お兄さんにみんなでこれを飲ませましょう……押さえて!」
「ええっ!?強制はいけないんだよ?そんなことも知らない……え?何…本当に押さえてるの?」
「人間なぁ……べろんべろんに酔ってるときに心の奥底にしまいこんでいるものが出て来るんだよ……つ~わけで、酔え!」
やばい、このままではやばいぞ……由美子は隅っこでお酒の瓶を抱いて眠っているし……誰も味方がいない!?ここは自分で防衛せねばっ!
「あ~その、僕はね、もう…酔ってるんだ」
「……え?そうなのかぁ?」
「うん、自分自身に酔ってるんだ」
「「「「………」」」」
―――――――――
「……朝日が目にしみるよ」
泥棒にでも入られたのだろうか?きっと来た人はそういうんだろうな……そして、床にはそれぞれがそれぞれ、丸くなって眠っている。あられもない姿で眠っているため、布団や毛布などをかけておいた。きっと、今からめくったりしたら鼻血を出して後悔の念にさいなまされること間違い無しである。
大体、お酒に強い、弱いかどうかはALDH2活性の有無で変わるもので遺伝子型がNN型が強い人、ND型が弱かったり殆ど飲めない人でDD型がまったく飲めない人である。ちなみに、牛乳が駄目な人もこういった分解酵素の力が弱かったりするためにおなかがゆるくなったりするそうである。
「ん……あれ?朝になってる…」
やはりというか、一番に目を覚ましたのは由美子だった。その隣では里香が首を左右にふっていたりする。二人とも目をこすりながらも立ち上がり、僕の隣にやってくる。僕の姿を見て、一言。
「……え?夜通し飲んだの?」
「うわぁ、すっごいね、それ」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……ね。僕はちょっときつかったよ」
あれ以上飲んでいたら危うくいろいろと聞かれていたことだろう……というか、ところどころ記憶がかけたりしているのは……
「んっ……あさ?」
悠子が頭を押さえている。百合ちゃん、雪ちゃんも目を覚まし……
「あ~もっ、もうっ!ちょ、ちょっとだけだからねっ!!あんただから…その、ここ、こんなことを……」
そして、悠はいまだに夢の中。なにやら相当、いい夢を見ているらしい。それらを全員でぼけーっとみていたが、僕は顔を洗うことにして一足先に洗面所へと向かう。
戻ってきて、驚いた。悠がかなり不機嫌そうにおきており、他の子達はにこやかだったりする。悠はほっぺたを押さえていた。
「……何してるの?」
「……なんだか、急に悪夢に叩き落される夢を見た気がするわ」
「そっか、そりゃ残念だったね」
「…はぁ、せっかくいい夢見れたのに……」
ま、ともかく…朝食の準備をしなければいけないな。
名古時羽は見事に一日遅刻してやってきました。しかし、時間差攻撃かと……思われます。言っていて意味がわかりません、すいません。さて、サンタクロースからプレゼントをもらえたでしょうか?雨月は残念ながら靴下設置を今年も忘れていたためにプレゼントが来ていませんでした。ま、いいんですけどね。雨月にとっての最高のクリスマスプレゼントは給料がもらえるってことですし、家庭教師の。世の中、やっぱり金ですかね~……金、金、金、金っ!三度の飯より金が好き……と豪語できたらどれだけかっこいいでしょうか?あ~……でも、守銭奴にはなりたくありませんね。でも、せめて一ヶ月に一回は何かぜいたく品を買いたいです。読者の方もたまにはがんばっている自分にご褒美をあげましょう。十二月二十五日雨月にはプレゼントがこなかった金曜、八時三十四分雨月。