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◆◆第二百二十七話◆◆◆:通り雨の早乙女

第二百二十七話

 紅い勲章を右手にもらい、僕は五時間目の授業を受けている。隣には非常にご立腹の早乙女さんが座っている。

「……」

「……」

 そして、クラスメートたちはひそひそ話して男子は笑い、女子は蔑むような目で僕を見ている。気がついたら『間山霧之助が早乙女桜の胸を触った後に貧乳だ!と叫んだらしい』そんな噂が流れていたりする。

 僕は何一つとして(ま、まぁ、早乙女さんの胸がちっこいなとは思ったけど、言ってはいない)悪いことはしてないのだが世間はそれを認めてはくれないのである。

「あ、あのさ……早乙女さん?」

「……」

 しかし、実に難しい問題にぶちあたってしまった。謝ろうにも謝らなければいけないことをしていない。だが、謝ってしまったらそれを認めてしまうことになるのだ……けど、謝らないと仲直りできない。そんなジレンマ。



―――――――



「ど~しよ~も、ないね」

「……うん」

 いつものように里香と喫茶店。聞くなといわれたわけだけども、話として提供しただけである。

「僕、何も悪いことしてないのに」

「……そうみたいだけどね。うん、なるほど、あの時聞こえた音は張り手の音で……その手形が早乙女さんからのものなんだね~……ぷぷっ」

 笑いがとまらねぇぜって表情をしている里香。完全に他人事である。

「まったく、笑いごとじゃないよ……」

「申し訳ないって表情してればいつか許してくれるよ」

「……そうかな?」

「そうそう、大丈夫大丈夫」

 楽観的過ぎるかもしれないけど、確かにそうかもしれない。深く考えすぎちゃうっていうのも問題だろうし。



―――――――



 体育祭一日前、降るか?降るか?といわれていたが僕が家に着いたところで土砂降り……準体育祭の実行委員である僕は先に返されてしまった。明日の本番がどうなるか心配なので玄関先にてるてるぼーずでもつけようかなと思って外に出てみると…

「あ……」

「……早乙女さん」

 僕の部屋の前ではなかったが、アパートの入り口のところ、荷物を届けるための箱があるところにずぶぬれの早乙女さんが制服姿で立っていた。

「あ、終わったんだ」

「……まぁ、そうね。帰りにいきなりふってきたからここで雨宿りさせてもら……っくしょん」

「あ~ぬれたままってのがいけないんだよ…待ってて、今タオル持ってくるから」

「別に……タオルなんか持ってこなくたっていいわよ」

 そんな早乙女さんの声を途中までしか聞いていないため、戻ってきたときにちょうど彼女が言い終えていた。

「はい、どうぞ」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

「荷物、持っておくからさ」

「……」

 無言で手渡された荷物を持って待っておく。

「あ、ついでに止むまで待ってたら?」

「……いいの?濡れたままよ?」

「別に、かまわないよ……体操着とか濡れてないのなら着替えれば?その間に乾燥機で制服乾かすからさ」

「そう、それならお邪魔させてもらうわ」

 律儀にもお邪魔しますといって入ってきた早乙女さんを脱衣所まで案内してからお茶の準備をして手を止める。

「あ、コーヒー、紅茶、緑茶のどれがいい?」

「…紅茶」

 すぐさま着替えて顔を見せる。

「わかった」

 まぁ、六月だからか外はものすごい雨量だ。道路に川が形成されて新緑の葉が時折流されていっている。

「……はい、どうぞ」

「……ありがと」

 紅茶に手をつけている間にぬれたタオルを洗濯機の中に放り込んでおいて(中古のためか、異音がする)、その後に乾燥機のスイッチを入れる。

 戻ってくるとテレビの天気予報を早乙女さんが見ていた。

「…明日には晴れるそうよ」

「……そっか、そりゃよかった……あ、三十分ぐらいで乾くと思うから」

「なんだか、悪いわね」

「気にしないでよ、友達だし」

「……友達、か」

 早乙女さんは不機嫌そうでもなく、かつ、不思議そうな顔でこっちを見ていた。

「私たちって……友達?」

「ええっ!?そう思ってなかったりする?それはショックっ!!」

「まぁ、あなたが友達って思っているのならそれでいいけど……」

 なんだか釈然としないような感じである。

「そういえば、あなた、最近女子の間で評判が悪いわよ」

「ええっ?何で?」

「……変な噂が流れてるから」

「変な噂?」

 それってどんな噂でしょう?思い当たることを考えてみるが何も当たらないまま出口に出てきた。

「……わ、私の、そ、その、胸を揉んだって……そんな噂」

「……」

 頬を染める早乙女さんが意外と(そんなこと言ったら怒るだろうが)可愛い。しかし、胸を揉んだって……揉むわけないじゃないかっ!!揉めるほど胸ないのにっ!!……なぁんて、口が裂けてもいえるはずがない。言ったらどうなるか……想像するだけでも魔王がこの世に光臨するんじゃないかと戦慄さえ覚える。

「ちゃんと否定とか……してくれた……よね?」

「……そ、そりゃ……そうよ。凝視されたぐらいってちゃんと言ったから」

 まぁ、確かに水泳の時間にみてたけどさ……ぎょ、凝視?凝視って……じっくりとみることって意味じゃなかった?それに、普通凝視されたとか言ったら着替え中のときとかを想像するし……もしかして、その女子達誤解してるんじゃないかな?

 胸だけに、その旨を伝えるとすごい顔をした。

「え?あ、え?だ、だから……あ、あんな恥ずかしいことを…」

 顔が真っ赤である。

「恥ずかしい?」

「か、関係ないわよっ!!」

 キレた!?

「……もうっ!どうしてくれるのよっ!!」

「どうしようもないって……言ったら怒りそうだからうん、がんばって!」

「何をがんばるのよっ!!馬鹿っ!!」

 何が理由で起こっているのかさっぱりわからないが、ここは両手をあわせて謝ろう。

「ごめんちゃい♪」

「……許さないからっ!……ああっ、もう!私、かえるっ!!」

 体操服のまま、脱衣所へと直行。ドシン!そんな音が聞こえてきたので見に行ってみると案の定、尻餅をついていた。

「あいたたた……」

「大丈夫?」

「大丈夫じゃないわよ……」

 よろよろと立ち上がり、止まっている乾燥機のふたを開ける。

「着替えるんだから、あっち行っててよ」

「……体操服のままで帰ればいいのに」

「そんな恥ずかしいことできるわけないじゃない」

 脱衣所から追い出されて待たされる。想像していたよりもかなり早い時間で仕切っていたカーテンが開けられる。

「……覗いてないわよね?」

「覗くわけないよ」

 そういうと、眉がぎゅぎゅんとつりあがった。え?何で?

「……そうよね、どうせ貧乳女なんて覗いても意味ないものねっ!!」

「え?ちょ、ちょっと?」

「さよならっ!!」

 What do you mean by that?



 いかんいかん、あまりの『?』に英語が出てしまった…

 気がついてみれば、外の雨はやんでいたりする……しかし、僕と早乙女さんの間には一つ、嵐が来そうな予感がするのだが……気のせいであって欲しい。


もうでしゃばりません的なことを言ったあの読者の方は元気なのでしょうか?もっと突っ込んだ感想を書いて欲しいと返答したわけですが、あれを読んでもらえたのか、未だにこの小説を読んでもらえているのか不安です。便りがないのは元気ななんたらとはよくいいますがやはり、気になります。よろしければまた、感想なりなんなりお願いしたいですね。よろしくお願いします。さて、私用はここまでです。次回、多分体育祭です。暇なあの人やあの人……あんな方が出て来る予定です。十二月二十二日火曜、八時五十三分雨月。

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